プロローグ
トラルティール総合学院の卒業生の三人は、国王ユーフェルに呼び出された。
ユーフェルは、気さくな王として知られる。
この世界では、王が「客」として人に会う場合は、応接間と相場が決まっている。
いつもは、応接間に通されるのに、謁見の間である。
「なぜ、呼び出されたかわかるか?」
「いいえ。」
開口一番に、ハルモニア・ライテスは応えた。
「これだ・・・お前の母親は、物分りがよかったが・・・」
ハルモニアは、むっとする。
いつもコレだ・・・
この大叔父は、いつも勇者だった母親と比較する。
「はいはーい!どういうことでしょ~?」
能天気に尋ねたのは、ドナ・ティアムル。
「進路希望に「ニート」とある!」
「何か問題でも?」
ハルモニアの従姉妹のコハル・ライテスが、仏頂面で聞く。
「大アリだ!そなたら、卒業生の中でも「主席」だ!それが「ニート」だと!?外聞が悪いわ!特にハルモニアとコハルの祖父であるライテスは、三男で生活に困らん立場であるというのに、みっちり学び、修行し騎士まで勤め、「連合軍総参謀」まで勤めたのだぞ!」
「その結果が、仕事浸けの「アホ総合導師」です。未だに、ウチの池には祖父の創った「銀魚」が、泳いでいます。」
「くくく・・・」
そのハルモニアの返答に、ユーフェルは、不穏な笑みを浮かべた。
「「「!!!」」」
三人の背筋が、凍った。
「いいだろう。遊びが仕事の職に就けてやる。が、怠けるなよ・・・」
なまじ国王が身内であると、こういうとき怖い・・・