第4話 上級ハイポーション
ランスロットとリルターナの両親が話をしている最中に リルの腹が鳴くのであった。“ グゥ~ ”
「相変わらず緊張感が無い、お腹をしているのね。リルは!」
「リルターナ、学園内でその様な振る舞いをしていないよな! 我が辺境伯家の顔に泥を塗るなよ」
リルターナにとっては、色気よりも食い気が勝るみたいで 昔とちっとも変わらないのであった。
「昔から良く食べる子だったので簡単な食事なら 用意してあります。お父様とお母様も食べて行かれますか」と 悪戯心で言った積もりが 当の親バカは、何を勘違いしたのか。顔を赤面しながら“コクコク”と 頭が上下するのであった。
前菜に薬草粥を出しただけで 3人して物凄い勢いで食べ始めてしまうし、メインの肉料理も何度もお代わりして来て全てを食べきってしまった。
「リル、こっち向いて口の周りにソースが付いているよ」と 言いながらリルターナの口の周りを拭いて上げると見る物が見ると兄弟に見えてしまうのであった。
“ この子ったら完全に昔に戻っているわね。ランスロットに甘えきっているわ。本当にお嫁さんにしてもらえるのか心配よ。母は! ”
“ 大丈夫かと思うが お金で解決してもらおう。取りあえず金貨300枚もあったら問題が無いだろう ”
この親バカたちは、知らなかった。この王都でも金貨5枚もあれば、十分に生活ができる事を それにランスロットにとっては、食材は自分自身で確保が出来る為に殆どお金を使わないのであった。
「取りあえず金貨300枚を置いて行くから好きな様に使ってくれ」
「あんた! その倍を置いて行きなさい。お金は幾らあっても困らないわ。こんなにも美味しい料理なら 随分とお金も掛かった事でしょう」
「それもそうだな! 俺も久し振りに旨い料理を堪能できた」
「リルの分として金貨1枚で十分です。それ以外は、持って帰って下さい。今回の料理に関しましても銅貨30枚程度の料理です」
3人してランスロット、目を開いてガン見するのであった。その後、白状するのであった。前菜に使われた出汁は、バードの骨から取ったダシを使い、薬草関連は草原で取れた物を使ったのでタダだし、少量のコメを使った程度で味付けは、塩と少量のコショウを使用しただけと教えてあげた。
その際にバードの内臓関連も貰えたので料理済と報告を上げると更に料理を出す羽目になり、そちらも全てを食べ尽されてしまった。僕の食事が減る一方だった。リルの口の周りを拭きながら
「この位にしてもらえませんか。さすがに明日からの食事に困りますので 毎日、外食をするほどの時間も持てないもので」
この親子でも気が付いたみたいだ。流しの中に大鍋がいくつもあるのを見れば、家が小さいから全てを見渡してしまう。当然、料理風景も見て取れるので3人して料理を食べてしまう羽目となった。
そんな時に“ チィ~ン ”と 音が鳴ると3人には、意味が分からないのであった。
「ランスロットさま、この音は何なのですか?」
「パンが焼け上がったみたいだね。明日からの5日分のパンを焼いていたから」
この親子の目が光り出した。も・もしかして たかがパンも食べて行く積もりか。僕の朝食のパンまで そのパンまで食べ始めてしまっている。この親子たちは! ジャムを出したらヒト瓶、すべてを平らげてしまった。そして 3体のトドが床の上に寝転がってしまった。スヤスヤと気持ち良く寝てしまうと多くの錬成空間の中では、パンの生地を作って オーブンでまた焼き始めて 煮込み料理を作りだしていた。彼等が寝ている間にふろの準備をして起きるのを待つのであった。
彼等のお腹が小さくなる頃には、多くのポーションが出来上がり、テーブルの上にはポーションのビンの中に赤紫色をした。上級ポーションが出来上がっており、ランスロットが鑑定後に人舐めしているとテーブルの上には、3人の顔があった。
「ランスロットさま、また 美味しい物を作ったのですか。私にも飲ませて下さい」と 言いながらランスロットから取り上げて リルターナが飲み出すと苦さを感じたのか、吐き出してしまった。
「これ 苦くて美味しくありません。ランスロットさま」
“ 我が娘ながら恥ずかしい物だな! ”
「当たり前だよ。これは、上級ポーションで大きなケガをした時に使う物であって 普通の人が飲めば、リルと同じ反応を示すものだよ。この苦みを抑えながら 効き目を維持できないか模索している最中だし」
「おいっ!」
「間違いが無いわ。これ全てが上級ポーションよ。何これ? 変な数字が連立されているわね」
「それは、薬草の配分量を記載してあります。同じ物を作らないように記載して記録するために試行錯誤している最中です」
「リルと同じ歳で そんな事まで出来てしまうのね。それこそ薬師の仕事を見ているみたいよ」
“ チィ~ン ”と 音が連呼し始めると途端に3人のお腹が鳴るのであった。
「出しませんよ。これは、明日からの僕とリルの食事の分です」
リルは、目が輝きだすも当の両親の沈んだ目をしはじめた。さすがに子供の料理を食べるのも大人として ・・・ そして リルとリルの両親が寝ている間に護衛の方々に食事を与えておいた。彼等の主人は、気持ち良く床の上で寝てしまっていた為に
昼過ぎには、リルの両親達が帰ったのだが その際にも彼等が家から出ると騎馬隊や馬達が腹を膨らませて寝ていた。ランスロットの食事が美味しすぎて食べ過ぎてしまっていたのだ。馬のエサには、魔力水と薬草を混ぜた乾燥エサを与えただけだったのだが見るからに大きく育ってしまっていた。本の数時間で
そんな彼等を見た途端にランスロットを見ると
「お父様とお母様が寝ている間に 彼等にも食事を出して置きました。いつ起きだすか分からなかった為に」
「リルターナの旦那は、人を体たらくにする事が得意なのかもしれないな!」
自分達もまた 同じような状態だった事を思い出すのであった。そんな彼等と馬達がランスロットの存在を知る成り、元の姿に戻る処か、鬼気迫るいでたちランスロットの前で平伏し始めて 馬達もまた頭を下げるのであった。食事1つで彼等の心を掴んでしまっていた。
騎馬隊と馬達が今までと変わっており、凛々しさを感じるのであった。1人残されたリルターナは、本来ならば寂しがる処がランスロットとこれから一緒に暮らせると思うと心がはじけ飛ぶ勢いだった。
リルターナの12歳からの同棲生活が始まるのであった。人生は、そんなに甘い物で無い事を自分の身体で味わう物なのだが 少しの天然が入っているリルターナにとっては、ランスロットからの教えだと思い励むのであった。そして ランスロットの方は、飴と鞭で上手くリルターナを使うのであった。
「じゃ~行こうか」と 言って手を出すと“ ? ”疑問符を浮かびながらも ランスロットの手を握るのであった。ランスロットが育った。お爺様と御婆様の家に行き、婚約者として紹介した時には さすが令嬢の娘としての振る舞いに感心するのであったが その後がイケない。完全にランスロットに甘えてしまい。目がトロ~~ンとさせて手を離さないでいた。そんな感じでお母様の処に行っても同じような状態であり、祖父母とお母様たちは感激してくれるも婚約者と言うより、新しい妹ができたように見えていたと思う。
帰りに新しい布を買った。古着も買って家路を歩くのであった。2人して
今晩の夕食は、パンケーキとサラダにしたのだが ここでも!
「私、野菜嫌い!」
「そうなの 農家の嫁になる人が野菜が嫌いって どうなの」
そんな事を言われてしまうとリルターナも考え込んでしまっている。おもむろに野菜を一口、食べてみると今まで食べてきた野菜と違う事を実感するのであった。屋敷内で出されていた野菜達は、収穫してから数日が経ち、野菜独特の苦みが出ており子供のリルターナにとっては、その苦みが耐えられなかったのだが ランスロットが出して来た野菜には、その苦みが無く穂香に甘みを感じるのであった。
「この野菜、美味しい! 少し甘い香りが漂っている?」
「本来の野菜は、取れたてだと何を食べても美味しく頂けるよ。そんな野菜達を僕は作っていきたいと思っている」
「この野菜なら 私でも食べれる」
「この後は、お風呂に入って寝ようか。リルは、大人の女性だから もう 1人で入れるよね。僕は、寝床を作って置くよ」
「何を言っているの? ランスロットさまは、昔も今も私は、ランスロットさまがいるのであれば一緒に入るに決まっているわ。婚約をしたのだから これから毎日、お風呂もトイレも寝る時まで ランスロットさまから離れないモン」
「学園内だけは、辞めようか。その考え方は、もし お父様が怒って今回の婚約が台無しになるかもしれないよ。それでもイイの」
リルターナが考え込んでいると ランスロットが風呂を温めだすために席を立ち、帰って来る頃には答えが出たみたいで
「分かりました。ランスロットさま! 学園内では、今まで通り我慢します。たまに甘えさせてもらえると私としては、嬉しいです」
「考慮に入れて置くよ」
リルターナの顔が ニマァ~と甘え顔になるのであった。