第66話 リルターナと別れ
「分かったわよ。別れてあげるわ。金輪際、あなた方と付き合いを辞めさせてもらいます」
「ちょっとリル、考え直しなさい。本気で出て行く積もり」
「ラム、リルの好きにして上げればいいのよ。自分がどれだけ恵まれていたのかを思い知るわ」
「大丈夫でしょうか。リルのレベルで普通の人と生活ができますかね」
「あの子は、その辺りの事を何も分かっていないのよ。いままでは、私達が補佐していたから問題が無かったけど これからは1人で行わないといけない事も分からないで出て行ったら苦労するわよ」
「少し、天然も入っているから問題が無いでしょう」
「フィンさん、ガーナさん、大きな声を出してしまって それでは、地上に戻りませんか」
「それは、構わないのだが本当に別れてしまってもいいのか?」
「彼女は、引き留めて貰いたいと思っている。と 思うよ」
「その辺りの事は、俺には理解が出来ませんのでリルの気持ちを大事にしたいと思います」
「本当は、女が多いい事も悩みの1つだったりして」
「こら! ガーナ、いままでお世話になっているのに失礼だろう。少しは、大人の女のいい処もみせるべきよ」
「ごめん。ランスロット! ここが迷宮だと言う事を完全に忘れていた。余りにも平和過ぎて」
「構いません。それと俺の事は、ランスで構いません。迷宮に入る際に自己紹介のままで構いませんよ」
「そうは、言ってもなぁ~」
「そろそろ行こうか。ランス! リルの頭から湯気が上がる前に」
「ちょっといいかな! 一気に戻るって言う手もあるのだがな!」
「ダンジョンウォークですか」
「やはり知っていたのか。どうする?」
「無難に宝箱を探しながら地上に戻りませんか。何も無ければ」
「出来れば、30階あたりから私達にも戦闘訓練をしてもらえないか。イマイチ、連携が上手く取れなくてな」
「分かりました。その辺りから前に出て貰います。それで構いませんか」
「ありがとう。助かるよ」
「俺の指示で構わないと取って置きます」
その後は、リルターナの1人舞台で簡単に魔物や魔獣を殺しまくっていき、ラムとアスカで宝箱を回収して回った。相変わらず、フィンさんとガーナさんは、ハズレの宝箱ばかりを引くものだから笑いが止まらないのであった。
ナイスだ。アスカ! と ウインクでアスカを褒めてやると照れていた。
「ランス、この辺りで休憩をしない。フィンさんもガーナさんも疲れたでしょう」
「ヨッコラショ! こんなにも楽しく迷宮に潜った事などなかったよ」
「ガーナさん、お婆ちゃんみたい。普通、“ ヨッコラショ ”なんて言わないわよ」
「もしかして」
「私は、言わないわよ。ガーナだけだからね。私は、言った事も無いし」
2人は、意志の上に腰かけると
「あれ、2人とも気が付いていないのですか」
「何がよ」
「何を言っているの?」
「2人が腰かけている。“ 石 ”は、石の宝箱ですよ。後ろに回って確認してみて下さい」
強欲迷宮では、石の宝箱は レア中のレアで滅多にお目にかかれる物で無かった。何故かと言うと中には、高価な武器や宝石類がたんまりと入っているからだ。大きさにもよるが金貨1万枚は十分に稼げるとも言われている。
「フィン!」
「ガーナ!」
「「私達!」」
「バッカじゃないのアスカがお膳立てした事も分からないなんて あなた達程度が宝箱を見つけられるとでも思っているの」
「それでも宝箱を開けたのは、フィンさんにガーナさんですよ。お2人の物です」
「あんたぁ~ねぇ~! 少しは、・・・」
「何を言っても無駄よ。ラム! 今のこの子には、無理な事よ」
「けど! シズ!」
「何を言っても本当の事でしょう」
“ パッチン ” シズがリルターナを平手打ちした。
「ここまで落ちると最低ね。リル! 自分が何を言っているか。本当に解っているの! 私達と本当に離別しても構わないと思っているの」
大粒の涙を両目に涙目で流しながら
「分かったわよ。出て行けばいいのよね。出て行って上げるわ。 “ ダンジョンウォーク ”」と 唱えるとこの場から出て行ってしまった。
1人で地上に行ってしまうと フィンとガーナが閥が悪そうにしていると
「遅かれ早かれ、こうなる運命だったのです。実際は、アスカが蹴り飛ばした物にガーナさんが座り、本来にそこに存在していたのが フィンさんが見つけた物です。気にしないで受け取って下さい」
「ランス、君はもしかして 宝箱の位置も把握しているのか?」
「そんな事は、無いよね」
「把握は、しておりませんが 計算して大体の場所の確定が出来ます。あくまでも未定での計算です。それとサーチ魔法で宝箱として探しても解る物も存在しておりますが 大体がミミックでした」
「やはり、魔法は凄いな! そんな事まで分かってしまうのか」
「ランスロットさま、剣を1本かしてもらえませんか」
「何でもいいのか」アイテムボックスに収納してある。剣をラムに渡すと フィンとガーナの後ろの大岩を切りつけると“ キッ~ン~~ ”と音と共に切り裂いてしまった。中から宝石類が零れ落ちてきた。
「誰が見ても多いわにしか見えない物が宝箱だったりします。今回は、運が良かったと思います。が! 大体がはずれだと思って下さい。あくまでも確率の問題です」
「ラム、本当は知っていたのでしょう」
「アスカの鼻がピクピクしていたから 可能性は高いかと思っていたの」
フィンとガーナは、普通に驚いていた。ラムの剣筋が見えなかった事と無拍子で切り付けていた事に
「ラム、君って剣士だったの? 魔法を使っていたみたいだけど?」
「私の場合は、魔剣士ですね。魔法も扱えて剣も使いますので ランスロットさまやローザとオルガもその類いに入ります。アスカだけちょっと違うかな!」
「ローザとオルガ、掃除をしてきてくれ 問題が無いだろう」
「この場から離れます」
「もう少し、休憩をして置いてください」
2人の頭の上に“ ? ”が 乗っかっていると
「岩ゴーレムが近づいているだけです。気にしないで下さい」
「あの2人なら 成果以上も期待が出来るかもしれませんよ」
「どう言うこと?」
「シズ!」
「回収済みよ」
「さすが シズ! もう少ししたら出発しませんか。フィンさんとガーナさん」
「どっちが探索者か、わからないわね。処でランスは、何をしているの?」
「ランスロットさまは、きっと薬草採取だと思います」
「時間と暇さえあれば、薬を調合したり 薬草採取をしているわ」
「農業をしているとそんな時間も中々 取れないけどね」
「私達の面倒を見たり、食事を作ったりと毎日が忙しいけど 少しの時間があると本を呼んで至り、薬の調合をしている姿を見守るのも悪くないわよ」
「ラムとアスカは、いつも ランスの近くにいるものね」
「そんな時、シズは何をしているの?」
「私は、御祈りよ。この世界に導いてくれて大好きな仲間とランスが幸せになりますように 毎日、御祈りを捧げているわ。本当にたまに ティラミス神様とお話もしているわ。内容は、内緒だけどね」
「3人の事は、分かったけど! ローザとオルガって 何をしているの?」
「彼女達は、洋服を作ったり。カバンやバックを作って楽しんでいるわ。物を作る事が好きなのよ。私達の服や今回の鎧で無いけど 革の服も彼女達が作ってくれた物だしね」
「本当に もらっちゃっても構わないの宝箱?」
「実を言うと私達って もう 宝箱探しをしなくてもいいのよ」
「えっ? どうして?」
「多分、200箱以上 回収していると思うし」
「お金も使い道に困るでしょう。私達って 余り、お金を使わなくても生活ができてしまうのよ。農家だし」
2人は、いままでの出来事を思い出すと 飛んでも無い程の宝箱を回収している事を思い出すのであった。
「ケガならシズが治してくれるし、病気ならランスロットさまが治療してくれるから問題が無いでしょう。それに生活に必要とする物も自分達で調達が出来るから お金だけが残る仕組みになってしまって困っているわ」
「私とランスのアイテムボックスに入っている。お金だけが不要在庫なのよね」
そんな時、遠くの方から“ ドッスン ドッスン ”と聞こえてきた。
「帰って来たみたいね。ローザとオルガが!」
「フィンさんとガーナさんの乗り物が到着したみたいよ」
「「えっ?!!」」額から汗が滲みで始めると
「オルガ、2人に魔石を食べさせてあげた」
「この子達って 魔石も食べるのですか? ランスロットさま?」
「岩ゴーレムだから 好きだと思うよ」
ローザとオルガが2人して 岩ゴーレムの口元に魔石を出して上げると喜んで食べ始めるのであった。それから おっかなびっくりで岩ゴーレムに乗り込む、フィンさんとガーナさんであった。当然のようにアスカとマイも もう1体の方に乗り出して喜ぶのであった。
「何度目かなんて忘れてしまったけど こんなにも楽しく迷宮に潜った事なんて無かったわ。フィン!」
「私だって 同じ意見よ。毎日が死に物狂いだったのに この子達と迷宮に潜って本当に毎日が楽しいわ」
「私達も これから かけだしから始めないか。フィン!」
「大分、歳も喰ってしまったが仕方がいな! ガーナ!」
「私達なりに頑張るしかないと思うぞ!」
「話の最中、すいませんが! どちらか、1人でも風魔法は、使えませんか」
「フィン、あんたなら使えるだろう」
「私のは、回復系と風と火程度よ。それも初級程度だし、回復と言っても“ ヒール ”よ。初級の初級だよ」
「風魔法が使えるのでしたら サーチ魔法が簡単です。最初は、範囲が狭いですが段々と広がってくるし、魔物や魔獣の脅威から逃れやすくなります。レベルが上げれば、人数や魔物や魔獣の存在も分かるようになるし、役に立ちますよ」
「もっと肝心な事を教えてあげないと 簡単で魔力も上がり易くなるわよ。いまのフィンさんには、そこが1番でしょう」
「そんな魔法があるのであれば、教えてもらいたい。できたら詠唱を教えてもらえないか。お金なら十分に払えると思う」
「シズ!」
「任せて、簡単に教えられるわ。フィンさん! 額に手を置かせてね」シズの手が光り出すと光が収まると同時に詠唱が頭の中に浮かび上がって 無詠唱で唱えるだけで覚えてしまった。
「フィンさん、“ サーチ ”と唱えてみて」
「“ サーチ ” っ ウワッ! 何だ? これ?」
「今現在、フィンさんを中心に後ろにいるのがガーナさんで 前の2人が私とラムよ。青色で光っているのが味方で 敵なら赤く光るわ。覚えて置いて」
「けど 私は、詠唱を唱えていないわよ」
「私は、これでも聖女よ。この位の事なら朝飯前よ」
「聖女って そんなにも凄い人なの」
「使徒の女性版だとでも思って」
「えっ?? シズ様って 使徒様だったの?」 2人の顔付きが段々と青白くなってくると いままでの無礼が浮き彫りに思いだしてきた。
「その前に私だって 1人の女よ、好きな人だっているわ。知っていると思うけど! ランスを愛しているのよ」
途端にリンゴのように顔を赤くするのであった。今更ながらに2人も思い出すのであった。いままでの出来事を
「くれぐれも毎日、10回以上はサーチ魔法を使ってね。当然、街中でも行うこと! 魔力切れに陥る事も無いと思うけど 確実に範囲を広げる事が1番大事な事よ」
「それと迷路の迷宮内では、範囲が狭くなってしまいますが問題がありません。壁が近いせいなので魔力が反射して帰って来るだけなので心配しないように」




