第一章 ライテス家
「ぶははははッ!「国王」にそんなこと言われるの、あんたらだけよ!」
まだ若い、エリアリア・ライテスが爆笑した。
「お婆様・・・私は、お爺様や母上の二の舞になりたくは・・・」
「はいはい・・・わかってるわかってる。」
グチる、ハルモニアをルミナリアはなだめる。
科学導師の白衣が、似合っている。
「「世界旅行をしてレポートをまとめよ。」か・・・平和だからねぇ・・・今はどこの国も、「観光産業」に力を入れてるって聞くわ。あんたらのレポートなら、「売れる」わよ。」
「「勇者の娘」「連合軍総参謀の孫」のブランド?」
「それもある。けど、あなた・・・どうせなら「ハルモニア・ライテス」で「売りたい」と思わない?」
「えっ?」
「子供の頃は、父上と陛下に迷惑かけたなァ・・・「婿はいらん!私が当主やったあと、ユイかその子にやらせろ!」ってね・・・おかげで「銀魚」創るわ、「ロボの石」創るわ・・・変り種には「鋼鉄製」の「アイロン」まで創る始末だったっけ・・・さすがに「あずさ2号」には、キレたけど。」
ハルモニアは、思った。
なにやってた・・・クソジジイ・・・
「私が押し付けたのよ・・・「当主」は。そうしなければ、あなたなんて生まれなかった。」
ユイが言った。
「叔母様・・・」
「クソ真面目な「絶食家」でね・・・「皆の笑顔を守るため」って言って、あなたのお父さんと交際するまで、言い寄る男すべての「お宝」を潰してたわ。」
世に伝わる美談とだいぶ違う。
「教科書だと、「私の貞操は、夫となる人にのみ!」って書いてあったわよ。」
「ウソよ。ねえ様、「自分の恋愛が、悪」だったのよ。大体にして、かあ様を救出したときのとう様の戦いの時、かあ様が「お姫様」らしくおとなしくしていたってのもウソ。義兄様の愛読書によると、誘拐犯の「お宝」を潰したそうよ。」
「う・・・うあ~・・・ウチの家系って・・・」
それよりも・・・と、ユイはハルモニアを見た。
「あんた・・・「優等生」に見えない面してるわねえ・・・子供のころ、「胸毛野牛」の懐に飛び込んで「お宝」を潰して仕留めて、しょっちゅう焼いて食べてたっけ・・・人猫じみたことしてるわね。」
人猫の女王ニウ二世は、幼い頃、そうやって狩りをしたそうである。
「私は、狼の腹を足蹴にして、はらわたを破って、脊髄を踏み抜いていたわ。」
くすりと笑う、コハル。
「私・・・自分の娘が、「こんなもん」になるとは思わなかった・・・」
「所詮、世の中なんて「そんなもん」だから「真面目でプライドのある者」同士、お互いが、「下劣で不真面目な者」に見えてケンカする。」
そう・・・
所詮、そんなもんである。




