プロローグ
『お願い致します!もう一度だけ!もう一度だけチャンスをください!!』
『その言葉は聞き飽きた。お前に死神の才能はない。お遊びはもうおしまいだ。』
『そこをなんとか…!お願い致します!お願い致します!どんなことでもやりますから…!もう一度だけ!もう一度だけ…!』
『……………ほう?どんなことでも…?』
『はい!どんなことでも致します!』
『……お前の落ちこぼれぶりには、本っ当に、時間も、労力も、何もかもを無駄にした。………もし、今度の送り人を狩り損ねたら………その時には……分かっているのだろうな?』
『…………はい。承知の上です。』
『……フッ、それなら、本当に本当に最後のチャンスだ。久楽部 花太、こいつを黄泉へ送れ。』
『……!はい!!!』
『本当に、最後…だからな?』
『承知しました。必ずやその命、頂いて参ります。』
『ああ…期待せず、待っているぞ。』
『………はい。』
深く頭を下げた後、飛び立って行った彼女を一瞥し、顔色も変えずに呟く。
『すまないな、ノル。悪いがお前の死神追放は確実だ。
なにせ久楽部 花太……こいつだけはどんなに優秀な死神をもってしても、黄泉へ送ることは不可能だったのだからな。まぁ、せいぜい頑張るといい……』
そうして彼女が行った方向を眺めながら、薄く笑った。