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『異世界剣豪』  作者: 船登 山岳
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十一振り目 「王都の騎士の実力」

「おいおい騎士様ともあろうお方が一体どうしちまったんだ。山賊一人倒せずよくもまぁ偉そうにしてられんなぁ⁈」


そう言いながら山賊の頭領はヒュバートに向けて大剣を振り下ろす。


「黙れ、下郎が!」


ヒュバートが叫びながら大剣弾き返す。


「貴様こそどうするつもりだ。手下は全滅。それにこの騒ぎを聞きつけ今王都の騎士達は今にも貴様を捕まえにくるぞ。」


「はっ。何人雑魚が集まろうが俺は捕まえられねぇよ。それはテメェが一番知ってんだろうが。」


そう言うと男は大剣を鞘に納める。


「とは言えココに長居をしても得はねぇ。てな訳で一気にかたをつけさせて貰うぜ。」


男が全身に魔力を滾らせていく。


「大地の精霊達よ。俺に力を貸せ。いくぜぇっ!」


美し過ぎる俺の筋肉(パンプアップ)


詠唱に合わせ大地から魔力が流れ込み、ただでさえ多かった男の全身の筋肉が更に肥大し体格が一回り大きくなる。


「貴様の技は相変わらず醜いな。これ以上は見るに耐えん。」


そう言うとヒュバートは剣から眩い光を放ち男の目を眩ませ素早く詠唱を唱える。


「精霊達よ。私に神の庇護を。」


雷霆(ケラウノス)


詠唱を唱え終えたヒュバートの全身は雷と同化しているかのようであり、その手からは凄まじい魔力がほとばしっていた。


「どたまかち割るっ!」


男は大剣を凄まじい速度でヒュバートの頭に振り下ろしていく。

がヒュバートは雷の如き速度で横側へと躱す。


「まだまだぁ!」


男が地面に深々と突き刺さった状態から強引に剣を横に薙ぎ払うと大地が反り返る。

ヒュバートは空中を走るかの様に動き二撃目も躱すと男の頭上に行き手から雷を落とす。

雷が直撃した男は前に倒れ込む。


「これが王都の騎士の力……。」


闇堂はナディアが少し離れた安全な場所へと移動させた馬車からヒュバートの戦いを見つめ呟く。


「いつまで気絶した振りをするつもりだ。それとも首を差し出すつもりにでもなったのか?」


ヒュバートが一切魔力を緩めずに刀を向けながら男に近づいていく。


「流石にお前は騙されねぇか。いやだが中々さっきのは効いたぜ、実際よ。」


男は笑いながら起き上がると更に筋肉を増大させていく。


「懐かしいなぁ。お前と毎日こうやって手合わせしてよ。あの頃は二人とも同じ場所を目指してたのになぁ。」


男は笑いながらヒュバートに話しかける。


「とっくに昔の夢など忘れたかと思っていたよ。」


ヒュバートもまた笑いながら男に返す。


「何故道を外れた。貴様の名前を聞けば敵は震え味方は奮い立つとすら言われたほどの男が。」


男は少し寂しそうに笑うと全身に魔力をみなぎらせていく。


「お前には分からんさ。恵まれぬものの思いなど。」


そう言うと男は全身の魔力を大剣に集中させ大地に振り下ろす。


大粉砕(グランドクラッシュ)


雄叫びを上げながら大地を揺るがすと、その衝撃波に乗じて男は逃げていく。

揺れが収まり砂埃がやんだ頃には男はその巨体をどこにやったのか、跡形も無く消えていた。


――男が逃げ出してから数分後に王都の騎士達が急いでやってきた。


「やはり先程の戦闘はヒュバートさんによるものでしたか。して相手は。」


「ギガスだ。」


「やはりそうでしたか……。しかし何故二年経った今になって。」


「さぁね。今はあいつのことより王からの使いがあるから悪いけど後は任せたよ。」


ヒュバートは騎士達にそう告げると二人がいる馬車へ向かってくる。

ヒュバートが馬車に着くと闇堂が笑ってドアを開けながら話しかける。


「凄い戦いだったけど彼らは何者ですか。ただの山賊ではないですよね?」


「奴らは元は王都の騎士だよ。特に頭のあの男はかなり名の知れた騎士だった。」


ヒュバートは少し悲しげに答えるとナディアに馬車を王都に向けて走らせるように頼む。


――山を下りきると三人を乗せた馬車は王都の門の前に着く。

ヒュバートが衛兵に軽く挨拶をすると馬車は入ることを許された。

またナディアが御者をしているのを見た衛兵が代わりに御者を務めることになった。


「これが王都か。中々活気があるなぁ。」


闇堂が物珍しげに馬車から見ているとナディアが荷物から魔道具を一つ取り出す。


「じゃじゃーん。ご主人様のためにキチンとカメラ持ってきましたよ。」


「お、俺のカメラちゃんじゃん。」


闇堂はナディアからカメラを受け取ると王都の風景を写真に収めていく。

闇堂が楽しそうに写真を撮っているとヒュバートが話しかけてくる。


「カメラとはまた中々に高級なものを。」


「これのために依頼を沢山こなしましたから。」


闇堂は愛おしそうにカメラを抱きしめながら答える。


「実はそのカメラとい品物。王が直々に職人達に命じて作らせた物なんですよ。」


そんなヒュバートの言葉に闇堂は王が同じ転移してきた人間であることを再度確認する。


「そろそろ城が見えてきますよ。」


ヒュバートの言葉を聞いて闇堂とナディアが馬車から身を乗り出すとすぐ目の前に城が迫ってきていた。


「でけぇな〜。」


「お城に着いたら二人で写真撮りましょうよ。」


闇堂とナディアが城を前にしてはしゃいでいると馬車が動きを止める。


「王から使いの者が見えましたので私はここでお先に失礼しますね。どうかごゆっくり。」


ヒュバートがそう言うと馬車の扉が開き二人を迎えにきた兵士達がやってくる。

二人が兵士達に連れられて行くのを見るとヒュバートは衛兵に何処かへ馬を走らせるように命じ去って行った。


――二人が案内役の若い兵士に連れられて城の中を歩いていると前から一人の男が歩いてくる。

全身に真っ黒の武具を纏った長身の男である。

男が兵士に軽く労いの言葉をかけると兵士は二人の案内役を男に譲り来た道を帰っていく。

男は兵士の後ろ姿を少しの間だけ見守ると二人の方に顔を向け話しかけてくる。


「今日は遠い場所から、我らが王のためにご足労頂き誠に感謝いたします。私は王の近衛兵の長を務めています、カラスというものです。どうぞお見知り置きを。」


男は深々と頭を下げて挨拶をすると二人を王の元へと導いていく。


「カラスさんは何処の出身なんですか?」


闇堂はカラスもまた、自分と同じ転移してきた人間なのでは無いかと思い尋ねる。


「申し訳ありませんが私はドナテルカの生まれです。私の知る限りでは転移者は貴方と貴方の相棒の方、そして我らが王の三人だけです。」


カラスは闇堂の心を読んだかのような返答をすると王の部屋へと歩いていく。


それから少しの間を歩くと一つの扉が目の前に見えてきた。

それは決して煌びやかに飾り付けられていたりする訳では無いのだが、二人はそれが王の居る部屋の扉だと感じた。


「王よ。アンドウ様とその従者の方をお連れしました。」


カラスの言葉に反応するかのように扉はひとりでに開いていく。


「さぁどうぞ。中で王がお待ちです。」


カラスに連れられ二人が扉の中へ入って行くと中は真っ暗であった。


「ではごゆっくり。」


カラスは二人を椅子に案内すると闇に紛れ何処かへ消えてしまう。

二人が何事かと辺りを見回していると突然椅子の前方から光が起こる。

と同時に音楽が流れ出す。

それは闇堂には、いや日本人なら誰しもが一度は耳にしたことがあるであろう曲。

日本一の漫才師を決める大会の入場曲。

そう、M-1の入場曲であった。


「Yes we can, can, can, can,can, can, can, can, can

Oh, oh」


聞きなれた音楽と共に部屋が完全に明るくなっていく。

二人が眩しさに目をならし終え前を見ると、二人の目の前には如何にもな壇があり、壇上には二人の男がスーツを着て立っていた。


「どーもー。どーもどーもどーも。一応王様やらしてもらっています、ボケ担当の轟でーす。」


「ツッコミ担当してまーす。天光でーす。」


「天光っ⁈」


闇堂が思わず声を上げると自称王と天光が笑い出す。


「見た?あの顔。聞いた?あの声。」


「凄い顔してましたね。」


二人は驚きの余り声も出ない闇堂を見て大笑いをする。

ひとしきり笑い終えると王らしき男が涙を拭きながら話しかけてくる。


「あー面白かった。いやホントいい顔してたね。思い出すだけでも笑っちゃいそうだ。」


「いやそういうのマジでいらないんで。」


闇堂が笑いものにされたことが不服だったのか不機嫌そうに答えると男は軽く謝罪をしながら話を続ける。


「すまない。僕の悪い癖でね。君が最近色々話題の闇堂君だよね?よろしく。」


「こちらこそ。」


二人が軽く挨拶をして握手をするとカラスが何処からともなく現れテーブルと椅子を用意する。


「まぁ久しぶりの相棒との出会いや数少ない同郷の僕を前にして積もる話もあるだろうけど、とりあえず一度お茶にしよう。」


男はそう言うと先のことを見据えた様なニンマリとした顔で闇堂を見つめるのであった。


気づけば遂に11話目ですね。まだまだ鳴かず飛ばずと言ったところですが頑張って更新を続けるつもりですので、これからも何卒よろしくお願いします。


何かの役に立つかと思いTwitterのアカウントを作ってみました。フォローして頂けると幸いです。

@Mt_hunato

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