第2話「開戦」
女子高校生鈴谷榛名と青葉なつ。
二人は特殊な能力者の一族だった。
しかし彼女達の日常はギガス帝国軍の地球侵略によって非日常へと変わる。
急速な宇宙縮小化が始まった近未来で第一次地球防衛戦争の幕が切って落とされる。
鈴谷榛名が放った擬似太陽サンボールはギガス・アルタミナの目前に迫った。
「しまっ…た」
ギガス・アルタミナは身を翻すも、時すでに遅く、擬似太陽サンボールは彼の身体に接触した。
その刹那、鈴谷榛名の掌で放たれた光よりも強い光を放ち、凄まじい轟音と炎と共に辺りを飲み込んだ。
ギガス・アルタミナの乗っていた飛行機は粉々になり、ギガス・アルタミナも爆発に巻き込まれた。
「周りを考えればこんなもんかしら」
鈴谷榛名は服についた粉塵を手で落としながら呟いた。
その時、後ろにいた青葉なつが叫んだ。
「榛名お嬢様!!敵が前方に!!」
「敵?」
「奴はまだ生きてます!それどころか、奴以外の生体反応が次々と!」
「なっ…擬似太陽を喰らって生き延びれるわけが…」
「生き延びれるのさ」
粉塵の中からギガス・アルタミナの声が聞こえた。
粉々になったコックピットの上に彼は立っていた。
火傷はおろか傷すら負っていない。
「驚いたよ。まさか擬似太陽を生み出せる小娘だったとはね。だが、あんたが擬似太陽を生み出せるように私にも一つ能力があってね。それがこの再生能力さ。どんな攻撃を受けようと、細胞の破壊と同時にそれを上回る再生によって身体を保つのさ。つまり私にとって死も生も無いに等しい。残念だったね。お嬢ちゃん?」
彼が喋り終えると周りには無数の浮遊している飛行機の艦隊が集まっていた。
「さぁ、ギガス帝国軍の地球侵略の始まりだッ!!」
ギガス・アルタミナが指をパチンと鳴らすと、無数の飛行機から銃口が向けられた。
「だったら…再生するより先にッッ!焼くだけだッ!!!」
鈴谷榛名は次々と擬似太陽サンボールを放ち敵艦隊を破壊していった。
「榛名お嬢様ッ!擬似太陽の連続生産は危険ですッ!手が焼け落ちますよッ!」
「知ったことかッ!!!」
鈴谷榛名は青葉なつの忠告を聞かずに、次々と擬似太陽を放ち続けた。
こうして第一次地球防衛戦争は開戦を告げた。
そしてそれは彼女達の日常が非日常に変わる瞬間でもあった。