第5話 上級ハイポーション作成
夏の長期が終わり、また 学園生活が始まるのであった。ランスロットとリルターナに取っては、冒険科で習う事など学園に入学をする前に終わっており、他の生徒達は これからのテストに頭を悩ましていた。冒険科の試験は簡単で実技と魔力 そして 筆記試験だけ 学園内の授業を聞いているだけで答えられる程度の問題であり、簡単な計算問題や歴史と言った物だった。
当然、リルターナが冒険科でトップだったのに係わらず、ランスロットは50番以内にも入っておらず掲示されていなかった。
「ランスロットさまの名が載っておりません」
「何を当たり前の事を言っているの? 僕は村人だよ。貴族の様方を追い越して点数を取る必要が無いだけです」
そうか、今回は割かし問題が簡単だったから それなりに点数が取れてしまったみたいだな
「それでも ・・・ 」
「授業が始まるから教室に行こう。リル」
2人仲良く教室に向かい。授業中は、静かにしているというか。何もしないで聞いているだけだった、2人して 他の方々は本を見たり、ノートに黒板に書かれている事を書き写したりをしているのだがランスロットとリルターナには、理解が出来ないでいた。その為、何も持たないで学園に来ており、学園内で必要とされる物は、アイテムバックの中に収納されており机の上に置くこともなかった。
そんな時、同じ班のクルミが話し掛けてきた。
「ランスロットさまとリルターナさま達は、どうして 授業中は、何もしていないのですか? 先生からの教えを聞かないのですか?」
「私達は、復習の意味で聞いております。時には間違った事も教えておりますが指摘する必要が無い為に何も言いません」
クルミの頭の上に疑問符が載っている“ ? ”「もしかして この辺りの授業内容は、既に終わっているのですか?」
「何を言っているのですか クルミさん、貴族なるものの宿命です。学園で習う程度の問題など 学園に入る前に終わらせて次のスッテプの為の時間です。自分自身の方向性を決める為の時間とも言えます。
貴族科に行ったらわかりますが 冒険科で習う程度の問題であるならば、5年間で習う事が半年で終わらせて 魔法学、魔法陣学、錬成学へと移動するはずです。この学園内で行われているすべてを記憶して覚える為に」
「本当の事だったのですか? 伯爵家や王族たちの睡眠時間が短いと言うのは?」
「それなりに寝ていたと思います。私は、頭の回転が遅い為に時間が係ってしまいましたが5時間程度は寝ていたと思います。ランスロットさまは、読んだ物や習った事などその場で出来てしまい。貴族になる為に生まれてきた人みたいですが称号や加護を持たない為に 学園生活は無駄な時間です」
「僕にとっては、とても有り難い時間だよ。頭の整理ができる時間だし」
この日を境に同じ班の方々が僕達に話し掛ける事が無くなった。5年もの長きに渡って何かが学園内で行われる時などは、リルがお願いするだけで全ての事が聞き入れられてしまい。僕達の班が冒険科で最下位だった。
当然である。彼等は、何処にでもいる。少年少女達などだ。称号や加護を持たなければ、貴族に憧れる必要も無く、普通の生活を送れる物が 中途半端な称号や加護を持たされているために四苦八苦している。それがこの国の歴史であり、事実でもあった。
そんな最中、リルターナも冒険者に成る事ができ 学園が終わると2人して王都の外に出て狩りが始まるのであった。半年も過ぎた頃には、2人して学園生だと言う事でDランクまで登りつめる事ができたが それ以上は、親の許可が必要になるとの事だった。
その頃になるとリルターナも段々とメリハリが持てるようになってきて 今までは、ランスロットさまと言っていた物が今では、“ ランス ”と言えるようになった。昔の仲間達、伯爵家や王族たちには、好く“ ランス ”と言われており、当たり前の名でもあったが 知るものが効けば奇才の子と言われるほどに規格外な子供でもあった。
当然、名前だけが1人歩きをしてしまい。生徒達の中で噂をされる事も無く平穏な学園生活を送るのであった。
冒険者ギルド内で噂になる事が合った。
「おいっ! 聞いたか、学園生がDランクになった噂を」
「今年の学園は、優秀な子供が多いいようだな」
「その中でも男女2人の子達が凄いと聞いているぞ」
「そうなのか?」
「女の子の方は、魔法を連射するらしい?」
「殆ど無敵だろう。それって!」
「男の子の方も凄いらしいが何の噂にも上がっていないな?」
「何だ それ? タダのヘタレか?」
「何でも回復魔法や回復薬を持っており、多くの冒険者達を治療してくれるそうだ」
「へっ? それって もしかして“ ランス ”の事か? 昨日、仲間の1人のケガを治してもらったばかりだ。治療費としてリルちゃんに甘いお菓子を買って上げて済んだけど 彼女も凄いのか? 普通の女の子だったぞ?」
「何だよ、知っているのかよ。もう 冒険者達には、知れ渡っているみたいだな」
冒険者ギルド内にある。酒場で冒険者同士がお酒を呑んでいる最中に2人の男性とケガを負った女性が担ぎ込まれて来て「誰か、治療が出来る物はいないか、彼女を治してくれ命だけでも助け出して貰いたい」と叫び出すも気が動転しており、冒険者ギルド職員が駆けつけてケガの状況を見始めている最中に ランスとリルが冒険者ギルド内に入ってきた。
「僕でよろしかったら 診させてもらえませんか」
「治療が出来るなら誰でも構わないから 彼女を治してくれ頼む」
「ランス君、どうして此処に?」
「街中に血痕が落ちており、その行き先が冒険者ギルドだったので来て見ました」
「彼女の治療をしてもらえるかな」
「1つ、伝える事があります。この腕ですが 僕には治療ができませんので本来の薬師の方に治してもらって下さい」と言いながら“ ヒール ”を掛けてやり兆候を見てから 彼女の首を持ち上げて軌道を作り、解毒剤を流し込んで命の別状とケガの治療が住んだのであった。
「これで命の保証が取れました。腕の方は、金貨5~10枚ほどで治してもらえればいいかと思います。本来ならば、治してあげたい処ですが材料が揃っていない為に薬を作る事ができません。許して下さい」
「冒険者ギルド内にある物なら提供するから 教えてもらえる」
「トレントの葉が1枚とその養分が10ml必要です」
「それこそ無理よ。トレントの葉など1週間ほどで枯れてしまうし、養分も3日と持たない内に魔力水になってしまう物が冒険者ギルドに有る筈が無いわ」
「ランス坊、どうした 浮かない顔して」
この方は、ドワーフのガンツさん、森の中で暮らしており たまに街の中に入って来るのであった。
「どうして街の中に入ってきたのですか?」
「変わった植物が手に入ったから売りに来たと同時に酒の買い出しだ」
「それを観させてもらう事は、可能ですか?」
「これだ、トレント材と葉が付いているだろう。これならば、酒が数本買えるだろう」
「この中から 葉を4枚もらえませんか。お金なら彼等が払います」
「それは構わないが こんな物で何ができると言うのだ?」
“ たまに変わった事を言うよな! ランス坊は? ”
「これで上級ハイポーションを作成できます」
葉を4枚取り、その内の3枚と魔力水を作りだし、錬成空間の中で錬成と葉の中の養分を分解を施しながら養分だけを取り出し、数種類の薬草を錬成空間の中に入れ出して薬の調合をしはじめると段々とランスロットの魔力が減りだしていた。上級ハイポーションともなると飛んでも無い程の魔力を使い、多くの薬師たちでも数本を作るだけでも大変な作業を1人で行っていたのだ。
作業が中盤に差しあった時には、さすがに魔力が持たない事を理解しており、とんでも無く苦い魔力回復薬を飲んでから作業を開始し数十分後に1本の上級ハイポーションを作成が終わり、腕と腕の繋ぎ目の当たりに布を置き、数敵を垂らしてから残りを口の中に入れて上げただけで彼女の全身が光り輝き、腕が付くのであった。
全ての工程を終わると同時に ランスロットの魔力が切れかかって倒れ込んでしまっていた。
「これで全ての工程が終わりました。3日ほどで意識を取り戻すと思います。僕に支払う治療費は、彼女に美味しい物でも食べさせてやって下さい。
さすがに疲れましたので家に帰ります。リル、肩を貸してもらえませんか」
「もう こんなにも魔力が消耗して 私の魔力を使って」と 言いながらランスロットに自分の魔力を与えだしてしまった。そんな行為を見る事自体が冒険者達には、初めての出来事みたいで目を丸々と眺めていた。
「ありがとう リル! 助かったよ」と 言いながらホッペにキスをするのであった。
「えぇ~~ ホッペじゃなくて 私の“ く・ち・び・る ”にしてよね」
「相変わらず仲がいいのぉ~お前達は、お前達! 俺様は、酒を3本で許してやるから高い酒を頼む。
それとギルドのネェちゃん、大部すくなくなってしまったが買ってもらえるか」
「ありがとうございます。ガンツさんのお陰でクラリオーネさんも助かりました。トレント材と葉の買い取りですね。少しでも高値で買わせてもらいます。少々 お待ち下さい」