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厄神様はかく過ごせり

都合上連載小説へと変更させていただきました。

短編の方を読んで頂いた皆様、まことに申し訳ありません。内容は変わりません。

また、連載小説「厄神様はかく語りき」を読んでいないとさっぱりだと思います。

そんなものに興味はない、という方は他の小説を探しになっていただくか或いは勇敢にもこのままお進み下さい。

 皆さん、おはようございます。小夜です。

 直樹さんには厄病神と不名誉な呼び方で呼ばれ続けていますが、ちゃんと名前があるんですよ?

 本当はわたし自身の1日をお伝えしなければならないのですが、わたしは一部の人としか会話ができない上にほとんど直樹さんと同じ生活リズムをしていますので、今回は代わりに直樹さんの1日をレポートしていきたいと思います。

 

 

「直樹さん、朝ですよ」

「………」

 直樹さんは今大きな家で一人暮らしをしています。両親の方は共に海外出張らしく、ほとんど戻ってこられないそうです。

 そのため直樹さんは目覚まし時計で起きることに慣れてしまったようで、わたしが起こそうとしてもまったく起きてくれません。

 以前に目覚ましを止めてから起こしたときは結局遅刻してしまい、怒られてしまいました。

 それから保険として目覚まし時計のアラームをつけたままで起こしているのですが、そうすると余計目覚まし時計が鳴るまで起きてもらえなくなってしまいました。

――ジリリリリリリリ!!

「……ん、朝か。……厄病神、着がえる。出てけ」

「…………」

 ……今日も失敗してしまいました。いつか目覚まし時計が鳴る前に起こせるよう頑張ります。

 ……それにしても、あの言い方はちょっとひどいと思います……。

 

 

 朝食は直樹さんと一緒に作ります。

 確かに最初に作ったときは少し失敗してしまいましたが、今では目玉焼きだってきちんと焼けます。それなのにトーストを焼くこととお皿に盛り付けることしか許してくれません。

 わたしはご飯を食べることができないので、作るのは直樹さんの分だけです。

 直樹さんはだいぶ小食で、トーストと目玉焼き、それにサラダを少し食べるだけでお腹一杯のようです。

 それでも朝からしっかりと食べるから健康だ、と本人は言っています。

 

 

 その後は、直樹さんの通う高校へ行きます。

 直樹さんの家からは歩いて20分ほどの距離で、遅刻しない限りは随分のんびりと歩いていきます。

「よう狭山! 今日は早いんだな!」

「最初からいたかのような登場の仕方をするな。遅刻寸前の癖に」

 直樹さんのご友人の桜乃さんが登校してきました。直樹さんとは対照的にいつも遅刻の境界線にいるようです。

「はい、藤阪さん、遅刻ですね」

「分かってるわよ煩いわね!! 少しは大目に見なさいよ!!」

 そして今日も朝礼が始まってから教室に現れたのは藤阪さん。本当に遅刻の回数が多いです。

 わたしはこのお2人には姿が見えません。そのためわたしと直樹さんが話しているところを見られると直樹さんが変人に見られてしまいますので、できるだけ話しかけないようにしています。やっぱり直樹さんに迷惑はかけないようにしたいです。

 

 

「狭山、それではな」

「ああ。お前も部活頑張れよ」

 授業が終わり、クラスの人たちがそれぞれ家路についたり部活に行ったりします。凛さんは剣道部に所属していて、とてもお強いようです。

「凛さん、頑張って下さいね!」

「ああ、ありがとう」

 そして凛さんはわたしを見ることができる数少ない人たちの一人なのです。そのために少し危ない目にも遭ってしまいましたが、直樹さんを心配しての行動だったようで、とてもいい人でした。

 そして直樹さんは吹奏楽部へと向かいます。

 

 

「辻ーーーー!! お前は何度言えばーーーー!?」

「きゃーーー!! みんな逃げろーーー!!」

 直樹さんは今日も辻さんの悪戯に怒って追いかけっこをしています。実は直樹さん自身楽しんでいるのかもしれません。本当に迷惑なことにはしっかりとした拒絶の意思を表す人ですから。

「狭山くん! 貴方は本当に最高学年の自覚があるの!?」

「う……松崎……」

 そうしていつものように部長さんに怒られていました。非常にばつの悪そうな顔をしています。やっぱり本人も楽しんでいたのでしょう。

「……何を笑っている」

 ……睨まれてしまいました。どうやら気付かないうちに顔が笑っていたようです。

 

 

「やあやあ直樹氏! 今日も遊びに来たよ!」

「帰れ」

「……では失礼します」

「なんでお前が反応するんだ! 帰れといわれて本当に帰る部員がどこにいる!?」

 そして神楽さんと舞さんとも楽しくお話をしています。神楽さんはわたしと同じように幽霊から神様になった人で、今ではとても偉い人のようです。まったく知りませんでした。

 そして神楽さんが神様になる時に幸せを分けてもらっていたのが舞さんだそうです。

 このお2人も凛さんと同じくわたしの存在に気付いてもらえる人で、わたしも神楽さんには色々なことを教えてもらっています。

 ……できるだけわがままを言えばいいそうなのですが、あまり直樹さんに迷惑をかけることはできないので難しそうです。

 

 

「……お前が来てから急に毎日疲れるようになったな」

「直樹さんは皆さんにとても好かれているみたいですね」

「気持ちの悪いことを言うな」

 直樹さんは否定したいようですが、皆さんと話しているときのお顔はとても楽しそうです。幸せを分けていただくのが勿体無いくらいです。

――ドン!

――チャリチャリーーーン!!!

「…………」

 ……ところが、どうやら直樹さんがわたしのことを「厄病神」と呼ぶのも仕方のないことだと思ってしまうほど直樹さんには不運が降り注ぐようです。スーパーで夜ご飯の買い物を済ませようとしていた時、他の人にぶつかって財布の中身を床にちりばめてしまいました。

「直樹さん、大丈夫ですか?」

「……厄病神、たまには仕事を休んだらどうだ?」

 ひどいです。わたしは直樹さんに進んで厄介事を呼び込んだりはしません。時々はやっちゃうこともありますが、それでもいつもは願ってもいないのに直樹さんが困るようなことが起きてしまうのです。

 

 

「おい、俺は寝るぞ」

 夜ご飯を食べ終え、お風呂に入った直樹さんは高校生にしては渋めの寝巻き姿でわたしに報告をしにきました。

「はい。おやすみなさい」

「寝るなら電気は消せよ」

 直樹さんはそう言うと寝室へ入っていきました。

 わたしはこれからお風呂に入るのです。

 

 

 直樹さんは自分のことを幸せとは遠いものだと思っているみたいですが、全然そんな事はありません。

 自分の周りにある幸せに気付くことはとても難しいことですが、きっとだれでも出来ることだと思います。

 直樹さんが少しでも早くそのことに気が付けますように。

 わたしの一日はこうして過ぎていくのでした。


というわけでリニューアルオープンです。

……あの、本当にすいません。見捨てないで下さい。

これは「かく語りき」の主人公以外の登場人物がどのような日常を送っているのかという補完的な小説となっております。

こちらは毎週更新で行きます。遅いですか。遅いですね。

次回は気分屋様のお話になる予定です。

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