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星の光 雲に紛れて 見えねども まことの星は 空にたたずむ 4

「そうだ

橘の君にも…声を掛けて見ない?」


二人の方を向いて、相談するように言う


暁は首を傾げ、「橘の君?」と言った


暁は橘の君を知らない…


「橘の君って言う、原作には存在しない貴人がいて、前に私と二条院で香合わせをしたんだ

私の香を雅じゃないって言ってて、私の物語改編で生みだした人物だと思っていたけど…彼女も、もしかしたら転生者かもしれない可能性はあるよね?

もし転生者なら、事情を説明したら、私達と一緒に協力してくれるかも」


しかし暁は、そこで首を横に振った

顎を撫で、低い声で言う


「俺は逆に危険を感じる」


「危険…」


まあ確かに…

それもそうか

味方にも敵にもなり得る人物ではある…


暁は頷いて、しばし俯いて何か考えるように沈黙した後、静かに続けた


「…テストしよう」


「テスト?」


思わず聞き返す


「そう

橘の君が転生者かどうか、夕顔の世界の匂いに反応するかどうかで確かめればいい」


暁は懐から香包みを取り出す


「夕顔

この匂いはどのように感じる?」


手渡された香に、そっと鼻を近づけ匂いを嗅ぐ

その瞬間、記憶が蘇った


これって…


『不思議な香りがしますね

匂った事のない香りですが、なんだかいい香りです

また新たな香を調合なさったのですか?』


あの時…暁が私に送って来た香と同じ匂い…

と言うか、同じ香…?


思わず暁を見ると、直ぐに目が合った

まるで、ずっと私の様子を伺っていたかのように…


「暁…この香…

暁は何を想って、調合したの…?」


暁はふっと、小さな息を吐くように笑った


「ケーキ」


思わず息を飲む


”お店の近くを通るといつも香って来た…街のパン屋

誕生日に、白い箱を開けた時の…あの甘いケーキ”


私の過去の記憶は…暁と一緒の感覚…


でも…

匂いが過去…転生前の記憶を思い出させるのは、私がその匂いを知っているから

そして、橘の君が転生者なら、香に反応するし、違うなら反応しない

けど…


「仮に、ケーキの匂いに気付いても…

意図的に気付かないとする事も出来る」


『風雅な香りのする香ですね』


暁があの時したように…


「夕顔

気付かないふりというのは、気付いているという証拠になる」


私は思わず暁を見た


暁は真っ直ぐな瞳で私を見て、微かに微笑む


「結果ではなく、反応を見る

だからこそ、橘の君がこれに反応すれば転生者

反応しなければ…世界が生んだ存在だ」


右近は小さく震えながら言った


「では、橘の君様が応えなかったら…?」


暁は静かに答える


「それならそれまでだ

協力者として引き入れるのは保留した方がいい」


私は立ち上がり、袖を整えた


「…わかった

橘の君に、試してみる」


右近も同時に動き出す


「では夕顔様、私は文をしたためます」

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