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「ゴイチ」

 帰りの車中、スティンガーが冷たい声を出した。

「スティンガー、どうした?」

「動きが鈍っている。防弾を通してだとはいえ、弾丸を受けるという醜態をどう思う?」

「なんで防弾着てるのにわかるんだ? 確かに一発喰らったけどさ」

 ゴイチは清掃服の裏から弾丸が通った穴に指を出し入れしながら言った。

「お前の動きは大体見ていた。見張り役のサングラスをかけた男に喰らっただろう」

 ゴイチは軽くため息をついた。

「そこまで見えてたんなら、少しは助力してくれよ。三十人以上相手にしてるんだから、こっちは猫の手も欲しい状態だったんだぜ」

「……以前のお前ならあんな事になりはしなかった」

 ハイブが口を挟んだ。

「おいおいスティンガー。お前がゴイチを買ってるのは知っているがよ、ほぼ無傷で生還したんだ、少々手厳しいってモンだろその言い方は」

「無傷とほぼ無傷の差は、天と地ほどもある」

 ハイブはやれやれと首を振った。

「おい、聞いたかゴイチ、お姫様はお前の働きにおかんむりだとよ」

「悪ぃ、すまなかった。次は上手くやるよ。……それよりハイブ、国際電話って経費で落ちないかな?」

「クライアントとの通話なら落ちるだろうさ。私用なんざ論外だ」

「……だよなあ。ま、しょうがないよな」

 そう言うなり、ゴイチは国際電話をかけ始めた。

「おい、聞いているのかゴイチ!」

 スティンガーは怒鳴ったが、ゴイチが電話をかけ始めたのを見て、呆れてため息をついた。

「あ、俺です。冴一ゴイチです。連絡が遅い? あ、ああ、ごめん、ごめんよ。そろそろ帰れそうなんだ。ああ、それは間違いない。うん。い、いやあ、とにかく晩御飯には間に合いそうもない。ごめん。いや本当にごめん。この埋め合わせは……あ……」

 電話は無情にも切られた。

 その無様な様子を見て、スティンガーは、苦虫を噛み潰したような顔をし、ハイブはやれやれと首を振った。

「どうにか今日中には着くようにするぜ。ま、大変だよなゴイチ」

 冴一は苦笑して見せた。

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