してはいけない事を全力でやってみた〜二人乗り〜
なんか漫画の1ページギャグのノリで滅茶苦茶短いのかいてみました。
この作品はフィクションです。実際の個人・団体・事件等とは一切関係ありません。
大事なことなので二回書きますが、この作品はフィクションです。実際の個人・団体・事件等とは一切関係ありません。
放課後の教室。
「なぁ、今日、俺の自転車に二人乗りで帰らないか?」
どこにでもいる高校生の俺、赤間 黄太はどこにでもいる友達の女子高生 青山 みどりにそう笑顔で提案した。
すると、帰り支度をしていた青山はこちらを一瞥し短く言い捨てる。
「…………嫌だ」
「……理由を聞こうか」
「それは、私のセリフよ。なぜ急にそんなことを考えたの」
やれやれ、全くこの女は分かってない。親しい女の子と二人乗りして下校したい男子高校生の思考なんてひとつだろ。
「やっちゃ駄目って言われてるから」
「またそれか!」
青山の鋭いツッコミが物理的に俺の喉に水平チョップという形で刺さる。危険なので真似はしないでください。
「いい加減あんたのやっちゃ駄目なことやる癖直しな。危険でしかないわ」
「なんどよ~、だいたい野暮なんだよなぁ。そういうシーン原作だとやってたのに実写化やアニメ化の際、消されてるし」
「何の話よ」
「最悪の場合、二人は私有地を走っていますとか入れとけば大丈夫なんだろ。ハ○テやマリ○テは天才だな。あれが大丈夫になるなら何でもありだよ」
「でも、二人乗りがいいシーンであればある程真似しちゃって怪我しちゃう人が出てくるでしょ」
「そんなの相当小さい子供か年いってる中年だろ。高校生の屈強な足腰なめんなよ。なんで下々のものに合わせなきゃいけないんだよ。二人乗り免許制にすっぞ」
「高校生なんて社会的立場で言えばかなり下々のものだと思うわよ」
「青山頼むよ~。俺はアマ○ミや○リアの騎士の仇を取りたいんだよ」
「……誰も頼んでないし」
俺の駄々に呆れたのか青山のきつめの流し眼がさらにきつくなる。
「いい? 自転車の二人乗りは道路交通法第55条に触れ五万円以下の罰金が科せられるのよ。その覚悟があるの?」
青山の至極正論に俺は不敵な笑みを浮かべる。
「ふっ、何を言うかと思えばそんなこととっくに知ってるさ。 ……だから」
「だから?」
「あらかじめ五万円用意しました!」
「その発想は一番やばい奴だからマジでやめなさい」
マジトーンだった。
「テロップ出すからいいじゃん。現実とマンガや小説の区別がつかない奴らはほうっておこうぜ。ハル○なんて三人乗りだよ?」
なおも俺は熱弁をふるう。
「いつか俺、愛知で二人乗りのアニメを放送するのが夢なんだ!」
「そのネタどのくらいの人に認知されてるのかしら?」
「考えてみろよ。こんな誰の目にも止まらないわけのわからない小説で二人乗りしたて何の問題がある?」
青山の顔があきれ顔になる。
「急にメタレベルあげたわね」
これは、もうひと押しな気がする。
「俺はなにも三次元で二人乗りをしろってんじゃないんだ。フィクションの自由を取り戻すために三次元じゃ駄目なことを、ここで目一杯やりたいだけなんだ」
「急に高尚なこと言い出したわね」
「頼む。青山、俺と二人乗りしてくれ!」
俺は両手を合わせ青山に拝みまくる。
青山はそれを見て顔を少しそらすと、
「……ちゃんとテロップ入れなさいよ」
「あぁ!」
「要は法に触れてませんよってわかればいいんだろ?」
※主人公は高校二年生で実年齢は十七歳です。十六歳以上の者が、幼児用座席を取り付けた自転車に六歳未満の幼児を乗車される場合、特例として道路交通法第55条に触れません。ヒロインは、この作品では日本国内でも飛び級が認められており五歳児にして高校二年生のため二人乗りは罪に問われません。
二人乗りをするために色々なものを曲げ、幼児用座席に座っている青山にど突かれながらも感じたその風はどこか心地よかった。