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大きな壁と小さな鼠たち

作者: 大嶋コウジ

ある日、鼠の子どもとその父親がどこかの家の中を歩いていました。


「楽しいね、お父さん!」


「そうだね。

おや?

クンクン、クンクン、あっちの方からキノコの良い匂いがするよ。行ってみようか。」


鼠の父親は、キノコの匂いがすると言いました。


「うん!」


二匹はお腹がペコペコです。もちろん、鼠の子どもも行くと言いました。


しばらく歩いていると、なんと、目の前に巨大な壁が現れました。

二匹は前に進む事が出来ません。


「お父さん!これってなんなの?!前に進めないよぉ~!」


鼠の子どもは目の前の壁の匂いを嗅いでみました。


「美味しくなさそうだよ~…。」


父親鼠は、この壁を見た事がありました。


「これは食べるものではないよ。」


「それじゃあ、なあに?」


「これは人間が作った紙のようだね。」


「紙だってぇ?それってなあに?」


「紙は人間が作ったもので文字を書いたりするものなんだよ。」


「ふ~ん、そうなのか~!」


鼠の子どもは興味津々です。


どうやら、この家の人が紙を落として、それが丁度、二人の行く手に落ちて遮ってしまったようです。


「お父さん、でもどうしたら進めるようになるの?」


「簡単だよ、紙はすぐに破けてしまうのだから。」


鼠の父親が、そう言うと鼠の子どもは、後ろに少し下がりました。


「よ~し!」


そして、勢いよく壁に向かって走りました。


ボヨ~ン!!


「わあ~~!」


だけど、紙の壁は鼠の子どもをはじき返してしまい、その勢いで鼠の子どもは、後ろの方まで転がってしまいました。


「イタタ~…」


「坊や、大丈夫か?!」


鼠の父親は慌ててしまいました。


「だ、大丈夫だよ~!だけど、全然、破れないや!」


鼠の子どもは悔しそうにしました。


「坊やの力だと破れないかもしれないね。今度は私の力で破ってみるから、見ていなさい。」


「うん!」


普段から力の強い鼠の父親を見ていた鼠の子どもは、期待しました。

そして、鼠の父親も、子どものように少し後ろに下がりました。


「よし!行くぞ~!」


鼠の父親も勢いよく走って壁を破ろうとしました。


ボヨ~ン!!


だけど、鼠の父親も跳ね返されてしまい、鼠の子どもと同じように後ろの方に転がってしまいました。


「お父さん!!」


鼠の子どもは鼠の父親を心配しました。


「やれやれ…、私の力でも破れないなんて!」


鼠の父親は、痛そうでしたが、元気に立ち上がったので鼠の子どもは安心しました。


「お父さん、どうやったら破れるんだろう?」


「そうだなぁ、困ったなぁ。」


とても強い紙で出来た壁の前で二匹が困っていると、今度は鼠の老婆が通りかかりました。


「あ!お婆さん、お婆さん、気をつけてよ。壁があって通れないんだ~!」


鼠の子どもは、鼠の老婆がこのままではぶつかってしまうのではないかと心配しました。


「大丈夫じゃよ。」


鼠の老婆はそう言って、鼠の子どもの方を見ました。

鼠の老婆は、何も気にしていない様子です。


「お父さん、大丈夫かな。」


鼠の子どもは、不安になりました。


すると、鼠の老婆は、自分の小さな前歯を突き出しました。


ビリッ!


なんと、鼠の老婆は、牙を使っていとも簡単に壁を破ってしまうではありませんか。


「え!」


「わ!すごい!」


鼠の父親と鼠の子どもは、その姿を見てアッと驚いてしまいました。


「お前たちは力尽くで壁を破ろうとしたけど、そんなに力を入れる必要はないんじゃよ。

自分が持っているものを使う小さな智慧があればいいんじゃよ。」


そう言うと、鼠の老婆は、そのままテクテクと歩いて進んでいきました。


二匹の鼠も、老婆の後を追ってその壁を抜けて歩いて行きました。

こうして、二匹は、目的のキノコのところに着いてお腹いっぱいキノコを食べる事が出来ました。

そして、余ったキノコを先ほどの鼠の老婆のところまで持って行ってあげましたとさ。


めでたし、めでたし。


力尽くで何かをやろうとすれば失敗するときもあります。

ちょっと落ち着いて周りを見渡してみれば、何かヒントが転がっているはずです。

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