走馬灯
――人類最強と云われていた。
先程入り込んで来た記憶は間違いなく俺のものである。根拠は無いが、そう確信できる。
だがしかし、その記憶にはいくつか疑問に思うところがあった。
・何故転生したのか
・転生前のしばらくの間の記憶が消えている
・何故今頃になって記憶が蘇ったのか
転生前の記憶が死ぬ直前まで発芽しなかった事も関係しているのかもしれない。
もしかしたら転生魔法は自分で発動していなかったり――…
など、考えだしたらキリがない。
まあどうせ死ぬだろうし、考えるだけ無駄だな。ここは大人しく走馬灯を見よう。
俺は、中野浬緒として産まれた。
そして中学までは、普通に過ごしていた。
俺は高校2年の時“乙女ゲーム”とであった。
最初は、面白半分で遊んでいたのだが、1つ目の乙女ゲームを攻略し終わった時――すごく楽しかったのだ。
こうして、俺はヲタク街道を止まる事なく突き進んだ。
寝ぼけていてトラックに気付か無かった。そして、トラックに轢かれて死ぬ。
なんてベタな展開なんだ、とはツッこまないでほしい。
全て自業自得だが、一つ、言い訳をさせてくれ。
いやいやいや、おかしいだろ!?
曲がり角にある鏡、見えなかったのか!!?
…………まぁ、いくら言い訳をしても、俺が死ぬという事実は変わらない。
何回でも思うが、全て自業自得だ。
それにしても、凄いな。走馬灯って。
目に見えるもの全てがスローモーションみたいに遅い。
本当はすごく短い時間なのに。
遠くで救急車の音がする。
とうとう視界が真っ暗になった。
そして悟った。俺はもう死ぬ。
叶うなら……来世は、また…………あの世界で暮らし………た……い――――