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Enforcer  作者: 黒糖
1/1

闇に紛れて

夜の街は静寂に包まれていた。街灯の光が路地裏に差し込み、濡れたアスファルトに反射して歪んだ影を映す。志那薫は黒いフードを目深に被り、物陰から様子を窺っていた。

標的は目の前のバーにいる。魔法使いの一人だ。


「そろそろか。」

薫は真っ黒のダウンの内側に手を差し入れた。そこには愛用の二丁拳銃が隠されている。

黒鋼くろがね と名付けられた特製の銃。魔法障壁を貫くために設計された特殊弾丸が込められている。


バーのドアが開いた。スーツを着た男が姿を現す。標的だ。

薫はフードを深く被り、闇に溶け込むようにして距離を詰めた。


だが、次の瞬間――男が振り向き、手を翳した。

「見えているぞ、殺し屋!」

空気が震え、赤色の光が渦を巻く。魔法だ。


「だったら何だ…!」

薫は反射的に跳躍し、宙で銃を抜いた。二丁の黒鋼が閃き、引き金が引かれる。

閃光と共に、銃弾が唸りを上げて放たれた。


男は赤の障壁を展開する。だが、黒鋼の特殊弾は魔法障壁を貫く。弾丸は障壁を容易く突き破り、男の肩を抉った。


「ぐあっ…!」

男が呻き、体勢を崩す。その隙を見逃さず、薫は地面に着地し、すかさず追撃をかけた。

「逃がすかよ。」

低く呟き、銃口を男の心臓に向ける。


だが、男は歯を食いしばり、地面に手をついた。魔法陣が瞬時に描かれ、雷撃が薫に向かって放たれる。


「チッ…!」

薫は咄嗟に壁を蹴って跳び退いた。雷撃が地面を焼き、焦げた臭いが鼻を突く。

「しぶといな。」


男は立ち上がり、血を流しながら狂気の笑みを浮かべた。

「痛てぇなぁ…殺し屋ごときが!」

再び赤の光が渦巻き、今度は無数の雷の槍が生成された。空中に浮かぶ槍は一斉に薫へと向かって放たれる。


Flow Accel(魔流加速)

薫は目を細め、鋭く閃光のような動きで雷の槍をかわしながら前進する。黒鋼が火を噴き、次々に槍を撃ち砕いた。

雷槍の破片が散り、薫は一気に間合いを詰める。


「終わりだ。」

至近距離で銃口を男の額に突きつけ、引き金を引いた。

銃声が響き、男の体が崩れ落ちる。


薫は銃を仕舞い、冷たい視線で倒れた男を見下ろした。

「恨むなら雇い主を恨め…」

薫は振り返り、タバコに火を付けた。

その背中を、冷たい風が通り過ぎていった。

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