ヤサグレ聖女、エクセル騎士に困惑する
エクセルの第一印象はクールな美形だった。
金髪というキラキラしい色というより仄かなアッシュを感じるベージュ色の髪はサラサラで肩より長い。
硬質な髪色に合わせたように瞳の色も灰青色だ。騎士らしく、ぴしりとした姿勢。
落ち着いた繊細な色合いの玲瓏な男。
はじめましての挨拶もお互いに相手を図るというか。様子見というか。
正直な所、二人して棘々していたと思う。
わたしは周りの人達を信用できなかったし、引き合わされた美形をみて、顔がいい男をあてがっておきゃ機嫌とれるんじゃね的な舐めた考えか、ふざけんなよ状態だったし、エクセルはエクセルで急に騎士団副団長をやめさせられてどこの馬の骨ともしれん聖女の護衛をやらされることになってたんだしね。
そりゃ、お互いに慇懃無礼な態度にもなるわな。
それが今ではほぼ毎朝毎晩、『聖女の癒し』をかけてるのだから、物事ってどう転ぶのか分からない。
どうしてこうなった。わからん。気がついたら常態化してた。
だって、この人、働きすぎだから!それに見てられなくなったというか。副団長までやってたってことは、常人と同じ土俵で考える必要はないのかもしれないけど、わたしが常人だから、その常識に照らして考えさせていただきますと、ワーカホリック。
なんでそんな美形に生まれてきてるのにストイックなんだ。もっと、その美貌を有効に使えるのでは?といつも顔を見ると思っちゃうが、顔面使用率ゼロ。
まぁ、だから信用できるのかもしれない。
「なにか?」
この言い方も昔だったら、カチンときてたけど、もうなんとも思わない。悪気はないんだ。慣れたわ。
「いえ、なんでもない。はい、癒しは終わり!あと、ルドくんとブルーにもやっとこうか」
そう、今日は週一のエクセルの休日。二人の護衛の日。
でも、エクセルは指導とかで結局こっちに顔を出している。まぁ、今は口出しすまい。我慢。
で、ちゃっかりと『聖女の癒し』をうけている。わたしもクセでついやっちゃったんだけどさぁ。
今日は不要だったよね。
「いえ、不要です」
「え、不要ってあなた、すぐそこ、扉開けたらいるじゃん 」
「あやつらは聖女の護衛を舐めてますね。なぁなぁになるのは認めません」
「えっ」
「軽口を叩きあうのはまだよいですが、ね。私が不在で弛むのはもってのほか。まずは改めて基本を叩き込きますので」
……なんかいろいろ、バレてるっ。
「それにそんなすぐに優しくするとつけあがります」
「え?なにそれ。ひどくない?」
「私はそんなすぐに優しくしてもらった記憶はありませんし」
「はぁ~??ちょっと認識の相違を感じるけど。あなたも初期はかなり冷淡でしたよ」
「それは……そんなつもりはありませんでしたが、もしそう思わせていたなら申し訳ありません」
「まぁ、いまさらいいけど。で、二人はやっちゃダメなの?スキンシップじゃないけど、こういうのコミュニケーション的にもいいと思うけどね…」
「ご褒美でいいのでは?今のあやつらには資格なしです。彼らのためにもなりません。それに護衛のたびにやるのはそれがなくなった時にきついですから」
「え?じゃ、あなたはどうなのよ。ほぼ毎日やってるんですけど」
「……私はもう手遅れだと。気がつくのが遅すぎました」
「 ねぇ、めちゃくちゃ怖いこと言ってるよ?大丈夫?」




