表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/110

第3話  婚約者が出来てしまった。12歳にして



「バレタから元に戻すけど リル! 彼等は、元気にしていたかい」


 リルターナの愛称がリルだった。昔から仲が良かったから愛称で呼び合っていた。


「とても 御逢いしたいとおしゃっておりました。1度、王城の方に遊びに来てくれとも言われておりますが どう致しますか。ランスロットさま」


「もう 僕は、貴族に戻る積もりが無いから遠慮して置くよ。学園を卒業と同時に村人になる予定だしね。この国にいる限り貴族になる事は、望めないよ。

 そんな事よりも どうして リルが冒険科に来たの? 伯爵家の両親がよく許してくれたね」


 リルターナの顔が赤々と赤面すると「昔も今も私は、ランスロットさまの後ろを歩く女の子です」と 大勢の前で告白するのであった。


「貴族様と庶民の僕とでは、釣り合いが合いません。その辺りを考慮してもらわないと困ります。既に婚約者も決まっていると聞きましたが」


「はい! 相手の男性から返事が返って来なくて困っております」

 “ もう 昔から恋愛事には、鈍いのだからランスロットさまは! 私の家族とランスロットさまの母親は、賛成していると言うのに ランスロットさまからの返事が返って来ないから 5年もの長きに渡って待っている私を奪って キャ~~言ってみたい ”


 そんな最中に チャイムが鳴るのであった。


「鐘が鳴ったから別の教室に行くよ。リル! ガンザさま、クルミさま、ニーナさま、お荷物を持ちします」


「これ以上、ランスロットさまに荷物を持たせたら本当に貴族が廃業になって明日から生活ができなくなってしまう」


「わたくしも同感です。荷物ぐらい自分で持てますわ」


「今まですいませんでした。知らないとはいえ、御無礼を許して下さい」


「たかが庶民の村人が貴族様の荷物を持つのは当たり前の行為です。気にしてません」


 リルターナは、昔に戻ったみたいにランスロットの服の裾を持って 後ろに控えてしまっていた。どんな時もランスロットと離れたくない一心でトイレもお風呂も寝る時も一緒に行動を取っていた。あの洗礼が訪れるまで


 ランスロットが洗礼を受けてからは、御茶会などに来る事も無く 話し相手がいなくなってしまい。ランスロットの屋敷に行っても既に屋敷内に存在すらしていないと言われて途方にくれる毎日を送っていた。そんな娘の悲しさから両親がランスロットの母親に婚約を持ち込んだのだが 未だに返事が返って来ないのであった。



 双方のどちらかが忘れているのでしょう。リルターナのみが両親から聞いたので確信を持っていた。


 ランスロットは、12歳から1人暮らしをしている。冒険者になって家は、祖母が持っていた小さな家を借りて毎月、銀貨30枚で借りている。学園が終わると毎日、王都の外に出て スライムやゴブリン、一角ウサギなどを狩り、魔石を売って生計を立てている。時には、薬草採取も行いながら謳歌していた。


 これが建前で 休日になると飛行魔法に転移まで使って森の奥深くに潜り、他の冒険者に見つからないように2日間を使って戦闘を繰り返していた。魔物や魔獣達からの返り血を受ける事も無く、黙々と戦闘のみを堪能する毎日を送るのであった。そんなある日、リルターナが家にきたいと言う事となり、普通の家の形態に戻すのであった。



 何故か、大きな馬車と騎馬隊が家の前で止まると中から リルターナの両親と本人が降りて来て 周りを警護し始めてしまっている。そんな最中、ランスロットの姿を見るなり リルターナの父親がランスロットに抱きついてしまっていた


「どうして 返事を返してくれないのだ。もう 5年も待っていると言うのに」


「おじさん、苦しいから離してもらえませんか。この前もリルが同じ事を言っておりましたが返事とは、何なのですか。何も聞いておりませんが」


「へっ? 5年前に君宛てにリルターナとの婚約状を受け取っただろう」


「それって多分、僕の家に送ったので無いですか。お父様が持っていると思います。8歳の洗礼の時に家から勘当させられて12歳まで母親の実家におりました。

 12歳から この家で1人暮らしをしながら学園に通っております。学園を卒業したら1人で何でも出来ないと生活に困りますからね。今の内から経験を積んで置かないと」


「生計は、どうしている。お金に困っていないか?」


「その辺りは、魔石や薬草を売って生計を立てております。この家の周りには、多くの屋台がありますので困りません」


「本当にリルと同じ12歳なのか。家の中を見させてもらえないか」


「それは、構いませんが おじさんとおばさんだけにして下さいよ。家が壊れてしまいます」



 リルターナと両親が家の中に入ると何も無い空間だった。最低限度の物が置かれているのみだった。本当に小さな家で1LDKのコジンマリとした。作りになっている。リルターナの両親達は、家の中を見て廻るのだが小さい家だった為に見るほどの価値も無いと思っていると



「処でランスロット、おまえは 何処で寝ているのだ?」


「おじさんの後ろの暖炉の前で寝ておりますが」


「ちょ・ちょっと待ってくれ ここには、ソファーと机しか無いぞ!」


「はい! 布団類は、魔法陣の中に収納しているので僕が1人で住むには困りません。このソファーもベットに変身ができるように改良してありますので ソファーベットに変わります」


「ちょ・ちょっと待ってくれ ランスロットは、収納魔法陣が書けるのか?」


「はい、書けます。この家に棚などを置いたら更に家の中の空間が狭くなってしまいますからね。収納魔法陣を応用しております。それと魔道具も使って便利な生活を送っておりますが それが何か?」



 3人の前に木のコップを出した。中には、森で採取したばかりの茶葉のお茶を3人に出すのであった。魔道具で温めたお茶を淹れると3人に出すのであった。


「木のコップですいません。本来なら陶器で作られた物で出さないといけないのですが さすがに買う事が出ません。お許しください」


「美味しい、ランスロットさま! この茶葉は、何処に売っているのですか?」


「昨日、採取したばかりだけど美味しいなら少し分けようか。今日中にお母様とお婆様の処に届ける予定だし少しなら構わないよ」


「ほんと! ありがとう」

 アイテムボックスの中から 麻袋に入っている。10キロの茶葉を取りだした。


「この位あったら いいかな!」


 リルターナの両親が引き始めた。


「ちょ・ちょっと待て 今、何処から取りだしたのだ。この袋を?」


「アイテムボックスからですよ。それが何か?」


「ランスロットさまがアイテムボックスを持っている事は、昔 話したでしょう。お父様」


「君は、本当に何も持っていないのか。称号も加護も?」


「持っておりません。その辺りは、奥様も僕を鑑定しているから分かってもらえるかと」


「私がどうして鑑定したと分かったのかしら?」


「鑑定をされますと魔力が流れるのが分かるのです。自分の魔力と違う魔力の流れを感じ取れます。最近は、この辺りが鑑定だと分かるようになりました」


「末恐ろしい子供に育ってしまったわね。リルの旦那は」


「そうだった。それでリルターナを貰ってくれるよな 当然!」


「僕は、学園を卒業したら 何処かの村か、街に行って農業をする予定なのですが」


「そんな事など問題が無い、我が領土の村でも 街でも行って畑を作ればいい。我が娘が幸せになるのであるならば、村人でも構わない。ただし、リルターナには メイドを付けるがそれだけは許してもらいたい」


「この子は、大人に成っても多分、何も出来ない子に育ってしまいそうなのよ。それが心配で 親バカだと思って引き受けてもらえないかしら」


「昔から妹の感覚で接しておりましたから問題が無いのですが 本当に僕などでいいのですか?」


「私は、ランスロットさまじゃなきゃイヤ! ランスロットさまと結婚すると決めているの! 私は」


 リルターナの頭を擦りながら「アッハハ 昔とちっともかわないのだな リルは! このままだと妹から卒業出来そうも無いな!」


「大丈夫だもん、この5年間でランスロットさまから色々と学んで立派な農家の奥さんになってみせるもん」


「と 言う事でこれから リルの面倒も見てやってね。この家では、狭いかと思ったけど 収納魔法陣のお陰でリルの荷物も大丈夫そうだし」


「安心しろ、学園を卒業した暁には 家と農地を用意してやる。それと長期の休みの際には、我が屋敷に来い」


「子供だけは、学園を卒業してからにしてね。お願い! それ以外なら何をしても構わないから」


「へっ? それって学園を卒業したらの話で無かったのですか?」


「ふぇ? 夢の同棲生活!」


「何を言っておる。その為に馬車を3台も連れて来たのだぞ」


 “ はぁ~ そういうことだったのか。そう言えば、昔からこの親子は、変わらないのだな! ”


「それでしたら リルの下着と制服だけを置いて行って下さい。それ以外は、屋敷において置いてもらえると助かります。ドレスを着させる時には、僕には無理です」


「普段着ぐらいは、あった方がいいだろう」


「明日、学園の帰りに2~3着買って帰ります。庶民の服など何処にでも売っておりますし、場合によっては 僕が造りますので心配するほどでもありません」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ