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第65話  炎王の名が マイになった。


 シズの弓の稽古に付き合いながら 可愛らしい声と共に時間だけが流れて行く頃には、リルターナの腹の虫が泣きはじめるのであった。


「ぐぅぅぅ~~うぅ」


「もう そんな時間か」


「その様です。何にいたしますか」


「今回も肉と野菜でいいだろう」


「たまには、オークソテーにしてよ」


「アスカ、大根おろしを作ってくれ、それとローザとオルガは、服を着ろ! その姿も見飽きた」


「わかりました。旦那さま」


「わかりました。ランスロットさま」


「私達は、裸でも構いませんよ。いつでも耐えてみせます」


 オルガの下半身部分の突起物を摘まんで弾いただけで大量の水を出して気を失うのであった。


「簡単に落ちてしまったな!」


「まだまだね。少し寝かしつけて起きましょう」


 ラムが肉を切り分けるとランスロットが焼き始めて アスカとリルターナで野菜を盛り付けて行く頃には、ローザが皆の分の食器を並べるのであった。いつもなら ここにオルガもいるのだが 今回は、嬉しそうに気を失っていた。


 その間、フィンとガーナに そして猿王は、静かにして待っている。いつの間にか、懐かれてしまっていた。


 皆が席に付くと猿王もアスカの横に座り、自分の分もある物だと思うのであった。


「アンタ魔王の癖に食事までたかる気!」


『私は、アスカのペットよ。私にも頂戴』


「知能が無かったら 殺したい気分だわ」


「どうする積もり、ランス」


「アスカは、どうしたい」


「私の農作業も手伝ってもらえると助かるわ」


「なら 決まりだな! 今日からアスカのペットで構わない」


「本当にアスカには、甘いわね」


「旦那さま、猿王に名前を付けてください。この子も猿王で無く、立派な名を付けてください」


「仕方が無いわよね。ランスが決めたのだから 名前ぐらい付けて上げなさいよ」


「当然です。私達の旦那様なのですから」


「諦めてね。あ・な・た 」


「アスカのペットなのだから アスカが決めればいいのだろう」


「私の物は、すべてが旦那さまの物です。ですから この子にも名前を付ける権利が発生します」


 “ はぁ~~ マジかぁ~~ ”


「“ マイ ”何て どうかな!」


 “ あんちょく過ぎたか、まさか マジから取ったなどと言えないよな ”


「“ マイ ”か! 可愛いわね」


 “ いいのか? そんな名で? ”


「ちょっと似合わない程に可愛すぎる気がするけど悪くないわね」


「私は、いいと思うわ。アスカとも仲良くしてね」


『私は、魔王だぞ! 本当に名を与えてくれるのか?』


 “ そう言えば、魔物や魔獣に名を与えると膨大な魔力が必要だったがアスカの時もミルクの時も何もならなかったから問題が無いよな! 多分! ”


 ランスロットがそんな事を思っていたが 何も起きる事も無くすんなりと済んでしまっていた。もともとシズ以上に魔力を持って要る為に普通でいられるのであるが この世界の住人が行えば、自然と魔力欠乏症に陥り、死んでしまっていたであろう。それ程の魔力量が必要であった。この地点のシズの魔力量の10倍に達しており、神に近い存在まで膨れ上がっていた。


 ランスロット自身も本来の自分のステータスを確認していなかった為にこんな事態へと変わるのであった。



「そう言えば、ミルクに名を与えて時も何も起きなかったわよね。ランスに!」


「そう言えばそうですね。“ 神獣 ”なのに!」


 “ ビックン ”と 反応した。マイが


『1つ、伺ってもよろしいですか』


「どうしたの マイ?」


『仲間内に“ 神獣 ”がいるのですか?』


「いるわよ」


『彼等が人間に懐くのですか』


「どちらかと言うとシズに懐いているわ」


「私って こう見えても一様、使徒なのよ。聖女だしね」


『シズ様って 使徒様だったのですか。道理で魔力が無限なのですね』


「処でどうして 敬語なの? アンタ!」


『一様、ペットですので敬語で話させてもらっております。あなた方以外の方々には、これからも魔王として話をする積もりですがダメでしょうか』


「ランス、どうするの」


「好きにすれば」


「だ! そうよ。詰まらない発言だけは、勘弁してね」


「それとアスカの逆鱗にだけは、触れないようにしなさいよ。私達でも止められないわ」


「私は、怒ったりしないわ。野菜を無駄にしない限り、それと旦那さまを困らせれば、その場で死ぬだけでしょう。それだけでし」


 マイは、持っていた。野菜を口の中に入れて問題が無い事をアピールしはじめてた。


「問題が無いわよ。マイ! 野菜を残せば、遊びで無い一撃を与えてあげるわ。その時は、覚悟を決めなさい」


 問答無用でマイの頭が上下に不自然に動くのであった。



 翌日


「なんだかんだ、2日で下層まで降りてしまったから 地上にあがろうか。今度は、のんびりと迷宮探索をしながら」


「そうですね。本来のコースを歩きましょう」


『あなた方は、ここまで2日で降りて来たのですか』


「この2人なんて 気を失っていたり、お漏らししたりと大変だったのよ」


「面目無い」


「今回は、少しは耐性が出来たと思う。マイのお陰で」


『本当にあなた方って 人間なの?』


「今回は、許してあげるわ。それよりもフィンさんとガーナさんの装備は、それで構わないけど! マイの装備も必要でしょう。さすがに裸で街の中を歩く事は出来ないわね」


『私は、一様 魔獣ですので構いませんが』


「私達が気にするのよ。アスカのペットでしょう」


『はぁ~~!』


「この際だから この辺りのオリハルコンの装備を付けさせればいいでしょう」


「武器関連も殴る蹴るだったから この辺りで構わないわね」


 武器は、トングで槍が付いており 装備は、胸当てに肩当て膝パット、バックル、その他諸々を装備させられて完全武装になってしまっていたのだが アスカがところ処を取り外して動きやすくすると


「旦那さま、瞬縮自在にしてやってください。どうも マイって大きさが自由に成るみたいなので」


「アスカは、感覚だけでそこまで分かってしまうのか。いいだろう!」


『えっ! そんな簡単に付与が可能なのですか?』


「旦那さまだからです。オルガ、マイの装備のアイテムバックって 無いかな!」


「これも瞬縮自在だから大丈夫だと思う。ベルトタイプに成っているから腰にでも付けて置いて」


「マイ、これを腰に巻くわよ。何処の部分でも構わないから取り出す時としまう時は、何処かを触りながら念じてね」


『こんな物まで私に与えて貰えるのか。武器や防具ばかりでなく、装備品まで』


「ミルクなどは、自分のアイテムボックスに収納しているのよ。マイだって自分の物を持ちたいでしょう」


『取りあえず、武器を終っておくよ』


「自分の好きな物を入れて置いたらいいわ。但し、食べ物はダメだからね。腐ってしまうわ」


『わかった。気を付けるようにする』


 アスカとマイがそんな事を話している最中に ランスロットは、散らばっている武器や防具をアイテムボックスに収納して要らなくなった宝箱を放置し始めていた。そんな時


「ランスロットさま、この宝箱も特殊な木で作られておりますので高値で売れますよ。いいのですか、放置しても」


「トレント材だろう。森の中でなら幾らでも手に入る代物だよ。フィンさん」


「もしかして この素材もお持ちなのですか?」


「装備は、それで良かったのですか。帰りもあなた方が戦闘をする事も無いと思いますが十分に気を付けてください」


「どちらが探索者なのか、分かりませんね。本来なら私達があなた方に言わないといけないのに」


「フィン、私達も地上にあがったら数日中に迷宮に また 潜ろうぜ!」


「そうですね。私達も子供達に負けていられません」


「処で フィンさんの名前の由来ってあるのですか?」


「私の名前ですか。何でも昔に住んでいた街の名前だそうです。今では、盗賊達の根城になっていて住めなくなってしまったと両親に教わりましたが それが何か?」


「それならばご両親に教えて上げて下さい。フィンの街から盗賊達を追い払って 今では、段々と昔懐かしい街に戻りつつあることを」


「噂で聞いておりますが 何でも300名近くいると言われておりますが 盗賊達が!」


「問題がありません。全て狩り取りました。盗賊達の死体からアンデットに陥る物も一つも無いと思います」


「もしかして ランスロットさま達が壊滅させたとか?」


「俺達の村の近くに盗賊の根城など不要な存在ですから壊滅させました。次の領主も同じ事を企むのであれば、同様に殺してしまいます。フォンフォードのリルのお父さんが許してくれると思いますので」


「もしかして リルさまって リルターナ・フォンフォードのお嬢様なのですか」


「良くご存知で もしかして 元貴族だったりして」


「私の父が冒険者から 1代限りの名誉男爵だったそうです。街の治安を守って死んだと聞いております。私達は、盗賊達から逃げるようにして この街に辿り着いたと聞いております」


「もし あなたが貴族を目指すのであるならば、俺の方からリルのお父さんに紹介文を書かせてもらえませんか。貴族としての紹介は出来ませんが フィンさんの父親と同じ様に1代限りの名誉男爵としてなら紹介をさせてください」


「ランス、話は聞いておりました。フィンさんが結婚をする際には、旦那さまと共にフォンフォードの街を守ってもらえませんか。当然、1代と言わずに 男爵として貴族の仲間入りです」


「そんな事を勝手の決め手も」


「誰の紹介文か、分かっているの ランスは」


 フィンとガーナが不安がっていると


「俺のだろう」


「ランスの紹介文なら ギルガイア大国の国王だって大事に扱って伯爵にしろと 書かれてあったら当然のように伯爵にしてしまうわよ。それ程の力を既に持っているのよ。ランスは」


「まさかぁ~ 俺は、普通に貴族を嫌っているだけだぞ」


「私達の周りの国々がランス1人に振り回されている事も知らないの」


「その手の話は、パス! 感賞したくない」


「あなたがそんなだから ギルガイア大国でも周りの国々も困っているのよ。表舞台に出て来ないのだから」


「その前に俺は、農民だぜ! 切り捨てられてゴミのように死ぬ事が前提の存在だよ」


「現にランスが救ってきた村々は、1年を通して王都に野菜を入れているわ。見返りも多いいはずなのに あなたは、1つも見返りを求めていないわ。どうしてよ」


「その前に俺達は、学生だ。本分を弁えないで農家の人達の金銭面を見ても仕方が無いだろう。それならば、旨い野菜をたらふく食べて残りを売ったらいいだけだ。知識だって俺達よりもたくさん持っているのだから 彼等が儲かれば、自然と村が充実して奴隷に成る子供も減るだろう。それに ・・・ らしくない話をするのは、この辺りで辞めないか」


「フィンさん、ランスに紹介文を書いてもらった方がいいわよ。フォンフォードでも ギルガイア大国の王都に持っていっても貴族に慣れるわ。王都に行くのであれば、王族に組するか、ゴアボイアに組するか。ぐらい考えて置くことよ」


「何が違うのでしょうか?」


「王族は名前の通り この国の国王が支配する世界。もう1つのゴアボイアは、エリザベス様が仕切っている。もう1つの世界よ。ランスの母親が仕切っているわ。今現在、王都のみが隔離状態に陥っているけどね。

 私達、フォンフォードもエリザベス様の傘下に入らせてもらっているわ。当然、ランスが私の夫になる事が条件だけど」


「普段のリルからは、考えられない程に良くしゃべるよな! この辺りがお嬢様なのか。この際だから考えて置けよ。俺と別れる事も貴族のお嬢様は、俺に必要ないからな!」


「そうか、リルターナさまもフォンフォードに戻られるのか。寂しくなるわね。アスカ!」


「それもそうですね。何も農民に成らなくても貴族なら美味しい食べ物がたくさんありますものね」


「あと少し、仲間のフリをしておきましょう。皆さん」



 仲間内では、既にリルターナが仲間から離れる事が確定するのであった。






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