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疾走者の不変世界(リフレインソング)  作者: 絵之色
第七章 煌めく流星の涙
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232.リアナさんと連絡

 翔太はアストリアとじりじりと構える。

 下手に彼女の動きを見ていないと、こっちがやられかねない。

 だって破戒の囚人院の囚人たちは、殺人鬼や犯罪者の集まりだとクリフさんから聞いている。

 ここで、下手に彼女に俺の能力を知られたら……後でどうなるかわかったものじゃない。


「どうしたぁ? 動かないのかぁ?」

「……やっぱり、逃がしてくれませんか? 俺には、貴方と戦う理由がないんです」

「キヒヒ、紳士だなぁ。だが、関係ねえよ……お前はここで死ぬんだからなぁ!!」


 アストリアは右手の鉤爪で突っ込んできた。

 俺は避けるとよろけて、思わず転ぶと彼女は続けて左手で攻撃してくる。

 翔太はしゃがみながら足で回し蹴りをすると彼女は地面に転がった。


「っぐ!!」


 翔太は立ち上がって急いで走り出す。



「それじゃ、さよならぁ――――!!」


 俺は能力を発動しないで、全速力でアストリアという囚人から逃げた。

 アストリアは、苦虫を噛み潰した顔で逃げていく翔太に叫んだ。



「――――くそ、待ちやがれ!!」


 一人、囚人の声はすでにいなくなった翔太の耳には入っていなかった。



 ◇ ◇ ◇



 俺は校内に入ってほかの生徒に気づかれないよう、周囲を確認しながらトイレへと入る。

 翔太は個室には入らず、トイレの洗面台の前で通信機を起動させる。



「シルバーさん! 聞こえますか?」

『ええ、大丈夫よ。青年。青年は今どこにいるの?』

「男子トイレの中です。なんとかアストリア、とかっていう囚人を撒いたんですが……」

『囚人たちが来たのは間違いないのよね?』

「は、はい。確か、破戒の囚人院のイメージカラーってイエローだったと思うので、囚人っぽい白い服も着ていたから、間違いないとは思うんですけど」

『どんな囚人がいたか、覚えてる?』

「えっと、猫っぽい赤毛のツインテールの子と、顔に二本線の刺青が入ってる真ん中分けの女性です」

『…………キティナとアルブレイドね、破戒の囚人院の囚人の中でも攻撃力が高い二人だわ』

「なんでそんな二人が、この学校にいるんでしょう?」

『わからないわ、看守の指示じゃない可能性もあるから、どうとも言えない……とにかく、アルブレイドに目を付けられるのは危険よ』

「……いえ、もう目をつけられてる可能性が、」


 翔太は乾いた笑みを浮かべると、リアナさんが向うの方で頭を抱えているのが容易に想像できた。


『……厄介だわ、彼女は興味を持った相手は地獄の底まで追いかけてくる殺人鬼よ』

「……こ、怖い人なんですね」

『破戒の囚人院はそういう知覚者を看守が首輪を繋げてているもの。何かしらの拘束具になるものとかがあったはずだと思ったけれど……』

「とにかく、俺はこのまま逃げればいいんでしょうか?」

『いえ、一度クリフと連絡を取ってくれる? 私から貴方に必要以上の指示は遅れないわ』

「はい! わかりました」

『それじゃ、通信を切るわ。また後で』


 俺は頷くとプツ、とリアナさんのほうから通信が切れる。

 囮役、かぁ。なんか毎度ある感じで慣れてきてはいるけど、というか学校の地図は一応頭に入れたけど、もう一度確認したいな……? ん?


「あ! デバイスがない!!」


 もしかして転んだ時の拍子に落とした……?

 この学校の生徒たちに聞くしかないかな。流石に先生に聞いたら、俺が生徒じゃないとばれてしまうかもしれないし。


「誰に聞けばいいのかな……」


 翔太は困り果てていると、扉がハンマーで破壊されるのを見た。


「見つけましたよぉ、雑魚さぁん♡」


 囚人の少女が楽しげに微笑む姿を見て戦慄した。

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