第90話 思惑
ランスロットがミルクとランと共に小屋から出てくると ポツリ、ポツリと雨が降り出してきた。
「シズ、結界を張ってくれ屋根にする」
「分かりました。あなた様」
「雲行きが怪しいです。ランスロットさま」
『1週間は、覚悟しなさい』
「ランス、お告げが来たわ。1週間も続くそうよ」
「一難去って また 一難か」
「ランスロットさま、ギガントタートルの家を出してみては、あれなら全員、収納できます」
「あれは、まだ 作り途中だぞ。いいのか、オルガ」
「2階に上がる際には、靴を脱いでもらうか、生活魔法のクリーンを掛けてから上がって貰うようにしてもらえれば問題がありません。
まだ 至る処に修復の場所があるため、触ってもらいたくはありませんが仕方がありません」
「どうする。テル! 俺達の新居を出して1週間、雨が止むのを待つか」
「ちょっと待ってくれ ギガントタートルって! 迷宮都市に向かっている最中に出た。あれか?」
「その あれだ。どうする! シズの提案で新居にする予定だ。内装もまだ 途中だから処かしこに修復場所が残されているが収納だけは出来るぞ」
「ただし、人数分のソファーが無いから床の上に寝てもらうけど それでも構わないわよな」
「問題が無いでしょう。馬車の中に寝かせれば」
「それも そうよね。好きにさせればいいわ」
「雨を凌げるなら その様にしてくれ頼む」
「アスカ、全体的に3メートルほど 拡げてくれ! シズは、馬車をアイテムボックスに閉まってもらえるか。ギガントタートルの中に成してやってくれ」
「分かりました。旦那さま」
アスカが地面に手を添えると地面が盛り上がってきて 更に拡がるのであった。
「馬車に乗っている奴等は、今すぐに降りろ! シズ様が収納する」
「ありがとう。テル!」
シズが触れていくと 触れた途端に馬車が消えていき、全てを収納すると生徒に騎士たちが周りに固まるとランスロットが自分自身のアイテムボックスから ギガントタートルを出しただけで歓声が上がるのであった。
馬達が中に入るのを見た後に シズが馬車を中に並べるようにして設置していった。その後、テルミーナが皆に説明をしていた。ランスロット達は、今まで通りに2階に上がって寛ぐのであった。
3日を過ぎた辺りで テルミーナが不思議に思って訪ねてきた。
「ランス、お前から石鹸の香りがするのだが風呂にでも入ったのか?」
「毎日、入っているがそれがどうした。風呂は気持ちがいいから長湯してしまう」
「周りを見て回ったが そんな物は、存在していなかったぞ」
「この2階の更に上の部屋にある。扉が3つ、あるけど中に入るなよ。ハクとクロが怒るぞ!」
魔力を吸い取られた、シズとラムが現れるとランスロットの両脇に陣取っていた。ミカゲとカグラが退くのであった。倒れ込むようにランスロットに抱き付きキスを強請ると優しくキスをする姿が目に飛び込んでくるのであった。
その後は、何時も通りのシズとラムの怒涛の言葉が続くと笑いが絶えないのであった。そんな中
「話の最中、悪いがこの上には、どうやって行ったらいいのだ」
「浮遊して上に行けるだろう。風呂なら この上だ。但し、風呂の中の石を持ち出すなよ。ハクが怒るぞ! 1つでも無くなっているとギ
ルガイア大国に攻めるからな」
「そうそう、ハク “ おばあちゃん ”は、怖いから気を付けてね」
「聞こえているぞ。帰ってきたら また 鍛え直してやるから覚悟を押し」
「その言葉をそっくりと返すわ。足るんだ身体で何が出来るのかしら “ ハクおばあちゃん ”は」
白髪の女性が現れると戦闘服を身に纏っており、ラムを連れて部屋の1部の扉を開けて2人仲良く入ってしまった。
「ランス、あれは誰だ。何処から出てきた」
「この上の扉は、異空間魔法で繋がっている。今の女性は、ホワイトドラゴンのハクだ。気にしなくていい、何時もの事だ」
「他にもいるけど もし 現れたら紹介してあげるわ。それでいいわよね。あなた様」
横の扉から マイがスッキリな顔で出てくると その後ろからチロロがフラフラで出てきていた。相当に鍛えられたみたいだ。
「旦那さま、これからもチロロを鍛えてやっても構いませんか。武器の扱いがなっておりません」
「どうせなら ミカゲとカグラも鍛えてやったら」
途端に青白い顔に成るとマイに連れられて チロロを部屋に放り出すとミカゲとカグラの襟袖を持って引きずって中に消えるのであった。
「シズ、体力を回復させて」
シズの指が鳴ると回復をするのであった。
「アスカ、手伝ってもらえる。チロロも暇でしょう」
「何をするの?」
「食事の準備よ」
「「うん!」」
「あなた様は、何時も通りね」
「薬の調合をしているよ。必要なものが在ったら作るけど」
「食事が出来たら呼びに行かせるわ」
「ちょっと待ってくれ ランス! お前たちは、毎日 こんな事をして暮らしているのか」
「今は、農園にいないから こんな感じだな! 雨が降ったら部屋の中で好きな事をしている」
“ 基本、雨など降らないけど ”
「そんな暮らしで生活が成り立つのか?」
「必要な物は、俺か、ローザにオルガが作るから問題も無い」
「金は?」
「金貨を1万枚ほど溶かして 浴槽にするくらい余っている。それに宝石も持っているから無くなれば売ったらいいだけだ」
“ 無くなる。見込みが無い ”
「今度、俺をお前の農園に招待しろ」
「無理だ。レベルが低すぎる。リルで普通に会話が出来る程度だ」
そこにリルターナが現れるのであった。取り巻きを2人連れて
「何、何、私の噂話」
「リル、俺では、ランスの農園に入れないのか」
「無理ね。パルムでさえ 農園に足を入れただけで気を失ったわ。今のテルでは、近づく事も出来ないわね。中にとんでもない存在達が住んでいるわ。一般人たちが中に入る事が出来なくなっているのよ」
「私のレベルも138なのですが私の奢りでした。世界で言えば、私などちっぽけな存在でしかないと思い知らされました」
テルミーナがカーメルを見ると
「私に聞いても無理ですよ。そんな場所に入りたいなどと思いません」
「私もシズの加護から離れたから 他の人達には、会えない人も存在しているのよ。特にラムの従者には、無理ね。存在を知った時点でフィンの街のベットで寝ていたわ」
「あの時は、驚きました。ラム様がリルターナ様を抱きかかえて現れた時は」
「私は、席を外していたので確認していませんが 部屋に入ってきた時には、リルターナ様がベットで寝ておりました。翌朝まで目覚める事も無く」
「諦めろ、俺は自室で研究をする」
「ちょっと待て せめて魔石とロイヤルゼリーを国に売ってくれ」
「分かった。必要な分量を言ってくれ! その時に用意する」
ランスロットが席を立つと扉の中に消えた。
「テル、ランスに何をさせる気。国を潰すつもり」
「ランスの取り巻き連中は、それほどに危ない連中なのか。リル」
「私達が相手にできる存在など 命がある者達よ。数万年も生きている存在達になど関わらない方がいいのよ」
「 ・・・ それって 神話に登場する。者達なのか」
「テルの頭の中に思い浮かんだ者たちが ランスの農園で働いているわ。森の中にも聖獣や魔獣が住んでいて 冒険者や盗賊が食べられるでしょう。容赦なく」
「私も森に侵入した時にマイ様に助けられました。存在も確認しておりますが 私たち程度では、何万人の兵士で戦えば勝てるかもしれませんが あくまでも1体に対してです。
ワイルドウルフ系は、群れで動くので彼等に勝てる見込みが無いと思います」
「大丈夫よ。アスカ、か! シズがいれば、彼等も襲ってこないわ。楽しみなさい」




