序詩:《 凛音のオード 》
想いと魔力は表裏一体であり、
強さが加わると、小さな光が灯る。
その光は他者から他者へと受け継がれ、
やがて、脳が想いを映す“夢”を紡ぎ始める。
魔法は無いと謳う声に、
時に耳を傾け、時には思いを返して……。
聞こえぬ声と断ずるも想いは彷徨い、
いつまでもいつまでも、夢を見続けていた。
そして、この夢も──
──
理不尽に
鼓膜を叩かれる罰。
水のように爆ぜた光の矢が、そんな音を響かせる。
残光は蒼く、揺蕩うそれを見据える男の子。
彼は今一度、蒼の光を背から現し、腕へと渡らせ矢に変えた。
「──リノン、よく見てろ」
彼の一声を合図に矢は飛翔し、遠くに聳える的となる壁に襲いかかった。
飛び散る蒼色。休むことなく次々と破裂させられていく蒼の光。
その音、その光景──。
重ね、連ねられる情景の中で、彼は舞い続ける。
美しい──なんて、思わなかった。
あまりに強い、罰を与えられているような破壊音に、私は耳を塞いでしまう。
それでも防げぬ音は牙のよう。
脳を噛み砕かれる。そう恐怖した時、彼は振り向き……私と目を合わせた。
「俺は、お前にチャンスを与えたい」
数あった的は原形を崩され、立ち昇る黒煙は闇と似る。それを背にする彼の顔は悍ましく、
それは、まるで──
「 的は俺だ。──当ててみろよ、ノーコン魔法使い 」
悪魔を 宿している顔だった。




