第三章 レポート4ウナギの老舗
「たらったららったらったウナギのダンスぅ~」
歌いながら、ウナギを焼いているのは、ウナギの名店ルシア庵の店主アラシア・ルシア・ミケランジェロである。
この店の看板メニュー「ウナギの蒲焼」は、ライテスの監修で完成し、邪馬台国の皇帝ヤマトタケルと皇后オトタチバナが、絶賛したというのが売りである。
「いらっしゃい!」
いかにも、稲荷族が好みそうな店構えの店に、ハルモニアたちは入った。
「ここのウナギって美味しいって、父上が言ってたっけ・・・」
「大旦那様は、「蒲焼」の手法をお伝えになったと聞きます。」
「ねえ!ここ、「売れる」んじゃない?」
「そうねえ・・・」
今では、ウナギのタレは様々あるが、ここのものは、秘伝のタレと呼ばれている。
「ウチのおばあちゃんの代から、同じ材料で定期的に、同じ分量で足しているにゃ。」
そう言ったのは、取材に協力している看板娘にして三代目オルミア・ルシア・ミケランジェロである。
「醤油、砂糖、山椒・・・後は、企業秘密だにゃ。ハルさんたちは、商売敵にはばらさないだろうけど、勝手にやって、「著作権侵害」で、法廷沙汰になる可能性があるにゃ。」
「き・・・厳しいわね・・・」
「この業界、シビアだにゃ。」
オルミアは、続ける。
「「地球」では、どこでもそうだったらしいにゃ。ある画期的な料理法を確立した親父が、パクられまくって、気がついたら「特許」が取れなくて、死ぬほど困ったという話があったにゃ。」
「どうせ、お爺様の受け売りでしょ?」
「でも、バカにできないにゃ。ライテス卿は、いろんなところの発展に尽くしたお人にゃ。あの人が「アホ」なのは、「頼られすぎ」がイヤだからと見たにゃ。」




