幻~GEN~
お久しぶりです!時間ができたので執筆してみました!是非、読んでもらえれば光栄です!!ストーリーのモデルは最近はまり始めた特撮ドラマ「牙狼~GARO~」です。
人間、それはもっとも小さく、そして恐ろしい存在。時として人間の心の闇は具現化し、人間を襲うこともある。
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T県T市 AM2:43 路地裏
一人の男が雨が降るなか、半袖短パンという格好で何かを担ぎながらある場所へむかう。
AM3:05 河川敷
「はぁ、はぁ・・・」
必死に穴を掘る男、ある程度あいた穴に放り込んだのは・・・人。
「へへ・・・あんたが悪いんだぜ・・・恨むんなら自分の人生を恨みな。 」
男はそう言うと、穴を埋め始めた。土のなかに消えていく二度と目を覚ますことのない人。
そう、目覚めないはずだった。しかし、その者の魂はまだ生きていた。その魂は男に対する恨み、怒り、憎悪で真っ黒に染まる。そして
「よし・・・これで見つからないだろ。」
男は穴を完全に埋めた、しかし
(土の味・・・味わってみる?)
「はっ?!」
男は辺りを見渡す、なにも見当たらない。しかし、確かに声が聞こえた。それは二度と聞くはずのない声。
「だ、誰だ?!出てこい!!」
その時、男は、背後に気配を感じたが振り向く前に全身を何かで締め付けられた。
「なっ・・・お前・・・誰だ・・・」
男の背後で囁かれる小さな女の声。
(忘れたなんて・・・いわないわよね?)
すると、男の体はどんどん土のなかに沈んでいく。
「ひいい?!お前、
なんで?!さっき俺が!!」
(言いたいことはそれだけ?)
そうしている、間に音の体はみるみる土のなかに沈んでいく。
「わ、わかった!許してくれ!俺が・・・俺が悪かった!!あのことは謝る!だから・・・」
男の頭のなかで広がる映像・・・それはとても醜いものだった。
・・・・・・・
「なんで?!どうしてなの?!」
「うるさい・・・もう決まったことだ。ぎゃあぎゃあわめくな。」
男はごく一般の清掃員、恋人である女(早織)がいたがある次期から早織に金をひじょうに借りたがっていた。その金は10万、100万と増え・・・早織の怒りは頂点に達し、男を問い詰めた。
「負けが決まったんだ!仕方のないことだろ?!わめく暇があるならもっと金を稼いで俺にみつげ!!」
男はギャンブルをし、金をうしなっていた。そう、ギャンブルのために早織に金を稼がせていたのだ。
「かえしなさい!私の金をかえせ!!」
「うるせえこのあまぁ!」
早織の腹に伝わる謎の感触。腹に何かが食い込む感触、そして気づけばそこは真っ赤に染まっていた。
「くそ・・・なんで俺がこんな目に・・・」
早織の心はその男の憎しみでいっぱいになり、死んでもなお増え続けた。真っ黒に、それ以上に・・・。
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「頼む!たすけて!死にたくない!!」
早織の心の憎しみはやがて形となり男に復讐をするために生まれた怪人となった。そう、憎しみをはらすために。
槍のように尖ったしっぽ、真っ黒な体でその見た目はまるで悪魔だった。
「うわぁぁ!!・・・あ、あぁ・・・」
男は怪人に噛まれた瞬間、体が氷のように溶け始め、ついには形すらなくなった。
「?!」
怪人は何かに気づいた。後ろに何かしらの気配を背後に感じたのだ。
そこには拳銃を向けた青年がいた。その青年は全身真っ黒な服を身につけ、腰の後ろに剣をつけていた。
「貴様か・・・今回の標的は。」
銃を放つ青年。それをかわし、距離をとる怪人。
「こいつはひどいぞ幻、何人もの人間の匂いがする。」
幻と呼ばれる青年の胸元から声が聞こえた。
幻はそれに答える。
「何人もの人間を殺してきたということか・・・どういうことだ?こいつは今生まれたんじゃないのか?」
再び幻の胸元から声が聞こえる。
「こいつは一人の人間から生まれ、別の人間に憑依すると体を消滅させて新田な体を形成していくんだろぉ、殺してきた人間は数知れずだな。」
幻は拳銃を両手に持ち、銃口を怪人にむける。
「ならばここでたちきる。」
怪人は幻に飛びかかり、鋭い爪で切りつけようとするが、幻は体を紙のようにひらひらと動かしかわす。そして、僅かな隙を見つけ、銃を放つ。
「ギャア?!」
怪人はがむしゃらに爪を振り回すが幻はそれをバク宙でかわす。
その後、二丁拳銃を連射する。
「ギシャア!!」
怪人はそれを見切ったかのようにかわし、爪を降り下ろす。
幻は降り下ろされた腕を両手で受けとめ、怪人の腹に蹴りをいれ怪人を蹴りとばす。
「なんだ?いきなり動きがはやくなったぞ?」
幻の胸元からみたび声が聞こえた。幻は服の胸ポケットから青く真ん中に紅色真珠が埋め込まれたひし形の物体を取り出した。幻の胸元から聞こえていた声はこれが原因だったのだ。
「マゼラン、なにかあいつの特徴をつかめないか。」
「やってみるか。」
幻が取り出した物体に埋め込まれた真珠には黄色い目をした鳥のような姿をした青色の魔物のようなものが浮かび上がっていた。幻に話しかけていたのはマゼランと呼ばれるこの魔物だった。
「しばらく戦ってみてくれ、幻。」
「あぁ。」
幻は怪人に飛びかかりに膝げりを叩き込む。そして、右足で蹴りを叩き込むと同時にその勢いで体をまわし左足でも蹴りを叩き込む。
「ギシャア!!」
怪人はしっぽを飛ばし幻に突き刺そうとするが、幻は体を横に回転させながら前方に飛びかかり、しっぽをかわし着地、怪人の懐に入ったところを右、左とストレートに殴りつけた後、ジャンプすると同時に体を回転させ回し蹴りを怪人の顔面に叩き込む。怪人は、近くの電柱に叩きつけられる。
「マゼラン、なにかわかったか?」
「さぁ・・・おっ?」
すると怪人は急に立ち上がると体を奇妙に動かし、威嚇するように叫び声をあげ、幻に飛びかかる。マゼランは驚きをかくせなかった。
「急に動きがはやくなったぞ?!」
幻は怪人の蹴りをかわすが、爪の攻撃が予想以上にはやく、避けきれなかった。幻の顔にできた切り傷から血がにじむ。
怪人はさらに下、上と二段蹴りを繰り出す。
幻はそれをかわしきれず受けとめることしか出来なかった。そして、両方向からの爪の攻撃を受けとめるが、幻は頭突きをくらい、一瞬めまいが起こり、その隙に怪人の強烈な両足蹴りで蹴り飛ばされ地面をころがる。
「くっ・・・素手では限界か。」
幻は腰の後ろにつけていた剣を抜き、構える。
怪人が口から緑色の無数の針のようなものを飛ばすが、幻は剣ですべて地面に叩き落とす。
幻は再び剣を構え怪人に向かって走り出す。爪の攻撃をものともせず、全て剣で弾き返す。
「はぁぁ!!」
幻は真上から怪人を切りつけ、回し蹴りを叩き込む。怪人は後ろに飛び距離をとる。そして再びしっぽを幻に向かって伸ばすと同時に緑色の針を無数に飛ばす。幻は、しっぽを切り落とし、前方に飛びかかると同時に後ろ向きに回転して針を全てかわし剣で真横に怪人を切りつける。
「わかったぞ、幻。」
マゼランが幻に声をかける。
「あいつは相手のはやさにあわせて自分の身体能力を自由自在に操れるみたいだ。攻撃を与えれば与えるほどそれに対応しようとしてくる。かなり厄介だぞ。」
幻は剣を逆手にもちかえ、マゼランがおさめられている物体を手に取る。
「時間は60秒だ、無理すれば体が崩壊するぞ?」
「いつものことだ。」
幻は物体の真珠に剣をもつ手をかざし、それを上空に掲げる。すると物体が分解され、大きくなりながら幻の身の周りに浮遊する。そして一瞬のうちに幻の体に装着された。幻は、青く金色のラインがはしり、胸の真ん中に紅色の真珠が着いた鎧を身にまとった。
頭部は鎧と、同じ模様で黒いV字のゴーグルのついたヘルメットのようなものをかぶっている。
「一気にかたをつける。」
幻はそう言うと鎧と同じ模様の拳銃を両手に持ち怪人に連射する。
怪人はそれをかわすが、弾丸は追尾性であり、背後から弾丸が炸裂する。
「ギャア?!」
幻は二丁の拳銃を合体させると剣のような持ち手と二つの銃口から光の刃があらわれ、巨大な剣へと姿をかえた。
「ふっ!!」
幻はそれを構える怪人に向かって飛びかかる。
怪人は様々な攻撃を繰り出すが幻の鎧はそれを受け付けず、幻は巨大な剣で怪人を真っ二つに切り捨てた。
「ギャアアアアアア?!!!」
怪人の体は切り傷から光が放出しながら光の粒となり消滅した。
「おつかれだな、幻。」
幻は胸の真珠に手をかざすと身にまとったものが体から外れ、もとの形に戻る。
「今回はこれで終わりか、マゼラン。」
「あぁ、他に妙な気配は感じない。」
「そうか。」
幻は暗い夜道の中をなんのためらいもなく歩き、その場を去る。
彼の名は間藤幻、人間の負の感情から生まれる怪人・ゼロムから人々を守る戦士である。
彼の戦いは終わらない。人間から負の感情がなくなるまで。
完