第一章 第一話 釣り姫
キティルハルムの漁港の一角・・・
ここでは、王太子プリシラと王太子補佐官ジルが、休日の釣りを楽しんでいた。
「かかった!」
「こっちもです!」
二人して、竿を引き、リールを巻く。
それをハルモニアたちは、見ていた。
「う・・・動きが見えない・・・」
プリシラとジルのリールを巻くスピードが、尋常ではなく速い。
「よく壊れないな・・・」
「私は今・・・熱血してるゥ!」
プリシラの身体から、神波動がほとばしり、猫神化する。
「おめでとうございます!殿下!僕もがんばるぞ!」
そして・・・
ざっぱーん!
二人同時に、体長百二十メートルの巨大種『ノワールオオウナギ』を釣り上げた。
「「「「なんじゃこりゃあああ!」」」」
キティルハルム近海には、なぜか古代種や巨大種が生息している。
初代女王ノワールは、釣り好きであると同時に、海生物研究家でもあったようだ。
『ノワールオオウナギ』を最初に見たときはこう述べている。
『生物学上の発見だ。しかし、尋常もなく美味しそうだ。一粒で二度美味しいとはこのことだ。』
「あら?観光客の方かしら。」
ノワールオオウナギに一撃を入れて、ハルモニアたちを見るプリシラだった。