第零話 始まり
初心者です。なのでよく分からないところなどがあるかもしれません。
「なぁ、榊君よぉ、今からこいつらとゲーセン行くんだけどさ、金ねーから三万円貸してくれよ」
「あ……、剣持君、ごめん。今お財布持ってないんだ」
「は? さっさと家から持ってこいよ。こっちは急いでんだよ」
「いや、でも……」
そう言おうとしたその時、剣持の拳が僕の左の頬に直撃した。
「お前は俺の言う事を全部聞いとけばいいんだよ。俺に反抗しようとすんなよ」
剣持がゴミを見るような目でこちらを見てくる。まぁ、しょうがないか。
僕なんて剣持からすればゴミの様な存在なのだろう。だが、ゴミなりに意地って物はある。
だからここで折れる訳にはいかない。
「いいから早く持ってこい」
「嫌だよ。何を言おうと、絶対に持ってこないよ」
「お前なぁ、自分がどの立場なのか分かってんのか? お前の身分で俺に逆らおうとすんなよ、全てにおいて底辺のお前に逆らう権利なんてねーんだよ」
「いや、ゴミにだって逆らう権利くらいはある!」
そう言い切って僕は剣持の腹にパンチをした。ものすごく手が痺れた。
剣持の状態を確認しようと見上げたその瞬間に、僕の顔面にさっきよりも数十倍は痛い拳が飛んできた。
僕は教室の地面に倒れた。意識が飛びそうだ。だが、必死に意識が飛ばないように我慢している。
「実力の差ってもんがあるんだよ。まぁ、俺にパンチをした度胸だけは認めてやる。だがなぁ、次やってきたら殺すぞ」
剣持は四、五人の仲間を連れて廊下へ出てそのままどこかへ行った。すぐに、僕の我慢は限界を迎えた。
次に気がついた時には、学校の保健室のベッドだった。
先生に聞くと、同じクラスの犬峰さんが連れてきてくれたらしい。
教室にいると言われたのでお礼を言いに教室へ向かった。多少クラクラするが歩けない程じゃない。
ゆっくりと教室に入ると、本を読んでいる彼女の姿があった。
「あの、犬峰さん、保健室まで連れて行ってくれてありがとう」
「お役に立てましたかね? ところで榊君さぁ、馬鹿? なんであいつに殴ったりしたのよ。殴り返される事くらい分かるでしょ」
「え、うん。ごめんなさい」
「なんで謝るのよ。確かにあれは剣持が悪いんだけどなぁ……、いつか復讐したいなぁとかっていう願望はないの?」
「あったとしても僕じゃ無理かな……」
「なんかめっちゃ強い能力とかゲットして剣持をボコボコにするとか面白そうじゃない?」
「そんな話あるわけないじゃん」
「ちょっと! 冗談だよ。そんな真面目に言わないでよ。こっちが恥ずかしいじゃん」
「あ、ごめん」
その時だった。急に目の前が真っ暗になった。どっかに沈んでいるような感覚だ。段々と意識が朦朧としてくる。
必死に意識を保とうとするが、今日既に一回意識が飛んだせいかすぐに意識を失ってしまった。
なんかの衝撃によって意識は戻ってきた。どこかの部屋の床に寝ていた。多分、さっきの衝撃は床に落ちてきた時のものだろう。周りを見渡すとクラスメイト全員が同じ場所に意識を失っていた。学校が終わり、それぞれ帰宅したり部活に行ったりとバラバラだったのに、なぜ同じ場所にいるのだろうか。というより、ここはどこなのだろうか。
混乱していると、鐘の音が部屋中に響き渡り、この部屋の扉が開いた。