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第9話 ミネルヴァ魔法図書館への封書の件

 真紅・ティナンシュです。普段はセレンお嬢様の身の回りやお仕事をお手伝いしているメイドです。


 現在の時刻は夜の21時、時間の経過の仕方は古代時代から変わっていません。24時間でこの世界の1日が終わります。


「スゥースゥー……」


「シオン君は本当に手間がかかりませんね。じゃじゃ馬娘だったセレンお嬢様とは大違いです。古代人の記憶が赤子の頃から覚醒するとここまで理知的な赤ん坊になるのですね」


 現在は私の部屋でシオン君を寝かしつけています。それは何故かと言いますと、セレンお嬢様がシェリーさんの身体を検診する為ですね。


 なんでも定期的に身体のメディカルチェックというものをやらなければいけないとかで、何日間に1度はセレンお嬢様とシェリーさんの2人っきりで同じベッドで過ごしているのです。


「『ゆがみの刻』が近いのは分かりますが、少し焦り過ぎではありませんか? セレンお嬢様」


「スゥースゥー……あむぅ」


 最悪。セレンお嬢様が対象できなくても、私が犠牲になれば良いだけではありませんか。セレンお嬢様。


《セレンティシアの治療室》


「ニャアアア……しゅごいいのおぉお!」


ゴトッ!……ウィンウィン!


 おっと何かベッドの上から落ちましたが。今はそんな事を気にしている場合ではありませんね。


 この最後の魔力注入でシェリーさんは身体が治せますからね。


「……ふぅ〜! これで貴女の本当の治療は終わりましたよ。良く頑張りましたね。シェリーさん」


「な、何が良く頑張りましたねよね、よ………お陰で身体が……元気になってる?」


「当たり前です。シェリーには私のありったけの魔力を注ぎ込んであげましたからね。これで貴女も夢の最強種へと少しだけ近づきましたよ。なにせ私の潜在魔力を注ぎ込まれた方は古代人の血が覚醒しやすいらしいですからね」


「入らないわよ。そんな力も覚醒も……私はただシオンの成長を見届けたいだけなのよ」


「知っていますよ。だから治療と同時に貴女には色々な耐性付与を施してあげたんですよ。私の魔力にはそういう力が宿っているのですからね。竜星の一族の魔力と交わるとどうなるかは今後次第ですが。これからのシェリーの変化が楽しみですよ」


「それって、つまり実験も兼ねてるって事じゃない。マッドサイエンティストね……真紅先輩がいつも言ってたわ。セレンティシア様はちゃんと人も救いますが、同時に変な実験を仕込む方なのでお気をつけ下さいってね。私に何を仕込んだのよ?」


「フフフ。シェリーがピンチになったら分かりますよ。シェリーがピンチになったらね」


「……私のピンチ? 良く分からないけど。おまじないみたいなものなの?」


「そんな感じですね。私もいつも居なくなるか分からない身ですし。引き継げる方がいるのでしたら、その方にちゃんと譲渡できる準備はしておきたいのです」


「譲渡できる? 何それ?」


「………いいえ。なんでもありません」


 シェリーさんへの治療と準備が終わって安心したからでしょうか? 喋り過ぎましたね。


 テンションが上がるといけませんね。ほんの少し理性が外れて流暢りゅうちょうになってしまいます……シェリーをちゃんと治せて良かった。


「……これでこの怪しい治療も終わりです。シェリー、最後まで良く頑張りましたね。明日あすからは普通に過ごして下さい。あの可笑しな叫びもしなくていいですから」


「な?! その可笑しな叫びをさせていたのはアンタの変態プレイのせいでしょうがあぁ!」


 裸のシェリーはなんて事を叫びながら裸の私の顔面に枕を投げつけて来ましたよ。照れているんでしょうか?



《ミネルヴァ図書館》


『万能の魔女様とそのご一行がご来場されました……司書職員は失礼の内容に願います』


『禁書、歴書、魔法書エリアの立ち入りは禁止されます……繰り返します。禁書、歴書、魔法書エリアの立ち入りは禁止されます。これを守れない者は厳罰に処されます』


『万能の魔女様ご一行はミネルヴァ図書館の管理人。シェフィールド・シャマル様がご案内します。一般職員は適切な距離で仕事を続けて下さい』


 機械的な音声が図書館内に響き渡っています。昨日の夜、シェリーの治療が完全に終えた私は就寝しようといた瞬間。


 ミネルヴァ図書館から伝書がホワイルフクロウにより送られて来ました。


 その伝書には私の5番目の弟子である、シェフィールドさんからの手紙でした。



〖お久しぶりです。セレンティシア先生……いきなりのお手紙失礼致します。申し訳ございませんが、僕が先生に任されていた《封書》の封印がなかなか上手くいっておりません。どうやらミネルヴァ図書館内に歪みの使者が紛れ込んでいる様で妨害されています。時間に経つにつれ、《封書》に封印されているアレも表に出ようとしてきているのですが。どうすれば良いでしょうか?〗


「………完全に封印したと思ったアレが表に? ふむ。これは想定外の出来事ですね。放っておけば被害が甚大になりかねませんし。明日にでも行くしかありませんか。本当はシェフィールドさんだけで対象できるのが良かったんですけどね」


《ミネルヴァ図書館》


「建物全体が鏡の迷宮みたいになっているのね」

「まぅ!」


「盗難防止のセキュリティですね。このミネルヴァ図書館はセファルレギアでも世界有数の大図書館ですからね。ここへ侵入して色々な生きた情報を欲しがる人は後を絶ちません」



「ミネルヴァ図書館……その為、世界の秘密を封書する図書館に勝手に入ろうとする者が後を絶たないのですよ。お若いご婦人様」


 おっと。この声はあの子ですね。懐かしい5番目に大成した弟子君。


「おやおや。シェフィールド君。久しぶりですね。お元気にしておりましたか?」


「お久しぶりです。セレン先生。見ての通り健在しておりました。セレン先生も相変わらずのお美しいです」


 シェフィールド・シャマル君。見た目は茶色のショートボブに黒淵眼鏡くろぶちめがねの男の子。ミネルヴァ図書館に館長として長く勤められている子です。


 そして、シェフィールド君の一族、シャマル一族は歴史の黒歴史をつづり管理しているんですよ。


「こんにちは。シェリーと申します。それでこっちが息子のシオンです」

「だぅ!」


「シェリーさんにシオン君ですか……セレン先生。この方達はどちらも新弟子さんですか? 随分と特別な魔力のお持ちのようですが」


 シェフィールド君が興味心身とばかりに2人を交互に見ていますね。鼻息が荒いです、流石は私のお弟子君。探究心の塊ですね。


「シオン君はそうですが。シェリーは違いますよ。2人は龍国出身の人達ですので、特別な魔力を持っているのはそのせいじゃないですか?」


「龍国ですか…成る程。あの秘匿が多い龍国の。ではそのシオンさんが現代こんだいのセレン先生の直弟子なのですね」


「ええ、才能は歴代でも1番良いですよ。探究心はシェフィールド君が1番でしょうけどね」


「セレン先生にそう言って頂けると嬉しですが……赤子から弟子にするとは凄いですね。いえ、セレン先生の見る眼を疑っているわけではないのですが」


「この子には才能があるですよ。赤ちゃんでもちゃんとれる意志がありますからね。セレン魔法学園に入学前にはほとんどの私の技術や知識は覚えてくれる事と信じています」


「……そうですか。ようやくセレン先生の全てを託せそうな子が現れたんですね。良かったです」


「えっと……あの。今日はセレンティシア様に用事があってお手紙を出し来てもらったんですよね? その用事って何なんですか?」


 シェリーは私達の会話が長過ぎるのに耐えきれなくなったのでしょうか? 話を無理矢理進めようとシェフィールド君に質問し始めました。



 

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