はじめての依頼人(後編)
クロエは混乱していた。
目の前いる平凡な少女――コンスタンス・グレイルが、一連の怪奇現象は幽霊ではなく人間の仕業だと言い切ったからだ。
「それなら私が見た人魂は……?」
「おそらく人魂ではなく、犯人が持っていた灯りだと思います」
「灯り」
「はい。たぶん、最初の思い込みが尾を引いたのではないかと……」
「……ええと、なら、あの悲鳴は? あれは、ぜったいに聞き間違いじゃ――」
その問いにも、少女はあっさりと答えていく。
「馬です」
「……馬?」
「犯人はおそらく近所に住む人間ではなく、遠方からミセス・コリンズのお屋敷にやってきたんだと思います。当然、移動には馬を使うはずです。ターナーさんが初めて人魂を見たのは嵐の日だったと言っていましたよね? だとすれば、きっと悪天候に怯えた馬の鳴き声だったんじゃないかなと。それが、風や雨の音に紛れて断末魔のように聞こえたのではないでしょうか?」
クロエはあの日に聞いた恐ろしい叫び声を思い出していた。まるでこの世のものではないような絶叫だったが、つまり、それは実際に人ではなかったからということだろうか。確かに外では風がごうごうと吹きすさび、雨音は盥をひっくり返したように騒がしかった。そんな中、嵐のせいで恐慌をきたした馬の嘶きだと言われてしまえば不思議とそう思えてくる。
クロエは動揺を隠しながら質問を続けた。
「じゃあ、ミセス・コリンズの家に鍵がかかっていたのは、どう説明を?」
「もちろん、犯人は鍵を持っていたんですよ」
その言葉にクロエは思わず体を強張らせ、「……私のことを疑っているんですか?」と訊いた。
コンスタンスは驚いたように目を見開くと、慌てたように首を振る。
「代理人のことです。いや、ええと、正確には、その人から鍵を譲り受けた人物――の仕業だと思っています。もちろん見知らぬ人間に合鍵を渡すはずがないので、相手は近親者でしょう。おそらく先ほど話にあったミセス・コリンズの甥です。絶縁といっても実際に籍まで抜くことは稀ですから、たぶんミセス・コリンズも口頭で伝えただけだったのではないでしょうか。役所から謄本を取り寄せれば近親者である証明はすぐにできますから、代理人の方はそれを見て合鍵を渡したんだと思います。きっと、よく事情を知らなかったんでしょうね」
長い台詞を、まるで台本を読んでいるかのように淀みなく喋る。
「でも、どうして、ミセス・コリンズの屋敷に?」
「探すためです」
「探す……?」
困惑しながら繰り返せば、少女はにっこりと微笑んだ。
「――遺言状ですよ」
「……遺言状?」
「ミセス・コリンズは資産家だと言っていましたよね。死後ひと月もあれば、彼女の遺産について代理人の方から何らかの公表されてもいいはずです。それがないということは、まだ、遺言状が見つかっていないということではないでしょうか?」
思いもよらない言葉にクロエは目を瞬かせた。けれど、言われてみれば、確かにミセス・コリンズの死後、疲れた様子の代理人が何度も屋敷を訪れていた。遺品の整理をしているのかと思ったが、あれはもしかすると遺言状を探していたのかもしれない。
「おそらく犯人もそのことに気づいて、今回の犯行を思いついたのだと思います」
「それは、どういう……?」
「ミセス・コリンズの甥は違法賭博に嵌まっていたんですよね? ああいった遊びは中毒性があって、なかなかやめることが難しいそうです。なので、今もお金に困っている可能性が高い。だからミセス・コリンズの訃報を知った犯人は、何としてでも彼女の遺産を手に入れようとしたのだと思います」
「絶縁されているのに、ですか?」
ミセス・コリンズは厳しい性格だった。甥の取り分など一銭も残していないだろう。
そう伝えると、コンスタンスは心得ているように頷いた。
「絶縁されているからこそ、です。当然、自分に遺産が残されていないことは予想済みでしょう。でも、ミセス・コリンズには他に血縁者がいない。もし遺言状さえなければ、甥である犯人は正統な相続人になれる。なら、遺言状などそもそもなかったことにしてしまえばいい。そう考えたのではないでしょうか?」
「まさか……」
「おそらく、確実に遺言状を処分するためにミセス・コリンズの屋敷に忍び込んだのだと思います。でも、見つからなかった。そこで、隣人であるターナーさんに遺言状を預けたと考えたのでしょう」
思いもよらない言葉に、クロエは目を見開いた。
「え? 私、ですか? でも、私は遺言状なんて聞いたことも……」
「もちろんわかっています。でも、犯人は違う。ミセス・コリンズがターナーさんに合鍵を預けていることを知って、親しい間柄だと勘違いしたんでしょう。なので、今度はあなた方を脅すことにしたんです」
「私を?」
「正確には、ターナーさんとご主人ですね。一時的にでも家から離れれば、その間に忍び込むことができますから。……誰かに人魂の話をしませんでしたか?」
「地区の婦人会で、少し……」
恐ろしくて、つい相談してしまったのだ。
「噂はすぐに広まります。きっとターナーさんが隣人の亡霊を怖がっていると犯人の耳にも入って、逆に利用しようとしたのでしょう。血なんて手に入れようと思えばすぐに手配できますし」
クロエは呆然とした様子で呟いた。
それは、つまり――
「……幽霊じゃ、なかった?」
すると、コンスタンスがきょとんした表情を浮かべた。
「幽霊の方がよかったですか?」
クロエは小さく首を振った。そんなわけがない。ただ今思えば――人魂も、悲鳴も、すぐに勘違いだと気づけるようなことだったはずだ。
けれど、幽霊だと思ってしまった。
そうに違いないと、思い込んでしまった。
自責の念のとともに。
(……でも、幽霊じゃなかった。ミセス・コリンズじゃ、なかった)
安堵なのか落胆なのかよくわからない気持ちになりながら、クロエは、ぽつりと口を開いた。
「……ミセス・コリンズの庭は、いつも、すごく素敵だったんです」
唐突に関係のない話を告げても、コンスタンスは驚いた様子を見せなかった。そのことに、クロエは少しだけほっとする。
きっと本当は、誰かに聞いて欲しかったのだと思う。
「一年中、色とりどりの花が咲いていて」
白、ピンク、紫。一人で世話をしているとは思えないほど鮮やかで、いつ見ても生き生きと輝いていた。
「私は不器用で、しょっちゅう庭の草木を枯らしてしまっていて。それで、ある日、私から声をかけてみたんです。深い理由なんてありませんでした。ただ、手入れの仕方を知りたかっただけなんです」
でも、返ってきたのは言葉ではなく、冷たい一瞥だけだった。
「それで、私も何だか意地になってしまって。毎日声をかけていたら、文句を言いながらも簡単な助言をしてくれるようになったんです」
助言と言っても、最初は独り言のようだった。
そう言えば、水をやりすぎると根が腐るのよね、とか。
肥料は与えすぎると病害虫になりやすくなるから気をつけないといけないのよね、とか。
「そのうちミセス・コリンズが毎朝決まった時間に庭に水やりをしていることに気がついて。それがちょうど私が主人を見送りに出る時間と一緒だったので、そこから、少しずつ世間話をするようになって――」
クロエは、どこか懐かしむように笑みを浮かべた。
「世間話と言っても、彼女が話すのはいつも亡くなられた旦那さんのことなんです。背が高くて喋っていると首が疲れたとか、目つきが悪くてよく子供に泣かれていたとか。ああ、それと庭の花は旦那さんからの初めてもらった贈り物なんだと嬉しそうに話していました。確かフェアリースターと言っていたかしら」
強引に実家に連れ戻されることになり、やっとの思いで前の家から苗をひとつ持ち帰ってきたのだと言っていた。
そうして我が子のように大切に育てられたフェアリースターは、ミセス・コリンズが死んでからも、彼女の庭を美しく彩っている。
「……ミセス・コリンズが死ぬ前日、はじめて、些細なことで言い争いをしたんです」
――咳が。
咳が、気になったのだ。乾いた咳だった。日に日にひどくなっていくその咳が、夏からずっと続いていることも知っていた。
なのにたいしたことはないと言い張るものだから、つい、なぜ医者を呼ばないのかと強い口調で責めてしまったのだ。
あの人は、少しだけ驚いたようだった。けれど、すぐに他人に口出しされる筋合いはないと言い返してきた。だからクロエもさらに言い返して――
険悪な空気のまま別れたのは初めてのことだった。
「……ミセス・コリンズは、いつも、日が暮れる前に庭の散歩をするんです。でも、その日は現れなくて。気にはなったんですけど、きっと意地を張っているんだろうって。どうせまた明日会えるから、その時に謝ればいいと、そう思って――」
けれど、そのままミセス・コリンズは死んでしまった。
「彼女を最初に見つけたのは私だったんです」
翌日、朝の水やりにも現れなくて、そこで初めて異常に気づいた。
合鍵を使って屋敷に入ると、ミセス・コリンズが倒れていた。玄関だった。帽子と杖を持っていたから、きっと、いつものように庭の散歩をしようとしていたのだろう。
医師によれば、直接的な死因は心臓発作だったという。ただ、体調不良で体力が落ちていたのも要因のひとつかもしれない、と言っていた。
「……あれから、ずっと、後悔していて。もしあの時、私が屋敷まで見に行っていたら、ミセス・コリンズはまだ生きていたんじゃないかって」
意地なんて張らなければよかった。何度そう思ったことだろう。
あの人が素直でない性格であることくらい、とっくの昔にわかっていたはずなのに。
「だから、そのせいで、私のことを恨んでいるんじゃないかって――」
「ターナーさん」
ふいに、少女がクロエの名を呼んだ。
「ミセス・コリンズは、きっと、あなたに感謝していたと思いますよ」
(……何も知らないくせに)
言いかけた言葉を飲み込み、ぐっと唇を噛みしめる。それが善意からの言葉であることくらいわかっていた。けれど、わかりやすい慰めに答える余裕は、まだ、ない。
ない、はず、なのだが――
「……そう言えば、フェアリースターって乾燥した環境を好むんですよね」
続く言葉があまりに予想外だったため、思わず「え?」と反応してしまった。
「実は私も小さい頃、どうしても花を育てたくなって。でも不器用だから片っ端から枯らしてしまっていたんです。そしたら庭師のおじいちゃんが、初心者にぴったりの花があるって教えてくれて――」
そこで少女は言葉をとめて、どこか悪戯っぽく瞳を輝かせた。
「ねえ、ターナーさん。あの花は毎日水やりをする必要がないんですよ。なのに、どうして、ミセス・コリンズは毎朝庭に水やりをしに来ていたんでしょう。それも、偏屈で、人嫌いで、とっても気難しいという方が――」
クロエはゆっくりと瞬きをした。
「――どう考えても、あなたとくだらない世間話をするためだったと思いませんか?」
「あ……」
思わず言葉を失う。
コンスタンスはにっこりと笑った。
それから、目を見開いたまま固まっているクロエに向かって「ところで――」と話しかけた。
「屋敷の中でミセス・コリンズが気に入っていた場所ってありますか?」
「……気に入っていた場所、ですか?」
はっと我に返ったクロエは、しばらく逡巡してから、「庭だと思います」と答えた。
「小人の置物が特にお気に入りで。暖かい日は腰掛けて、よく啄木鳥の巣を眺めていました」
「啄木鳥?」
「はい。今はもう鳥はいないんですけど。丸い巣穴が面白いからって、大工を呼んでわざわざ木の扉をつけたんです。ちょっとした小物入れとして使っているって言っていました」
ふむ、と少女は頷いた。
「なら、そこですね」
「え?」
「遺言状です。根っからの人嫌いが、大事なものを誰かに託すわけがないので。おそらくそこにあるはずです。代理人の方に連絡をしてみてください。遺言状の内容を公表してしまえば、さすがに犯人も諦めるでしょうから」
そこまで言うと少しだけ険しい表情になり、「それと」と言葉を続けた。
「今回の件は、憲兵局にも相談した方がいいと思います」
「え……? でも、実際に何かされたわけではないですし……」
「――住居不法侵入に器物損壊。犯人がやったことは、れっきとした犯罪です」
コンスタンスはきっぱりと告げる。
「それに、他にも余罪があるかも知れません。行きにくいようなら、私も一緒に付き添いますから」
クロエはぱちぱちと瞬きを繰り返した。
「……なら、夫と一緒に行ってみます」
そう告げれば、少女はほっとしたように表情を緩めた。クロエは何だか妙に落ち着かない気持ちになって「あの……!」と声を上げる。
「やっぱり相談料をお支払いしたいんですが……」
「私はただ世間話をしただけなので」
「でも――」
納得できずに食い下がっていると、少女が何かを思いついたように手を叩いた。
「でしたらひとつお願いが」
「お願い?」
少女はにっこりと微笑んだ。
「はい。もしターナーさんの周りで困っている人がいたら、その時はぜひ、薔薇十字探偵事務所を勧めてくださいね」
〇
『――コンスタンス』
クロエは何度も礼を言いながら帰っていき、セバスチャンもテーブルの上の茶器を片づけるために出て行ってしまった。
すっかり静かになった応接間で、半眼になったスカーレットがコニーを見下ろしている。
『わたくし、偏屈ババアがあの根暗女と話したがっていたなんて一言も言ってなくてよ』
コニーはきょとんと首を傾げた。
「え? だってそれ以外に水やりに来る必要ある?」
スカーレットが小馬鹿にするように鼻を鳴らす。
『他に水やりが必要な花があるって可能性は?』
「――あ」
『お前の頭の中が一番お花畑ね』
盛大な嫌味に顔を引き攣らせていると、扉がノックされ、セバスチャンが戻ってきた。
「お疲れ様でございました」
「ありがとうございます、セバスチャンさん」
「どうか、セバスと」
老紳士はにっこりと微笑んだ。その慈愛に満ちた微笑に、コニーの良心がチクリと痛む。
「……セバスさん。あの、ごめんなさい。けっきょく依頼を受けずにお客様を帰してしまって」
「ほほ、何を仰います。コンスタンス様はきちんとご依頼人の相談を解決されたではないですか。後ろで聞いておりましたが、素晴らしいお仕事ぶりでしたよ」
「い、いえ、ただ話を聞いただけというか……」
「ご謙遜を。それに、ご婦人方のコミュニティというものを甘くみてはいけませんよ。そういう意味では何よりの報酬を頂いたことになりますね。この場所が王都一の探偵事務所になる日もそう遠くないでしょう」
「せ、セバスさん……!」
コニーは感動したように口元を手で覆った。
「私、私……がんばりますっ!」
「ほほ、もう充分頑張っていらっしゃいますよ」
そのやり取りを見ていたスカーレットがぼそりと呟く。
『……こうやって懐柔していくのね。うちのクロードとは違った意味で怖いわ』
「え? 何か言った?」
コニーが小声で聞き返していると、どこからともなくぱたぱたぱたという軽快な足音が聞こえてきた。「うん?」と振り返ると、次の瞬間、開け放たれたままのドアから金色の塊が飛び込んでくる。
「コニーお姉さまーーー!」
「ぐえっ」
勢いよく抱き着いてきたのは、ふわふわの金の巻き毛を持つ天使だ。
「え? ルチアちゃん? 本当に? どうしてここにいるの?」
コニーが混乱していると、少し遅れて「おい馬鹿、走るなって。ジジイに怒られるぞ」と言いながらオルダス・クレイトンが入ってくる。
ルチアはきらきらとした笑顔を浮かべながらコニーを見上げ、「セバスチャンの迎えに来たんですの!」と言った。
「うちの爺や、こうるさかったでしょう!?」
「こっ……!? いやむしろすごく良くしてもらったけど……!」
「まあ! 爺やったら大きな猫ちゃんを被ってるんですのね!」
くふふ、とルチアは両手を口元に当てながら笑いを噛み殺した。するとセバスチャンがこれみよがしに溜息をつく。
「ルチア様、少しお口が過ぎますよ。それに淑女たるものお外ではあまり大声を出してはいけません。お知り合いであろうと飛びつくなどもっての外です。迎えに来て頂いたことはとても嬉しく思いますが、そもそも今日の宿題はちゃんと終わったのですか?」
すると、ご機嫌だったルチアの頬がぷくりと膨らんだ。
「ほら聞きましたかお姉さま! 小言ですわ! せっかくルチアが迎えに来たのに流れるような小言ですわ! もうっ、もうっ、本当にこうるさいんですの! 小姑ですのーーーー!」
地団太を踏むと、セバスチャンに向かってびしりと指を差し、「宿題ならばっちり終わってますの!」と言い切った。
しかしすぐさま「いや終わってないだろ」というオルダスの突っ込みが入る。
ルチアは愕然とした表情を浮かべた。
「う、裏切者がいますの……!」
するとセバスチャンは、ルチアでなくオルダスにじとっとした眼差しを向けた。
「……ルディ、あなたにはお嬢様のお目付け役をお願いしたはずですよね?」
その途端、オルダスがぎくりと表情を強張らせる。
「あーいや、その」
「――オルダス・クレイトン」
セバスチャンがぴしゃりと告げた。
「あなたはルチア様に甘すぎます。ルチア様のことを真に思うなら心を鬼にすることも必要だと何度言えばわかるのですか。まったく、嫌われたくないからといい顔ばかりして。このことはアビゲイル様にきちんとご報告しておきますからね」
オルダスは顔を引き攣らせながら「こ、こうるせえ……」と低く呻く。それからコニーの視線に気づいたのか、こほん、と咳払いをするとわざとらしく話題を変えた。
「そう言えば、ちゃんと客来たんだな」
コニーがきょとんと目を瞬かせると、「ちょうど入れ違いだったんだよ」と告げる。おそらくクロエのことだろう。
「ルチアも見たんですの。アビーくらいの女の方とおばあ様の二人連れでしたの」
「いやひとりだっただろ。三十代くらいの女がひとり」
ルチアとオルダスは互いに怪訝な表情で見つめ合うと、まるで示し合わせたように小さく「「……あっ」」と呟いた。
そうして、そのまま何事もなかったように再び二人で前を向く。
その様子を見ていたコニーとスカーレットは思わず顔を見合わせ、無言のまま視線を交わした。
もしや、ルチアが視たというおばあ様というのは――
「……ま、まさか本当に恨んでたわけじゃないよね?」
『さあ、どうかしらね』
「スカーレット……!」
ふふん、と鼻で笑っていたスカーレットだったが、しばらくしてから非常に不本意そうな表情で口を開いた。
『――きっと今頃は心配ごとも消えて旦那のところに行っているわよ』
「へ?」
『もうっ、鈍いわね! お前の迷推理もあながち的外れじゃなかったのかもしれないってことよ……!』
その言葉に、コニーはわずかに目を見開く。
別れ際に見たクロエのはにかむような笑顔を思い出しながら、コニーは「……そっか」と呟いた。
それからつられるように微笑みながら、窓の外へと視線を向けた。
次話は(間に合えば)月曜更新予定ですーー!