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第14話 魔笛車《ヴォルフガング》に乗りましょうか

《影の国 シャドーミスト駅》


『次の車両は魔笛車ヴォルフガング魔笛車ヴォルフガングが発着します。繰り返します。次の車両は魔笛車ヴォルフガング魔笛車ヴォルフガングでございます』


「余裕で間に合いましたね。全く……帰ってきてそうそうに影の国に同行しろだなんて、魔女使いが荒いですね。真紅さんは。やっとベヒーモスさんの件が片付きましたのに」


「……何を言っているんですか。元はといえば、セレンお嬢様が魔笛車ヴォルフガングの破壊依頼を貴女の弟子である『氷の落日』に押し付けたのが原因ではありませんか」


「それはそうですけど……まだ破壊依頼を受けて3月位ですよね? ならまだ慌てる時ではありませ……」


魔笛車ヴォルフガングのクエスト難易度はAクラスです。そんな場所に3ヶ月向かって何の音沙汰も無いのですよ。少しは心配したらどうなのですか?」


「ん~、心配はしていますけどね。あの子達『氷の落日』の全員、特別な種族ですから生き残ってるとは思いますよ。その為に私が選んで育てた子達なので」


「……旧世界崩壊後に現れた異種族のお弟子さん達ですか。ちゃんと元気にしていれば宜しいのですが」


 今回の旅の目的は魔笛車ヴォルフガングと言う暴走列車の破壊が目的で影の国と言う国に訪れました。


 世界中に広がるレールを走る列車。不気味な魔笛をかなでながら、1つの駅にしか停車しない列車。それが魔笛車ヴォルフガングです。


 影の国の研究者達が作った負の魔道列車。それをとある冒険者ギルドから私宛に届いた破壊依頼です。


 ですが、最近の私は忙しかった為、私の代わりに私の弟子達である『氷の落日』のパーティーに破壊依頼をお願いし、魔笛車ヴォルフガングに乗ってもらったのですが……


「着ましたね。魔笛車ヴォルフガング……『氷の落日』の子達を乗せてあるであろう魔笛の汽車に」


「はい……今回はシェリーさんとシオン君は同行してさせないのですね?」


「今回は無理ですよ。このステージにあの竜星の親子には……後、6年程はかかるでしょう」


「……ですね。あの方達がこの世界の真実を知るにはまだまだ時間が必要です」


『ブオオオォォオオ!!』


魔笛車ヴォルフガング。壊れた意思ある魔笛車ヴォルフガングが停車致しました……』


 さぁ、死の魔笛を鳴り響かせる列車に乗車です。


魔笛車ヴォルフガング ファーストクラス》


「テュエルブ様。獲物がやって来ました。掃除いたしますか?」


『獲物……獲物……獲物獲物……………あぁ、ファーストさんの元教え子の……生きてたんですか……凄い凄いですね……奇跡ですね。それで同行者は誰です?……あたくし等かあが欲してがって入る代物ですか? マーラーさぁん』


「いいえ。万能の魔女と共に同行しているのは、霊使いが同行しています。シックス様にご報告しますか?」


『いえいえいえいえ!! あり得ませんね。止めておきましょう。そうしましょう! そんな事をしては意味がありませんよ。竜星も霊使いもあたくしの物にして使いますよ……ファーストさんのぉお弟子さんのお弟子と同じ様に絵画の様に飾りたいですものぉ』


 魔笛車ヴォルフガング ファーストクラスの壁に飾られている絵画の数々……その絵画には個性があった絵の1つ1つに気持ち悪い程の個性が────


「出られない……この額縁から出られない」

粘液スライム種 メルラ》


「先生……先生先生先生先生……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。失敗して捕まっちゃいました」

異鳥ハーピィー種 ウィン》


「あぁぁぁ!! 身体が動かせねぇよおぉ! 師匠おぉお!」

《海蛸種 カイル》


「………相変わらず。騒がしいです。ミス・セレンティシアのお弟子は」


『えぇ! えぇ! 素晴らしい叫びです。名画ですよね。この異種族が壊れていく様を眺めるのはぁぁ!』


魔笛車ヴォルフガング エコノミークラス》


 意思ある魔笛列車は


『ブオオオォォオオ!!』


「相変わらずのうるさい魔笛ですね」


「乗るのは300年振り位でしょうか?……」


「ですね……あの時はファーストさん達と一緒でしたね。懐かしいです。変わって……ますね。こんなに壁に絵なんて飾ってありましたっけ?」


「………セレンお嬢様。あの壁に飾られた絵画。普通の絵画では無いです。あれは……」


「ええ。あれは私達を討伐しに来た冒険者達の成れの果てにございます。ミス・セレンティシア、ミス・真紅」


  声が聴こえました。私達の背後から、執事服を着て仮面を付けた男性の声が聴こえました。その瞬間から壁に飾られていた絵画が一斉に騒ぎ始めました。


「「「「アハハハハハ!!」」」」


「セレンお嬢様。これは……それにあの方は……まさか」

「魔絵師フィンセント氏? そんな数百年前の『ひずみの刻』の時にファーストさんを助けて亡くなった筈じゃ?」


「はい。セレンティシア様。恥ずかしながら生きながらえせて頂いて下りました。申し訳ありません……そして、感動的な再会ではございますがテュエルブ様の為に消えて下され、セレンティシア様方」

《名画魔絵師『フィンセント・ゴホ』》


「手には筆と紙ですか……フィンセント氏は何を描く気でしょうか? 真紅さん」


「分かりませんが。セレンお嬢様。あの方と死人方の相手は私が行いますので……セレンお嬢様は1番手後ろの席に気配を感じるテュエルブさんの元へと向かって下さい」


 真紅さんははそう告げると両手に持っていた鞄の中を開けて、数体のお人形を取り出しました。


「イケイケイケイケ! 弟子を助けなよ。ご主人!」

「ここは我等にお任せよ」

「ケケケケ!! 直ぐにこんな年寄り倒してさっさと合流してやるからよう」


 3体のお人形は目に光を宿したと思ったら、空中に浮遊しましたね。


「リクさん、カイさん、グウさん。真紅さん。よろしくお願いします」


 私はこの場所を真紅さんに任せて、車両の奥へと移動する為に車窓から外へと飛び出し、魔笛車の天井へと移動し最後尾の車両へと移動し始めました。


「はい。セレンお嬢様……行きますよ。皆さん」


「「「おう!」」」


「………これはこれは英雄犠牲のお三方。お久しぶりですな。今日は同窓会の様なものですかな?」


「ちげーよ! ばーか」「亡霊の回収だ」「お前。とっくに死んでるだろう? 戻れ」

「フィンセント様……お覚悟を。その穢れた魂を浄化させて頂きます」


魔笛車ヴォルフガング ファーストクラス》


『ちょいちょいちょいちょいちょい!! 何でもう着ちゃってるんですか? あり得ないですよね? 何でもうここまで着ているのです? ファーストさんのお弟子さ~ん?!』


「お久しぶりです。テュエルブさん……私の弟子達を取り返しに来ました」


『弟子? あぁ、あの絵画としての飾ってある方達ですか?』


「ええ。アナタ程度ならもう討伐できると踏んで送り出したんですけどね。私の読みはまだまだ未熟だったみたいです。なので今回は私がアナタを消させて頂きますよ。『歪みの時』の原因が1テュエルブ・ラッセン


『ファーストさんの弟子がいい気になるんじゃありませんよ。ナンバーズにも選ばれなかった落ちこぼれの分際で』


「それ……遥か昔のお話です。『水流螺旋アクアスパイラル』」


「時間が経とうと変わりませんよ。あたくし達と貴女程度の実力はぁあ! 『魔笛の叫び』」


【【【アァア!! アァアアァア!!】】】


 壁に飾られた絵画が一斉に合唱し始めましたね。この時を待っていましたよ。絵画に封印された方々が一斉に口を開く瞬間を……そこを狙って私は超高速の水魔法をこの車内に撒き散らせますからね。


「水を舞いなさい。『水流サーマル』」


『おや? これは?……あたくしの自慢の絵画に水が壁一面にまさぁか?』


「ケホケホ……解放された?」

「セレン先生……来てくれたんですか?」

「酷い目にあった」


「メルラさん、ウィンしん、カイルさん。申し訳ありません。まさか貴女達程の子達が捕まるとは想定外でした。後の事は私に任せて魔笛車ヴォルフガングに捕まって入る方々を救出していって下さい……そして、貴女達を恥ずかしめたこの方を私は成敗しますから」


「は、はい! 分かりました。セレン先生」

「お、お任せを……セレン先生」

「畏まりです」


『ちょっと待ちなさい。あーた達! あーた達はあたくしの大切なコレクションなのですから……大人しくしていなさい!! 『独唱の蠱毒』』


「させませんよ……貴女の相手は私ですからね。『水流槍アクアランス』」


 私は水魔法で生成した幾つもの水の槍でテュエルブさんの頭頂部を何重にも突き刺しました。


『ギャアアアアアア!! あたくしの頭が穴だらけにいぃ! 己えぇぇ!』


 テュエルブさんの叫び声が魔笛車ヴォルフガングの車両に響き渡りました。


「やはり効きますね。怨念関係のモンスターには清めたお水が……」

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