第三章 第二話 考古長官ミスティア・キティルハルム
「それは、感心です。「古代文明」のことを知りたいとは。」
キティルハルム考古庁の長官ミスティア・キティルハルムは、開口一番にこう言った。
「まずは、医療から・・・」
「そこにいきますか・・・いきなり・・・やはり、最高権威はハルカ・オガタ博士でした。あなたもライテス卿の孫ならご存知でしょう。「超魔王」を作成し、当時の文明に叛旗を翻した期待の超テロリストです。彼女の専攻は「医療遺伝子工学」です。」
ミスティアは、ノワール二世に似ていると言わしめた容貌と、メガネが特徴の人物である。
「なぜ、彼女は「反乱」を起こしたのですか?」
ハルモニアは、尋ねた。
「人の進路を考えると・・・やはり、「恋愛」が全てではないでしょう。そもそも、あなたの母上が「恋愛」を嫌った一因は、群がる男たちが全て「恋愛目的」だったからです。伯母様に紹介されたとはいえ、父上とうまくいったのは、話が合うから・・・言ってみれば「馬が合う」ということでしょう。ハルカ博士に言い寄っていた「助手」が、そういう人なら、超魔王は誕生しなかったかもしれません。」
「じゃあ・・・地球では・・・」
「軍事医療の祖とされる、フローレンス・ナイチンゲール氏・・・大英帝国の女王エリザベス、そういった偉人は、生涯独身だったそうです。恐らく言い寄る男がすべて「馬が合わなかった」のではないかと、あなたのお爺様は推測しています。問題なのは、「それなのに一方的に言い寄る」「無理矢理推奨する」という事例が増えているため、それに減滅した若年層が、「絶食化」しているのです。」
「「人事」ではないんですね・・・」
「ええ。お爺様の言われましたよ。「私は言わば、真面目すぎてバカになった男の代表格」だとね・・・」
ハルモニアは、少し考えた。
「と・・・いうことは、キティルハルムのシステムは・・・」
「そうですね・・・「そうなること」を未然に防いでいます。」
ミスティは、ハルモニアを見た。
「母上は、言われました。「皆、変えようと努力している。無駄だからやめろというのならともかく、けなすことは許さない。」と・・・」




