第1章 雑用係②
◆○◆○◆sideアミル
簡単に、僕のスキル、バラしやがって!お仕置きのつもりでビッグサラミみたいな指を締め付けてやっても、何の痛痒も感じてないっぽい。
でも、1カ月に金貨30枚の食費の交渉をしてくれた。バーン様大好き!
「明日は買い出しにクラヴェルまで新入り連れて行って来る。金貨10枚やるから、調味料はそれで準備しろ」
「ありがとうございます!ロズウェル様」
金貨10枚をズボンのポケットに入れるとそのまま場所を借りてスキルで買い物。
ウインドウが目の端に展開する、
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【ワケあり商品一覧表】
◆クワで傷ついたカブ/5箱@¥250
◆熟れすぎたトマト(ハウス物)/11箱@¥200
◆成りすぎたキュウリ(ハウス物)/あるだけ放出¥1000
◆芽が出たジャガイモ/7箱@¥100
◆虫に食われた白菜/150個@¥50
◆成りすぎた大根/4籠@¥500
◆発育不良のしょうが/引き取り@¥※※※
◆収穫し過ぎたナガイモ/1000本@¥10
◆傷ありサツマイモ/6籠@¥500
◆鳴かず飛ばずの里芋/7籠@¥500
「全部買いで」
【いつもありがとうございます。全部買いで30500円のお支払いです。1000000円のお預かりで残金690500になります。
調味料のお買い物をいたしますか?】
「はい」
ケチャップとミートソースは作るとして砂糖、塩コショウ、唐辛子、植物油、酢、日本酒、醤油、味噌、カレールー、デミグラスソースの缶、バター、シチューのルウ、甜麺醤、豆板醤、上湯、小麦粉を少し。手間だから乾燥パスタとパン粉も買った。米を1斗分買い、あと、ニンニクとハーブをチャージした値段ギリギリまで買ってソレがあるのに気付いた。
何年かに一度の期限切れギリギリのレトルト食品のバーゲンセール。とりあえず500個買って大満足で、買い物を終えた。
アイテムボックスの中に商品は届いてる。
早速朝ごはんの後に仕込みをやろうとしたら、目の前に積み上げられる洗濯物の山。
「やっとけ!横領野郎!金が欲しいんだろ!!」
ムカつくが、お金は幾らあってもいい。クリーンで綺麗にして畳むと1時間ぐらい経ってた。
洗濯物袋の名前通りに天幕内に配達して置いて行く。
昼食は食べないときいていたが、それでは持たないだろう。
熟れすぎたトマトでトマトソーススパゲティをカブのマリネを添えて食べさせたらロズウェル様に怒られた。
「これが当たり前になったら、困るんだよ!昼間の内に腹が減ってても、魔獣の殲滅をしなきゃいけないんだから、余計な真似はするな!」
「申し訳ありませんでした!」
午後は無農薬栽培の白菜を水洗いして4分の1にカットして日干しする。ケチャップとトマトソースをたくさん作る。
キュウリは糠床に入れる。まだまだ余ってるのでアイテムボックスの中にしまっておく。
僕のアイテムボックスは時間経過がある調理用と、全く時間経過のない保存用に分かれている。チートなのだ。
糠床や漬物系は時間経過がある方にしまって、腐ったら困る食材などは時間経過がない方に入れてある。
今夜はナガイモの団子汁の予定。肉がその時視界を遮った。
「ブラッドパイソン様じゃ、ありませんか!お目にかかりたかったです!」
僕にかかってくるブラッドパイソンをウインド・カッターで真っ二つにする。
今夜はステーキとナガイモのミネストローネ。
皆がお替わりを求めたがナガイモのミネストローネがもう少し残ってるだけだ。僕はひいきして、ロズウェル様と、バーン様の丼に注いであげたら、「ちくしょう!優しくしとくんだった!」と誰かが言った。
翌朝白菜を塩漬けしているとまた魔獣がやってきた。ウインド・カッターでやっつけるとホブゴブリンだ。食べられないなら燃やして埋める。何十回と繰り返しているとバーン様達が起きて来て早速仕事をし始めた。
さすが最前線。僕は仮作りの台所の場所をもっと、安全な方に移動した。他の天幕もアイテムボックスにしまって移動させる。
朝昼ご飯は、量が多い方が良いだろうと、こっそり狩りに出掛けた先にいたコカトリスをから揚げにして、鳥肉じゃが、白菜の味噌汁
自作した1斗炊飯魔導具で炊いた白米。キュウリの浅漬け。準備は出来た!さあ、来い。
「逃げろぉおーーーー!新入りぃ!」
とっさに結界を張った。
衝撃の後、一向に来ない追撃に閉じた目をそっと開けるとオークキングとオークジェネラルが並べてあった朝昼ご飯をモリモリむしゃむしゃ食べている。
プツッと僕の中のリミッターが外れた。
「お前らに食べさせる為に作ったんじゃねえ!!この豚共が!喰らえウインド・スラッシュ!」
豚共は頭と胴が泣き別れした。
僕は無事だった朝昼ご飯を集めて増産して、オークジェネラルとオークキングをただの豚肉として扱った。お昼ご飯は豚テキだ。
様子を確認に来た騎士様5人を捕まえてご飯を食べさせる。
食べてる間は僕が魔獣に警戒して来たら魔法で処分する。
「美味かった!ありがとう!他の班と交代して来る。1人で大丈夫だな?」
「任せとけ!」
騎士様達が居なくなったのを確認後、向かって来る魔獣の群れに火種を投げつける。
「火炎地獄」
元野営地だった草原が魔獣と一緒に燃える。
ムッ、こちらに来てる騎士様達感知!
そこだけ火を退けると走って来た。
あ、バーン様だ!
「バーン様ぁ!ご飯あるよお!」
「あるよおじゃない!!この炎を何とかしろ!熱くて適わんワ!」
激オコでした。
僕が魔法を使うとだいたい皆が怒る。何でだろう?
だから、魔法使いはあきらめて料理人になったのに、荒ぶるとソレを忘れてしまう。僕の悪いクセ。
だいたいこの後殴られるので歯を食いしばる。バーン様は俺の前に来ると右手を振り上げた。僕は目を閉じた。
ギュッと抱きしめられ、鎧が顔に当たる。
「怖かったろうに、良くやった!お前のおかげでゴブリン部隊が居なくなった!……だからと言って辺り一帯を火の海にするなよ?」
初めて魔法を使って褒められた!嬉しくて僕は泣いた。ミスリルの鎧が痛かろうがそんなのは些細なことだ。
「な、なあ、昼食にしていいか?」
「はい、ご飯つぎますね」
僕はスカーフで涙を拭うとバーン様達の分オークキングの豚テキを作った。
皆が美味い美味いと食べるので、もう1枚づつ焼いてこちらはガーリックソースで食べさせる。
そうしてると草原のあちこちから戻ってくる騎士様。43人全員が戻って来たのを確認後、食事を配り僕も食事を取る。
何故か、作戦会議に巻き込まれて夜のご飯が作れない。
近くのダンジョンから溢れてるみたいで、昼間の内は高ランクの冒険者達が討伐してたのだが、ゴブリン部隊とオーク部隊の数に押されてここまで進軍を許したらしい。
「冒険者達を引かせるから焼き払ってくれ」
「引かせなくて大丈夫。僕、人殺し出来ないように契約結んでるから」
師匠が、無理矢理神殿に連れて行って神様との契約を交わしたんだよな。
前代未聞だったみたいで神殿に行く度「お前があの!」って言われる。
だから神殿嫌いになったんだよね。
お伝えするのを忘れてましたが、不定期更新です。よろしくお願いいたします(>_<)ゞ