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『異世界剣豪』  作者: 船登 山岳
1/11

一振り目 「よくある旅立ち」

――『剣豪』

かつての日本において刀の扱いに非常に長けた者にのみ贈られたこの称号は強さの証明のみならず、その者に神性を与えるものであった。


――時は流れ人々が刀を持たなくなった現代。

人々にとって刀は擬人化対象であり創作物の中でのみ見るのが基本となった世で、それでもなお、形を変えて剣豪は引き継がれていた。


――これはよくある異世界英雄譚。

数多の授業を切りすて、同級生から剣豪と呼ばれる二人のクズが異世界を救う物語である。


◾️◾️◾️


「……ぁー、授業怠ぃ……」


「一限切って優雅なモーニングをしてる最中に急にどうしたのさ?」


「いやさ、俺は思ったのよ。なんで授業を受けなきゃいけないのかってさ。」


「またその話?こないだは我慢の練習ってことで纏まったじゃん。」


「……ぁー、そーいやそんな話もしたなぁ……」


「そんなことより今日は何限から学校行くつもり?僕はいつでもいいよ。」


「二、三、四限の内容って何?」


「上から現社、国語、保体だね〜」


「いや渋いな、渋すぎる。余弦定理以外あり得ないじゃん。」


「え、四限の保体受けるの?」


「出席足りなくて進級不可とかつまんねーし今日は出るわ」


――と朝から大型チェーン店のミセスドーナツで駄弁る少年二人。

身なりは良く体格もそれなりに良い。


「四限から行くとして、今から授業まで何するよ。」


「四限開始って11.40からやったよな?なら2時間くらいカラオケ行こうや。最近行けてないし。」


「いいね。」


「じゃあコーヒー飲み終わったら移動するか。」


「りょーかーい。」


――機運が無いと言って授業を切り、学校に行っても寝るかスマホを弄るだけの絵に描いたようなダメ高校生。


「……にしても、マジで学校ダルいな。」

「昼休みとかは元気じゃん。」


「いやマジで朝が早すぎるし週五は多すぎる。流石に飽きてくるわ。」


「まぁ実際まだあと六十年以上も人生が残ってて、しかも大半が会社勤めって考えたら萎えるね〜」


「それ、刺激が足りねーわ。」


下らない高校生のテンプレートな文句を言いながらカラオケに向かう2人のスマホから突然。


――ザザッと、普段のメールの着信音とは明らかに違う音が流れる。


「今のってお前?」


「音が違うから僕ではないかな。」


「俺も多分違うんだけど一応確認しとくか。」


「じゃあ僕も。」


二人はスマホをポケットから取り出し、電源をつける。


――瞬間。


スマホの画面に謎の文字が現れ、それを中心に世界が崩れ出した。

二人を包んでいた世界が、ガラスが割れるように崩れていく。

あまりの出来事に我を失いかけていた二人が走って逃げようとした時には踏むための道すらもなくなっていた。

こうして天も地も含めた全てが崩れた。

そんな世界に二人はポツンと取り残された。

五感の全てが働く相手をなくすことで力を失い最早自分すら分からなくなる世界。

その中で刹那の、だが無限とも思える時間を過ごした二人の前に、突如として二振りの刀が現れた。

二人が反射的に刀に心を向け、身体を伸ばし刀に触れた瞬間。


――世界が産まれた。


いや世界が産まれたのではない。

世界に二人が産まれたのだ。

失っていた五感が戻るにつれ二人は世界を感じていく。

目の前には青空が広がっている。

大自然の匂いが鼻を抜け、足は舗装されていない大地を感じている。

鳥のさえずりが聞こえる中、口の中にドーナツの味が戻ってくる。


「なぁ天光。さっき俺たちはミセドでドーナツを食べて、その後にカラオケに向かってたよな。」


「僕の記憶が正しければ闇堂はハニーチュロを食べてたね〜」


「じゃあ俺たちはなんで現在進行形で草原に居るんだ。授業切った天罰か?」


「いやぁさっき見た夢のせいじゃない?」


「やっぱそうだよなぁ。――ってんなことある⁈」


「刀も隣に落ちてるし原因はあれしか考えれなくない?」


「やべぇ、この刀に見覚えがめっちゃあるんだけど。てか持ったらすげぇしっくりくるし。」


二人が座って喋りながら、手に持った刀で遊ぶこと数分。


突然。


――キェェッ、と甲高い鳴き声が草原に響き渡った。


「えっ⁈何⁈」


二人が同時にそう叫びながら音の方向を見ると、そこには現代日本では絶対にあり得ない光景があった。

いわゆる騎士の様な鎧を来た集団が不思議な見た目の竜に追われているのである。


「ヤベェ、こっち向かってきてんぞ。」


「逃げなきゃヤバそうだね。」


そう言いながら刀を持って立ち上がった二人は。

何故か刀を構えていた。


「闇堂、何やってんの⁈逃げなきゃ!」


「んなこと言いながらお前もしっかり刀構えてんじゃん。」


二人の意思とは別に構えを解こうとしない身体。


「なぁ天光。ぶっちゃけ今のお前、高ぶってんだろ。」


「正直なところ。今までになく高ぶってる。」


「俺もだ。」


二人が構えながら少し話している間に騎士達と竜は近づいてきていた。

竜が近づいてくるにつれて空気が張り詰めていく。

最早二人の目に騎士達は写ってなどいなかった。

竜と若き転生者二人。

その間にある有象無象など全てが無意味となり。


――そして竜が刀の圏内に入った。


竜は即座に異変に気付いた。

逃げ惑う餌の中に抗おうとするものが居ると。

竜が全身に力を漲らせる。

死の淵の餌の足掻きは恐ろしいと知っているからである。

竜は自身の長き生の中で最も信頼のできる部位で、爪で、確実に不遜な餌を仕留めにいった。


一方の闇堂と天光は逆に全身の力を極限まで抜いていた。

一度も刀など握ったことすら無いのに二人はどうしたら一番良いのかを感じていた。

たった一度の、刹那の狩り時を確実にするため二人は高揚感を押し殺していた。


勝負は一瞬だった。


飛びかかる竜の爪を闇堂が弾き、そして体制が崩れた竜の首を天光が切り落とした。


しかし歓声は上がらなかった。


騎士達の大半が二人の居合に巻き込まれ、もしくは爪とぶつかった時の衝撃波で即死、もしくは瀕死の状態だったのである。


当然、竜を討った二人もまた無事ではなかった。

二人はまるで糸の切れた人形のようにその場に倒れこんだのだ。


◾️◾️◾️


――これは現代日本の誇る『剣豪』が異世界を救う話。

数多の授業を切った『剣豪』が異世界にはびこる悪を斬る話。


初投稿なので至らぬ点も沢山あるとは思いますが全力で取り組む所存ですので、何卒お付き合い頂ければ幸いです。

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