第41話 鎮圧
「頼む、命だけでも助けてくれ金なら十分に払う」と 言いつつも彼の足元に魔法陣が出来上がると何処かの魔法陣に飛ばされて金をバラマキながらワイルドウルフに喰われるのであった。その様な事を繰り返しながら街を一回りしてから 領主館へと辿り着いた頃には、街の全体の7割の者達が殺されるか、街から逃げ出していた。
当然、街の住人や奴隷に対しては、何もしないでいた。但し、武器を持って近づいて来る奴には容赦なく殺されたり、街の外に飛ばされるのであった。
「ラム、この手紙をフォンフォードの街と王都に届けてくれるかな! 内容は、5日後にフィンの街に進軍を出してくれとの内容の手紙を」
「分かりました。ランスロットさま、30分以内に戻ってまいります」
「リル、領主の屋敷に行こうか。シズは、街全体に浄化と生活魔法“ クリーン ”を掛けて貰える」
「ランス、川に対して“ 浄化の恩恵 ”を発動させてもいいかしら」
「5キロ先に瘴気だまりがあるみたいなのだけど そこまで飛ばす事は可能かな? 出来る様なら湖も綺麗にしてやってほしい。数年もすれば、水の生き物が蘇ると思うから」
「頑張ってみるけど期待はしないで」
“ 旦那の期待を裏切る嫁はいないわ。私達の中に ”
「旦那さま、私は?」
「シズの警護をしてもらえるかな! ミルクもいるから安心できるし、チロロ達は好きにして街の中を散策していてもいいよ」
「我等もシズさまの護衛をしております」
「私は、アスカおねぇちゃんの近くにいるから心配しないで」
ランスロットが笑顔で歩き始めると シズ達の心にも穏やかな風が流れ込み笑顔になるのであった。聖女シズが川に入っただけでシズの周りだけが浄化されていた。
「アスカおねぇちゃん、シズさまの周りだけ水が綺麗になっている」
「この辺りが聖女様の由縁だと思う。聖女様が移動するだけで地上も水の中まで浄化してしまって 綺麗にしてくれるのよ。ありがたい事よ」
「本当に神様みたい」
「その神様が旦那さまの嫁なのよ。チロロも もっと強くならないとイケないわよ」
「うん!」
シズが川の中に入って 少しすると上流の方向に向けて“ 浄化の恩恵 ”を 発動させると七色に光り輝く光が上流へと昇って行くと少しの間と共に 小高い山裾の辺りから七色に光り輝く光の柱が立ち上り、周りにいた多くのアンデット達も浄化して終っていた。それと同時に 光が下流の方にも伸びて行き海に出るのであった。
川の周りの森や草原、そして人の暮らしにまで影響を与えて“ 浄化の恩恵 ”がもたらす光が多くの芽吹きを呼び込むのであった。多くの村や街などでも光り輝く川を見ると いままで濁っていた川の水が綺麗になっており、小さな魚達まで戻って来ていた。フォンフォードの街では、聖女様の力だと確信を持っている者も多くいたという。
『ありがとう。聖女シズ!』
その頃、ラムがフォンフォードの街の正面入り口に転移して来ると多くの兵士達が待機していた。そんな最中
「この手紙を領主様に渡して」
「ラムさま、今現在の状況は どうなっておりますか?」
「5日後にお弁当を持参でのんびりと来るといいわ」
兵士達には理解が出来ないものが多くいたものの 川が光り輝くと理解する者も多く見られるのであった。
「期待してもいいわよね」と ラムが言うと転移した。その場では、兵士達がラムに対して平伏するのだが顔を上げた時に既にラムの姿が消えていた。
ギルガイア大国の王城の前に転移して来ると既に テルミーナが待機しており、ラムが来るのを待っていた。そんな最中、ラムが姿を現すと
「ラム、ランス達は無事か? それと戦況はどうなっている?」
「アンタ、臭いわよ。それ以上、近寄らないで臭いが移るわ。それと国王に渡して」
「わかった。直ぐ様に進軍しよう」
テルミーナの頭を殴りつけると フィンの街の方向から 七色に光り輝く光の柱が立ち上るのであった。
「アンタは、この手紙を国王に渡してからよ」
「ラム、あの光は 何のだ?」
「シズの“ 浄化の恩恵 ”でしょう」
「シズとは、聖女様の事なのか? それでは、この輝きも聖女様の力と言う事なのか?」
テルミーナの目から雫が垂れだすと
「5日後にお弁当持参できなさい。早いと狩られるのは、あなた達の方よ」
この日、光り輝く光の柱を見た者達は、神が降臨した物だと思い。涙を流しながら拝むのであった。そんな事とは露知らずに ランスロット達は、マイペースであった。
「リル、シズって凄いねぇ~」
「だって聖女様よ。それにランスの嫁だよ。これから大変な事にならない事を願うわ」
「僕は“ 村人 ”だから 問題が無いでしょう」
「それが不思議なのよ。どうして ランスが村人なのかしら?」
ランスロットとリルターナが屋敷の前に来ると既に多くの盗賊達が逃げ出しており もぬけの空になっていた。それでも数名の気配だけが残されていた。が 気にする事も無く中へと入っていくと1人の男性が待ち構えていた。その後ろには、この屋敷に残っている。領主と息子達であった。
「俺様は、この街の領主様なのだぞ! 俺様にこんな事をしていいと思っているのか。俺様を支援してくれる多くの貴族もいるというのに」
「問題がないわ。今頃は、各地でこの街を支援していた者達を探している最中よ。当然、奴隷に落ちてもらう積もりだし、分かっていると思うけど 貴族が奴隷に落ちると死ぬ事を許されないままに 生きたまま死ぬまで骨の髄まで舐められるわよ。覚悟しなさい」
「き・貴様等は、な・何者だという」
「ただの? は、可笑しいよね。普通の村人です」
「村人だとぉ~ 貴様がやっている事は ・・・ 」
「旦那さま、ここには 私が残っております。2人を切り捨てている間にお逃げ下さい」
「もしかして 冒険者ですか?」
「それも 元Sランク冒険者です。2人で掛かってきますか」
「僕が剣士で 彼女は魔法使いです。どちらと戦いですか?」
「私的には、久し振りにランスの戦闘を見てみたいわ」
「剣なんて 久しく振っていないから 心配なんだよね。言ったものの」
元Sランク冒険者のネスは、驚いていた。この2人から気配を感じる事が出来ないのであった。目の前の2人には、影が付いていたので間違いが無いと分かっているものの 不安になるのであった。
「問題が無いです。僕と彼女は、13歳の子供です。それで どちらがお好みですか」
「剣士と名乗るのであるならば、戦ってみたいのですが 武器を出して貰えませんか」
「はぁ~ この展開なら きっと リルの方に流れると思っていたのに」
「ウフフ~~残念でした。久し振りにランスの戦闘が観れるわ。ラムが帰って来るまで待ってもらえないかしら」
次元から柄の部分が出ただけで 威圧が漏れ出しており、ネスの顔色が少し青白くなるのであった。そして 次元を突き破って大剣を取り出すと肩の上に乗せただけで屋敷全体が震えだした。
「あなた様は、本当に“ 村人 ”なのですか?」
ランスロットが剣を肩に担いだだけで ランスロットの背中に魔法陣が浮かび上がり、両サイドにも魔法陣を展開し始めると自然と身体が浮き上がり、剣に魔力を注ぎ始めると威圧が収まり、青白く光り輝きだした。
「やっぱり、私達の旦那さまは 格好いい! 見惚れてしまう」
ランスロットが指を弾くと“ パッチン ” リルターナと領主と息子達に結界を張るのであった。
「ラムが帰ってきたみたいです」
「間に合って良かったです。旦那さまの戦う姿が観れて」
「僕は、戦闘よりも応援していたいくらいだよ」
その後、“ 行きます ”と 掛け声までは、良かったのですが僕の結界を切り裂く音だけが鳴り響いていて 一向に僕に剣が届かないのであった。魔力の使い方も分からないみたいに
「ラム、彼って元Sランク冒険者だったみたいなのだけど あんな物なの? 国が認めたSランクって?」
「少し前までの自分を見ているみたいです。私もランスロットさまと出会う前までなら あんな程度だったと思います」
死に物狂いでランスロットに切り掛かるも結界に挟まれており、ランスロットに傷も付けられない状態だった。
「不味い、ランスが飽きて来て欠伸をしはじめたわ」
「そう言えば、私ってランスロットさまが武器を担いでいる姿をよく見かけますが 戦闘姿を見る処は、初めてです。やはり、凄いのですか? リル!」
森の奥深くに1人の男性がいた。この状況を観察している者が 遠見スキルを持っており、数キロ離れていても観察が可能なスキルであった。
「何なのだ。この鳥肌が立ち程の気持ちは、聖女以外にも 恐ろしい存在がいると言う事なのか。このギルガイア大国には?」と 思った瞬間、彼の身体が縦に切断されていた。“ へっ? ”と 最後の言葉を発して木の上から落ちるのであった。
ランスロットが一振りしただけで ネスの真横を通り過ぎ、遠くに見える山まで切り裂いてしまった。その一瞬の出来事もリルターナとラムにも見えない速さであった。
「失礼な奴だな 僕の戦闘を遠くから見ようなどと思って さてと 僕も戦闘とやらをしてもいいかな」
「ランス、今? 何をしたの?」
「あの山の頂上付近に観察している奴を切っただけだよ。失礼な人だと思わない。リル!」
「ランスロットさま、剣筋が見えませんでしたが?」
「久し振りに振ったから 感覚が昔に戻っていないのかな? だいぶ手加減している積もりだけど」
ランスロットが持っている剣は、刃の部分だけでも3メートルを超えており優にランスロット自身の2倍の大きさになっていた。その様な剣にも関わらず、ランスロットが剣を振った姿を見る事も無く、衝撃だけで壁を切り裂き 遠くに見える山まで切り裂いてしまっていた。
「今の一振りで感覚が思い出したから大丈夫! だと思う」と 思っていたのだが 当の本人は、ランスロットが撃ちだした一振りの衝撃波だけで壁を突き破ってしまい。全身を震わせて気を失ってしまった。全身打撲で立ち上がる事もできないのであった。
「あっ~~逃げ出してしまった。元Sランク冒険者のおじさんがぁ~」
「違います。ランスロットさま! 壁の向こう側に倒れてしまわれております」
「ラム、そこは 言わない方が 効き目があると思うよ」
「そうみたいですね。失礼を致しました」
「リル、彼等に奴隷の首輪を付けてやって しっかりと貴族の務めを果たしてよ」
「ちょっと待ってよ。ランスだって貴族の子供でしょう」
「そこはやはり、村人と賢者の違いでしょう。格が違うからね」
「そんな時ばかり、村人なんて言って絶対に信じないから“ 村人 ”の称号なんて」
「それは、私も同意見です。ティラミス神さまも認めていらっしゃる御方が“ 村人 ”と言うこと事態がおかしいのです」
「それでも この国の決まり事だから問題がないと思うのだけど 違うかな!」
「いつかきっと ランスの称号を変えてやる」
「それに関してなら 同意見です。私も可笑しいと思っております」
「ラム、奴隷の首輪を3個ください」
ラムがリルターナに奴隷の首輪を渡すと風魔法を纏わせて 彼等に向かって投げただけなのに しっかりと彼等の首元に収まり成立していた。




