第59話 黒龍
ランスロット達は、ホルライズンの街を出て 少し歩くと心影の森にやって来ていた。此処は、神獣の森と言われており、多くの薬草が取れる場所でも有名であったが かわりに多くの魔獣達の住処にも成っていた。ホルライズンの街には、冒険者ギルドが無い変わりに 迷宮なだけに探索者ギルドがあり、多くの探索者が薬草依頼でこの森を訪れるのであった。
だが 神獣を怒らせてしまうと簡単にスタンビート、魔物や魔獣達が凶暴になって町や村を襲って来てしまい。時と場合により崩壊も考えられる事でも有名であった。その為、依頼を出すにしても慎重に行うように探索ギルドのギルドマスターから良く言われていたみたいだ。
そんな事とは露知らず、ランスロット達は森の奥へと入るのであった。その間、多くの探索者達が魔獣と戦闘を繰り返し行っている最中、和気藹藹に話をしながら森の中を歩くのであった。1つの集団が魔獣に追われて逃げてきた処にランスロット達の方に向かってくると ランスロットがリルターナの胸の先端部分を弾くとエアーカッターが飛び、ボアが切断され黒霧へと変わるのであった。肉と部位は、魔法陣を展開させてランスロットのアイテムボックスに収納済みである。
「シズ!」
「はい! あ・な・た 」
彼等が光り輝くとキズが治っていた。
「おいっ! 早く逃げろ、ボアが怒り狂って こっちにやってくるぞ!」
彼等の言い分も聞かずに歩いて行こうとすると更に
「何をやっている。ボアが ・・・ 」後ろから気配が消えていた。
彼等が不思議そうに思っている最中、1人の子供が自分自身の身体のキズが癒されている事に気が付くと他の子供達まで不思議がるのであった。1人の少年が話かけてくると
「おいっ! お前達は、何処の孤児院のガキだ。今週は、俺達の番だぞ」
「私達は、この街の者で無いわ。消えなさい」
「女の分際で男に指示を出すな!」
「ローザとオルガ」
途端に鼻血を出してしまった。自分自身の血を見ただけで震えだすと それでも下半身を大きくしながらもくいさがらない処、ミルクが“ グッルルッ~~ ” 唸り出す。青い顔をして逃げ出した。
「良かったの ラム!」
「問題が無いわ。これから ここら一帯から魔物や魔獣が逃げ出して彼等が死ぬよりもいいので無くて」
その後も狩りをしながら森の奥深くまで歩いて行くのであった。そして 湖畔に辿り着くも神獣の姿が無く気配のみが残されている。ランスロット達の気配を感じ取り逃げ出してしまっていた。
「リル、ファイヤーボールのデカイ奴を湖に落としてやれ ここら一帯を燃やしてやってくれ シズ、問題が無いよな」
「はい! あ・な・た 」
ランスロットから離れると杖を取り出して無詠唱で上空にファイヤーボールが出来上がるとゆっくりと落ち始めるのであった。その光景は、ホルライズンの街からでも十分に見て取れていた。
そんな最中、身籠った神獣が姿を現すと
「はぁ~~! そんなオチ か!」
「どう言う事よ。ランス!」
「さすがにこれでは、ミルクの練習相手になりませんね」
「神獣と言えども可哀そうです。あ・な・た!」
「だから どう言う事か、私にも教えてよぅ~」
「リル、彼女は身籠っているのです。お腹の中に赤ちゃんが入っているのです」
ランスロットが指を弾くと 上空から落ちてくるファイヤーボールが消滅していた。
『我に何か用でもあったか。人間の子供達よ』
「旦那さま、神獣って美味しいのかな?」
「さすがに食べた事が無いな!」
「身籠っているから 余分な脂が取り残っていない分 美味しいかも」
「近くにオスがいると思うから 2匹まとめて狩ると言う事も可能でしょう」
食べる気満々に話し込み出すも 風の神獣からの攻撃が襲い掛かるもシズの結界に挟まれてランスロット達に攻撃が当たらないのであった。
「さすが風の神獣ね。エアー系が多いいわね」
「どうする。あ・な・た! 予定が狂ってしまったわ」
『我は、このまま帰っても構わない。またの機会にして欲しい』
「もう少し 待ってみようか」
「お客様が来店です」
「いつも いつも 2人だけで解っているなんて どういう意味か、教えなさいよ」
「もう少しでリルの感知内にも入るわよ」
そんな最中、2人の探索者が湖畔に訪れて来ており、風の神獣とランスロット達の戦闘を驚愕する目で見ていた。それでも女性が薬草を採取仕様とするとエアーカッターが彼女に切り掛かるも男性が弾くのであった。
「早く逃げ出しなさい。これのオスが此方に向かって来ているわよ」
「この薬草を彼女に少し分けてもらえないか。神獣様にお願いしてくれ」
彼女が薬草に触ろうとするとラムの魔弾が飛び、彼女の左腕が飛んで行った。1人で騒いでいると男が切り掛かるも音速域で戦闘が始めるも手刀で戦闘を熟して男性の右腕と左足が切り取られてしまって地上に降り立った。その光景だけでも女性が驚くのであった。
「せめて 私に武器を持たせるくらいになってから出直しなさい。シズ!」
「もう 仕方が無いわね」 言いながらも 彼等が光りに包まれながら回復をするのであった。
「早く消えてもらえないかしら 次は、容赦なく狩るわよ」
『少しぐらいなら分けてやっても構わないぞ!』
「もしかして あんたの男って脳筋でしょう」
『 “ 脳筋 ” とは?』
「脳ミソまで筋肉で出来ているってことよ」
『 ・・・・・ 』
「頼む、彼女に薬草を ・・ 」ラムが武器を次元から取り出すと途端に2人が震えだすも
「時間切れです。シズの後ろに隠れなさい」
何を言われているのか、分からないまま杖に乗っている子供の後ろに立つのであった。
「何かが来るのですか?」
「あれよ!」
シズが指差す方向には、黒龍が上空でホバリングしており、今にもブレスを吹きそうであった。2人の探索者は、全身で震えだしていた。そんな最中に特大のブレスが襲い掛かるもシズの結界で湖畔ごと守られており、薬草達も守るのであった。
「やっぱり脳筋ね」
『面目無い。見た目は、いい男なのだが頭が悪過ぎて な!』
「旦那さま!」
ローザとオルガの眼が輝きだすと
「アスカ、50パーでぶん殴って来い」
アスカの姿が消えるとブレスを吹いているにも関わらず、ブレスの方向が変わると探索者と神獣が驚くのであった。アスカの武器を見て驚愕していた。
「ラム、鱗を半分ほど切り取れ」
ラムが消えると黒龍が狂うほどに騒ぎ始めると鱗が飛び散るもその鱗が消えるのであった。全てがランスロットのアイテムボックスに収納した。当然のように血の1滴まで無駄にしないように
「リル、あの両翼の翼が欲しい! 切り取れるだろう」
リルターナが消えるもその瞬間、黒龍の両翼が切り取られて その両翼も消えていた。当然のように黒龍が落ちてくると遊び半分の気持ちで隠蔽を使い結界を隠して 気持ちよさそうに落ちてくる黒龍がランスロットの結界に当たり、仰向けで倒れてしまうとランスロットと彼女達が笑う最中、風の神獣に探索者達は、何が起きたのかが分からないでいた。
「やっぱり、脳筋は笑わせてくれる。腹を出して普通、倒れるか」
「私達の旦那の方が上手だわ」
「ランスに敵う奴など存在しないわ」
「いい素材が手に入ったわ」
「これも旦那さまのお陰よ」
「シズ!」
「はい! あ・な・た 」
黒龍が完全回復をするとランスロット達を見るのであった。
『我に何か用か、人間の子供達よ』
未だに治療をされた事も分からないでいた。
「脳筋だ こと」
『面目ない。どうして こんな男を選んでしまったのかしら』
「こんな状態では、人間共が五月蠅いでしょう」
『最近では、身体を動かすのも大変になって来たわ』
「ミルク、あなたの兄弟達を呼べないかしら」
『呼ぶのは構わないが 人間共を喰い尽くしても構わないのか』
「いいわよ。食べ尽しなさい。但し、森に入るモノだけ限定よ」
『それで十分だ』
風の神獣と黒龍に探索者達までもが驚愕するのであった。森の至る処からバトルウルフにシャドーウルフが群れで現れ、中には、聖獣までもが存在していた。数匹の聖獣がランスロット達の側までやってくると
『旦那さま、我等にどのような御用件ですか』
「森の中にいる。人間共を喰い尽くせ! 森の中だけにしておけ」
『かしこまりました』“ ワッオオッン~~ ”吠えると人間達の悲鳴が処構わずに聞こえてくるのであった。
「シズ、ここら一帯を元に戻してやってくれ 脳筋の彼がやってしまったからな」
「はい! あ・な・た 」
シズが祝福の光を発すると忽ち、元の姿に戻り始めた。その光景もまた 探索者に神獣たちを驚かすには、十分だった。
“ そう言えば、ギャラルホルンとカミキュラがいたよな! 何も会話に入って来なかったな ”
「どうした。2人とも驚いた顔をして」
「お前達こそ 本当に人間か?」
「俺とリルは、人間で ラムにアスカ、ローザとオルガは、魔人の分類だな! それがどうした?」
「目の前にいる存在は、神獣だぞ! どうして そんな彼等を手玉に取れる?」
「そんな事は可能よ。ランスロットさまに係れば、ただの脳筋だからよ」
「オルガ、みんなの服を3日で作るわよ」
「任せて 探索衣装でしょう。素材だけなら十分にあるわ」
『おい? フェンリル、あれは何なのだ。本当に人間の子供か?』
『私に言われても分からないわよ』
『済まないな! 我が主たちが失礼をした。風の神獣と黒龍殿』
『貴様は、もしかして“ 光の神獣 ”か? それと彼等も仲間なのか、貴様の?』
『彼等は、我の兄弟達だ。当分の間、世話になる』
『貴様等は、何用でこの森に入ってきた』
『我の訓練の為に訪れただけだ。それだけだ』
『ならば、我が相手をしてやる。貴様の本来の姿を現せ』
『人間がいる前で姿を現せる物か。この脳筋が! 主たちの前なら問題が無くても他の者に出せない事も忘れたか』
『家の脳筋が迷惑を掛けてしまって悪いわねぇ~』
『処で“ 脳筋 ”何の事だ。バカにされている事だけはわかるのだが?』
『脳みそまで筋肉の塊りってことよ。何も考え無しにブレスを吹くやつの事を言っているの! もし シズさまが結界を張ってなかった
ら今頃は、大事な薬草まで炭になっていたのよ』
『もしや シズさまとは、使徒様の事か?』
『男性なら使徒と呼び、女性なら聖女様と呼ぶみたいよ。私と兄弟達は、シズさまの従者よ』
『生まれてくるこの子にも従者の一員にしてくれ そして力が必要なら我達もまた力を貸そう』
『必要だと思う。あの子供達からすれば、私達の存在自体、必要が無いと思わないの この脳筋は』
『面目無い。せめてこの子だけでも従者に入れてもらえないかしら』
『ランスロットさまがお決めになる事よ。私の一存で決められないわ』
『彼は、何者なのだ? 本当に人の子か?』
『解らない。それが答えよ』
それから5日ほど、湖畔に滞在してランスロット達は、街へと戻るのであった。そうそう探索者達は、ラムの転移魔法でホルライズンの街にその日の内に戻されており、薬草も持って帰る事ができたのであった。当然のようにランスロット達の事を内緒にすると約束をして帰って行った。彼等が この心影の森での出来事を話す事は無かったと言う。




