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第1章 雑用係③

「お前があの大魔導師カナンの弟子か?!」


「死んだことにされてるぞ?もったいない!何で料理人なんかしてるんだ!即戦力として近衛第14部隊に迎え入れるから、来い!」


「お手伝いくらいはしますよ。料理人でいたいんです」


ロズウェル様が囁く。


「10倍のお給金ですよ?」


「いいです。目立ちたくないんで。このままで」


「仕方ねえな、食費はこれ以上だせねえだろ?ロズウェル」


な?!なにぃ?!ギーヴてめぇ何言いやがる!


「そうですね、もともと魔獣の肉が食事でしたし」


ロズウェル様まで?!

 他の騎士達もウンウン頷いてる。


「バーン様ぁ!」


「長い物には巻かれておけ。お前が目立たないなんて、無理だ。それに横領した金返せるぞすぐ」


ぐ、それは魅力的だ。

僕は簡単に手のひらを返すことにした。


「アミル13才です!よろしくお願いいたします!」


金髪茶色の瞳の目立たない騎士様が僕の前に来た。


「14部隊長のイリス=イグニシアだ。食事の用意の時と戦後処理の時は抜けてもいい。ただ、死体を燃やすときと埋める時には参加してほしい」


握手した硬い手のひらに驚いていると自己紹介にまた驚く。イリス様はこの国一番の剣聖だ。こんな普通っぽい人が、剣聖なんだ…。


「俺、リアム=ランプロスよろしくな!アミル」


「私はナージェ=ミルテアだ。斥候をしている。よろしく頼む!」


「私は、」「ワシは」「我は」……とにかく皆でかかってくるのを赤べこのように頷きながら捌き、最後はバーン様が僕と握手した。


「バーン=オルコットだ。14部隊の副部隊長をしているがあまり、役に立つようなことはしてない。よろしく頼むアミル」


「オルコット、って侯爵家だよね?!バーン様殺されちゃうの?!」


殴られた。イッ、テェ?!


「自分が望んで来てるんだ!バカなこと言うな!また、私の暗殺陰謀説が流布するだろうが!」


「それはバーンが悪い」

「弟可愛さに、継承権手放してこんなヤバい部隊に入って来るからいけない!」

「「「「それを他人のせいにするな!」」」」


ギーヴがバーン様を更に追い込む。


「首から木の板下げて【モリス=オルコットをいじめないで下さい】とでも書いておけ!」


うわぁ~。皆、辛辣ぅ~。

バーン様を見ると目が虚ろになっている。


「優しくしてあげて下さい!」


「「「「「「「「「「「「そうかぁ?」」」」」」」」」」」」」


「そうです!で、冒険者達とはいつ交代なんですか!」


「行くか!バーン、アミルの乗り物になってやれ」


僕は左手に子供抱っこされると、すごい勢いでバーン様が走り出した。話したら舌を噛みそうだったので歯を食いしばって目的地まで頑張った。夜の闇に苦戦してたので空高くライトをあげた。

日の光の下までとはいかずとも、気配察知で戦ってた冒険者達には十分だったらしい。

嬉々として討伐していた。

人間忌避型火炎地獄インフェルノでそこら中の魔獣を焼き尽くしダンジョンの中も火種を入れて○っておいたら、しばらく魔獣が出て来なくなったから、オークジェネラルの肉でトンカツを作りサラダと一緒に冒険者達に饗した。

 だって、この人達町まで保ちそうになかったし。ついでに夜食を食べる14部隊。

バーン様は、警戒中。

 僕、無防備だからね。それでも探知はしてるけど、14部隊の騎士様達が何気に凄いんです。弓矢でほとんど潰してる。見えないのにまるで見えてるみたいに矢を放つ。


「バーン様は弓矢、しないの?」


「下手なんだ。その分接近戦で頑張っている」


「バーサーカーとか?」


ゲンコツされた。痛いよ!


「失礼なことを言うからだ!誰がバーサーカーだ!バーサーカーはお前だ!」


ガァアアーーーーン。

 僕、バーサーカーだったから皆に怒られてたの?そういえば、戦闘中気持ちいいよね。僕、バーサーカーだったんだ。

 よし!自覚したぞ!

ん?!トンカツの大群。


「ウインドスラッシュ!」


ボトボトと落ちて行くトンカツの首。探索で拾える範囲までトンカツ(オーク)の首チョンパをすると、周りからドン引きのうなり声が上がる。


「おぉおおーーー……」


「さあ、解体するから忙しいぞ!」


オークキングを迎撃しながらの解体は1時間に及んだ。肉はクラヴィスの街中に運ばれて支援物資になった。

 僕もアイテムボックスの中に2千頭収容してある。

 それで、街で米が買えるようになり、小麦粉も少し融通してもらえた。野菜もトウモロコシとタマネギと長ネギを特売価格でもらえたし、今夜はアレにするか!


米を炊くとギーヴが文句を言う。


「おい!いくら戦地だからって、毎日 米を喰わせるな!」


高位貴族は米をたべないのだ。


「あいあい!了解!今日のは美味しいから、勘弁して下さいね」


「その、今、手で捏ねてるソレか?まずかったら、明日からパンを焼け!」


「は~い!」


「クソ!」


何だかとっても機嫌が悪いギーヴ。

 それは、バーン様が僕を小姓に正式にしたから。虐められなくなったんだよね。

 豚肉だけの煮込みハンバーグは、網焼きして油を落とし、デミグラスソースで煮込んでお替わり自由にしたら、皆さん草履サイズのハンバーグを3回お替わりして付け合わせのキュウリのサラダとご飯も在庫がなくなるまで食べた。

もちろんギーヴもご飯のお替わりに来た。勝ったぜ!


クリーンで汚れた食器を片づけたら、騎士様のお風呂タイム。

 清潔にしてないとどんな病気にかかるかわからないから、2日に1度はお風呂なんだそうな。僕もバーン様を洗うついでに入る。顔のケガは治したらマズいけど、この背中の古傷は治さないと左腕が上がらないよね?

治しちゃえ!


「再生」


スウッと傷跡がなぞるように消えていく。盛り上がった新しい肉が体が万全であることを知らせている。ゴシゴシ洗ってごまかす。


夜番は食事当番してるから、免除された。

その代わり山のような洗濯物が押しつけられた。

洗濯物を畳みながらパンを焼いてると、バーン様僕を目指して走って来る。肩を抱かれて顔中にキスされた。

 わはは、傷治したのバレちゃった!コミュニケーションが激しいワンコに顔舐められてる感じ。周りの人が驚いている。


「バーン様。わかったから、離して。パンがそろそろ焼けるんだ」


「おっと!こっちもそういう場合じゃなくてちょっと来い。診て貰いたい負傷者がいる」


「パン、竃から出してからね。ちょっと手伝って」


バーン様に手伝って貰って食パン50本を取り出すと、バーン様にライドオンして、現地まで向かった。

 明らかに失血し過ぎた冒険者がケガだけは治して貰ったらしい。

血がこびり付く傷口を舐めてみる。この味はA型か。周り中の騎士様達に血を舐めさせて貰ったら、16人該当者がいた。血液を400CCづつ献血させた。乱暴だが、血液を少量づつ転移させたのだ。医療知識はゼロなので仕方ない。後は冷えないように温めてたらいいのかな?段々顔色が良くなって来たから僕の天幕で監視することにした。

とりあえずヒールをかけて様子見だ。

朝方に熱を出したが白菜とハムのクリームシチューを食べさせるとたくさん食べて持ち直した。

朝ごはんは、街で卵を買ってサンドイッチを大量に作った。

 皆が柔らかいパンに1口惚れしていた。

ふふ、簡単なヤツらめ!どんどん僕の料理に引きずり込んでやる!

医療知識が無いのを魔法で間に合わせてます。真似しないで下さい!

 あくまでファンタジーです!

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