ケース3|廃墟へ
今日も元気にレイニーサイクリング!
翌日。
プルド探偵事務所。
午前十一時五分。
「ねみー」
プルドは相変わらずフカフカソファーで寝そべっていた。その時プルドの携帯に電話が鳴る。
「ふぁーい、こちらプルド探偵事務所のプルドでぅえ〜っす」
『こちらシティ管理局です。あなたに新しい依頼です。詳しくはインフォーマーにファイルを渡してありますのでそちらを参照してください』
「ええ〜。やりたくないッス。やりたくないッス。俺のハートが燃えてるッス」
『拒否の場合は逮捕も――』
「分かりました分かりました!」
プルドは必死で全力で秒間二千回ものペースで頭を下げる。
六時間後。
『第一区画ベイルー駅。ベイルー駅。お降りの際は忘れ物に気をつけてください』
区画間鉄道から降りるプルド。第一区画ベイルー駅。
かつて主要駅の一つとして数えられたこの駅も今では寂れてしまった。その理由として第三十六区画に首都機能がほぼ移転されてしまったからだ。
「さてと、”スライドマン”こと”グーノ・エディン”の隠れ家へ向かうか」
プルドはコルトデルタエリートカスタムエディションのスライドを引いてホルスターに差込み、タクシーを拾う。
「お客さん、どちらまで?」
タクシーの運転手に免許を見せる。
「ルフトス地区の旧発電所まで」
タクシーの運転手はコクリと頷き、アクセルを踏む。プルドは窓の外の景色を眺めながら呟く。
「働いたら負けって本当かな?」
最近の世の中は複雑なのね。
二十六分後。
プルドを乗せたタクシーはルフトス地区の旧発電所前に止まる。
「ありがとう。代金は免許で引き落としてくれ」
タクシーの運転手はカードリーダーに免許を差込み、テンキーを叩いて、エンターキーを押してから免許を引き抜き、プルドに返す。
「またのご利用をお待ちしております」
タクシーの運転手のその言葉を聴きながらプルドはタクシーから降りる。
「ここが旧発電所か。まるで廃墟だ」
手にしているコルトデルタエリートカスタムエディションを構えながらプルドは呟く。彼の目の前には五人の浮浪者が立ちはだかっていた。
「へっへっへ。にいちゃん、ちょっとだけ金を貸して欲しいんだがなぁ」
浮浪者たちは手にしている大型のナイフを構えながらプルドの元へジリジリと近づく。
「これだから第一区画”ロストシヴィライゼーション”へは来たくなかったよ」
そう言いながらプルドは素早く構えて、銃を撃つ。放たれた二発の銃弾は右の二人の頭を貫いた。
「しゃらくせぇ!」
真ん中の男はプルドに向かってナイフを突き立てて走り出す。プルドは素早く見切り、左足で男の腹部に蹴る。
「がほっ!」
男は腹部を両手で押さえ、地面に伏せる。プルドは残った二人に対し落ちていたナイフを投げつける。スローイングされたナイフは残った二人の男の頭をそれぞれ一本ずつ刺さった。うずくまっていた男にプルドは近寄り、右足で男の頭を強く踏みつけた。グシャリと肉がつぶれる音がしてプルドは右足を大きく振る。
「……あーあ、せっかくのお気に入りのジーンズが台無しじゃん」
プルドはため息をつきながら廃墟の奥へと入っていく。
【あとがき|ヘタクソケース】
な、長かった(制作期間が)
レッドボールとは違ってスライドマンは中々動いてくれない。
例えるとすればレッドボールは従順な妹でスライドマンはツンデレな幼馴染な感じ。
この分だと第四話の制作期間が……想像しただけで軽くランニングハイウェイムーンサルトオーバーハードチキン。




