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Luna・Dread ~虚手の騎士~  作者: 十立 章
一章 瞳に映るは嵐の爪痕
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一章IV 「立ち込める不穏」

 作戦の決行はリミットギリギリ五日後になってしまった。どうしても、遥郷さんに別の任務が突然入って、待機できる状態でなかったり、能力者が現れたりするからだ。

 だが、今日は遥郷さんがいるって訳でも無かった。ルナウイルス感染者が現れ、充と徹と一緒に現場に向かっていった。

 勿論、今回は重要な任務だから、優先して人員を割き、遥郷さんをフリーにする事を本部は考えたらしいが、幸いながら、施設内の目撃情報や特務の能力者が探知する能力で、目標付近に坂嶺や大島は居なかった為、遥郷さん抜きで作戦を実行する事になった。そして、その代わりに菜摘を残してくれた。菜摘の能力を使って、木村さんの位置を特定し、加勢する為だ。

 だけど、能力自体は探知に特化したものでなく、能力の範囲内の動きが分かるものだから、合図を決めていた。

 左手でピースを作り、交互に人の歩く様子の様に動かす合図。これを定期的に行い、お互いの位置を示し合わせる様にしていた。

「今の所、問題ないみたい。慌てる様子もなく、歩いて合図してるわ」

もう、かれこれ数十分が経っていた。そろそろ、遥郷さんもこっちに向かって来れるかもしれない。

 早い内から出ているし、感染者が能力者じゃなければ、別の監視官をつけて徹と充に任せる事にしている。

「そうか、周りの人間の様子はどうだ?」

「うーん、特に慌ただしい様子はないね。潜入してから10分は超えてるし、そろそろ見つかるかも」と菜摘が言うも、しばらく経っても爆発する音が聞こえてこない。

 爆発しなければ、まだ敵に見つかっていないという事。菜摘は問題なく、小部屋を探してる様子だと言うから万が一もない様だ。

 このまま、何も無く終わりそうな静かな様子の中、遥郷さんから無線の連絡が来ていた。

「そっちはどうだ。問題無さそうか?」

「はい、もう30分くらい経ちましたが、爆破とかも無く、順調に探してる様子みたいです」

「……そうか、嫌に順調なのも気になるが、まぁ木村さんの事だ。上手くやってるのだろう。こっちも上手く済んだし、俺は今そっちに向かっている所だ」

 と、会話をしていると澄んだ凄まじい爆発音が聞こえてくる。

 やっと見つかったらしい、そう思っていたけど、菜摘が何か変だと訝しそうにしている。

「なんか、変。木村さんの側に誰も居ないのにどうして見つかったの? しかも、木村さんは逃げたり、隠れたりというか……何かを探している様な……」

 菜摘が言いながら慄いていると、直ぐに二回目の爆発音が鳴った。

「ーーどういう事だ! 菜摘! これは能力者がいたって事か? ーーーーっちぃ、木村さんに繋がらない。無線を遮られている」

「いや、さっきも言ったけど、居ないはず……木村さんの様子も変わりないし…………まさか、合図を勘違いして別の人を感知していたのかも……」

 段々と、菜摘が自分の能力に疑いを持ち始めている。

 ただ、爆発したなら木村さんが危険かもしれない。

 あの坂嶺という人には歯が立たないと言うし。

「……おい、御影どうした! 聞こえているか」

「ーーす、すみません。爆発に気を取られてしまって……その、二回目の爆発がありました」

「そうか。我々の事がバレてしまって上手く隠れていたのか……とにかく、俺が行くまで持ち堪えてくれ」

「はい、それと何か変と、菜摘が言ってます。木村さんは誰かに見つかった様子もなく、まだ何かを探している様な動きらしいです。それとこちらから連絡しても繋がらなくて」

「少し待ってくれーーーーやはり、最悪な事は能力者に妨害され、木村さんが危険に冒される事…………今は不測の事態が起きてるから、出来れば俺が着いてから行きたいが、そうも言ってられん。まずは君達が木村さんと合流してくれ」

 二人に遥郷さんがもうすぐ合流する事を告げ、先に木村さんに合流する様伝えた。

 顔を見合わせ、覚悟を決めた険しい表情が目に映り、とても見ていられない……辛い表情だった。

 わたしは一体どんな顔をして二人を見ていたのだろうか。

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