第一章 第二話 ウズドガルド大公領へ
「いいですなァ・・・列車の旅・・・」
なぜか、ラナは、「スパークリングワイン」をかっ喰らっている。
「物好きねぇ・・・車窓を愉しまず、酒をかっ喰らって・・・」
ハルモニアは、あきれ返っている。
高速鉄道トラルティールエクスプレス・・・
目的地は、勇者の一人・レミナリア・ウズドガルドの邸宅だ。
由緒ある王族の末裔でもある。
「話題の人だもんね。「売れる」わ。」
「しかし・・・お爺様といい、ノブナガ公といい・・・このキティルハルム産の妙な酒のどこがいいのやら・・・」
コハルは、スパークリングワインを飲むラナを見た。
地球のシャンパンとも称される、スパークリングワインは、発泡酒である。
が、とある時代のキティルハルムの蔵元が、「電撃の魔法」を最小化して封じ込め、つくりあげたワインである。
「しかし・・・この「列車」ってシロモノ・・・そもそも誰が開発したのかしら・・・」
ラナが、呟いた。
ごすっ!
「あだっ!」
「あんたの、遠いご先祖様!」
ハルモニアは、ラナの頭を殴った。
「忘れないでよ。「大魔導師」「錬金術師」の「エリティア・ティアムル」!パスキール大帝国の最後の大帝アランの子孫でしょ!」
「お忘れですか?ハルモニアお嬢様も「御子孫」のお一人です。」
「そうだった・・・」
ヤタノが補足し、ハルモニアはげんなりとした。
リシテアールの錬金術・科学技術の発展は、現在のライテス一族ばかりがクローズアップされるが、それまでは、エリティア・ティアムルやキティルハルムの技術者によるところが、大きい。
「お爺様も、「よくぞこんなものをキティルハルムの技術を使わず、開発したものだ。」と言っていたわ。」
コハルは、目を輝かせている。
いつもの仏頂面が、ウソのようだ。
なにせ、彼女は科学導師である。
「ところでさ・・・」
ラナが、切り出した。
「次期ウズドガルド大公って・・・どんな人だっけ・・・」