間話1── 《Vis ax Alvios》の成立と島の由来
魔力研究所付属魔法学校《Vis ax Alvios》(ウィス・アルヴィオス)が建てられた大地は、四方を海に囲まれた孤島である。
この島を中心として、時代を追うごとに埋立地が造成され、アルヴィオスに関連する研究施設やライフラインが周囲に築かれていった。
太古の昔──この島には、ごく小規模ながら独自の文明が存在していた。
当時、魔力や魔法といった概念に対し、人々は未熟で原始的な認識しか持たず、それらに反応を示す者を「悪魔の使い」として忌み嫌っていた。
恐怖と差別の果てに、人々は魔力を持つ者を“穢れ”とみなし、統治者の命により、彼らを特定の石室に幽閉。
食事も与えず、死に至るまでひたすら聖書の写本を強いた。
──悪魔の気を筆に移し、文字へと落とすことで、それは清められ、やがて聖者となる。
これは当時の民間信仰における「悪魔祓い」の一手法だった。
その結果として残されたのが、「禁書」である。
それは、魔力を封じたと信じられた聖典の写しであり、同時に──魔力ある者が最期に残した**“想い”そのもの**でもあった。
現代の視点から見れば、こうした儀式や効力には学術的裏付けは乏しく、単なる古代の風習とされるだろう。
──だが、“その一部”は違っていた。
禁書のなかには、記述された文字から魔力的反応を示すものがあり、それはまるで「本の形をした魔法(呪具)」のようでもあった。
やがて文明が滅び、幾世紀が経過したのち──。
とある考古学団体が島を調査中、この禁書群を発見。
文明遺産としての価値を認め、遺物の保護を目的とした禁書保管庫が島の中央に建てられた。
その後、禁書保管庫を護るための施設が併設され、やがて保管書に宿る魔力や精神干渉の研究が始まった。
こうして生まれたのが、《第一次魔力研究所》である。
その後も、研究対象の拡張、保管対象の増加、外部干渉を防ぐ結界の更新などに伴い、研究所は改修と拡張を繰り返し──
現在の姿、魔力研究所付属魔法学校《Vis ax Alvios》へと至る。
この巨大建築群の本来の存在意義とは、すなわち──
「禁書の保管」と「その警護」にある。
生徒たちは、単なる“魔法使いの卵”などではない。
彼らこそが、この時代における“魔力の再現”と“接触”を目的に育成された、いわば“未来の記録者”であり、“呪的研究体”なのだ。




