第15話 商隊の護衛指導
「そんなに甘い物か、彼等にも生活があると言う事だ。軍事目的の心算なら ランスロットをお前の処にやるつもりはない」
「どうしてだ。それだけの力を持っているのであれば、国の為に使う事が正しいだろう」
「ならば、お前の娘も当然、戦地に行って死ねと言えるのか。どうだ!」
その場にいる者達が言葉を控えた。13歳の子供に戦地で死んでくれなどと言える訳がない。
「お前は、ランスロットだけが死んで リルターナが生き残るとでも思っていたのか。どうなのだ! お前自身が13歳の時に戦地で死ねと言われて その覚悟を持っていたのか。
大人より力を持っているから死んでくれと言っているのと同じ事だぞ。当然、リルターナもその分類に入ると言う事だ。ガルム、お前は! 自分の娘を戦地に行かせて悲しくないと言えるのか。まだ 13歳の子供なのだぞ」
無言が静かに流れると
「お前達もそうだぞ。自分の息子や娘が戦場に立って生き残れる確率など ほんの一握りの奴しか生き残れないのだからな! 軽はずみな
行動を取るなよ。暴言も許さないからな!」
「けどな! エリザベス、戦場では力を持っている奴が生き残り、凡人が多く死んで逝く場所なんだよ。そうやって 国を守ってきたんだ俺達は、これからもそうやって国民達を守る事しか出来ないと思っている。いまでも ・・・ 」
「それは、正論だ。今のランスロット達の年齢は、13歳だ。お前達の3分の1にも満たない子供を戦場に送り出して恥ずかしいと思わないのか。同じ人間同士の命を取る事ができたのか、お前達が13歳の時に」
この場にいる者達もまた 13歳の時は、学園で勉学に遊びと謳歌していた時代があったからこそ、国を思い、平和を望むのであった。学園での5年間は、子供から大人になる為の階段であって踏み間違えないように 大人達が見守る場所でもあったのだ。学園の生徒達が国を思い、国民を守れるだけの自信を付けて貰う場であって 戦場に行かせる場所では無いからだ。それを言いたかっただけなのだが エリザベスとプリントン以外は、沈む夕日みたいに心に大きな落とし穴を空いてしまったみたいだ。皆の心に
その日は、これでお開きに成り 1週間後には、ランスロット達を連れてフォンフォード辺境伯領に旅立つのであった。
出発の前日、ランスロット達は プリントンおじさんの処にやって来ていた。何と言っても護衛任務が初めての仕事だった為に何を用意したらいいのか、どんな事をするのかを聞いてみたかったのだ。
「プリントンおじさん、今 大丈夫ですか。色々と教わりたくて前日に来てしまいました」
「何だ、ランスロットでも分からない事があるのか?」
「僕達は、護衛任務は学園で習っているのですが体験をする事が初めてなのです。必要な物と何をするのかを教えてもらえませんか」
「その辺りだと俺では教えてやれんから 今回の護衛隊長を紹介してやる。彼は、長年この商隊の隊長を務めてくれているルドルフと言う男性を紹介しよう。 ・・・ 丁度、戻って来たから 彼に色々と教わるといいだろう。
ルドルフ、ちょっといいかな」
「何ですか。プリントンの旦那! 何か、忘れ物でもありましたか?」
「違うんだ。昨日、話していた。甥が今回の護衛任務が初めて見たいで色々と教わりたいみたいなのだよ。教えてやってもらえないか。ルドルフなら面倒見もいいから 彼等に色々と教えてやってくれ」
「プリントンの旦那の甥だからって 俺達は、甘くないからな覚悟して着いて来いよ」
「「「はいっ! よろしくお願いします」」」
「見た感じ魔法使いか?」
「それで構いません。彼女達が攻撃で僕が回復です。3人して攻撃をしてしまうと回復系がいなくなるので僕が引き受けております」
「それならば、属性を教えてくれ」
「3人とも全属性を使えます。当然、無詠唱で行えますので 感知や結界にも役に立つと思います」
途端にルドルフとプリントンおじさんの頭の上に“ ? ”が 出来るのであった。
「ちょ・ちょっと待ってくれ、無詠唱が使えるのか。試しに何でもいいから出して貰えないか?」
3人が同時に全属性の魔弾を作り出してお手玉みたいにして遊び出すのであった。次第にランスロットが魚の形にしたりして遊び出すとリルターナにラムまでもがマネをするのであった。当然のように上手く行くわけも無く この辺りが魔力操作の差が出るのであった。
「魔法に関しては、この辺りでいいですか。武器は、僕とラムの本来の武器を出す事ができませんがショートソードを使う予定です。リルは、本来 魔法使いなので杖です。接近戦では、杖の先端にアックスを作り出して戦闘を行えますので大丈夫かと思います」
「今年の学園の生徒は、優秀なのだな! 君達がトップなのか」
「いえ! 僕達がダントツでビリです。この1年半の間、ビリを趣旨しております」
「はぁ~~それだけの力を持っていたら 普通は、1番に成るだろう」
「僕は、学園を卒業した暁に農家に成りたいと思っております。冒険者ギルドでは、魔石や革を売りたいと思っておりまして冒険科に入りました」
「私とラムも農家の嫁に成る予定、それと明日、私のお父様も同行すると思うから面倒を見てやって」
「私とリルターナさまは、予定でなく確定です。丈夫な子供をたくさん作る積もりです」
「旦那、もしかして このお嬢さんの父親って貴族様なのか?」
「ちょっと待て ガルムからそんな事を聞いていないぞ」
「だって あのお父さんだよ。絶対に付いて来ると思うわ。絶対に安全に街に戻れると思っているから」
「はぁ~~そうだった。ランスロット達が同行をするとなると安全だよな! 反対に魔物達が可哀そうになってしまうな」
「ちょっと旦那! この子達って そんなにヤバイ奴等なのか?」
「ルドルフも数日前のオークション会場で見た。モスの角を覚えているだろう」
「あの立派な角ですよね。さぞや有名な冒険者達が討伐をしたのでしょうね」
「あれなぁ~この子達が迷宮に潜って持って帰って来た物らしい」
「迷宮なんて2度と入りたくないと思いました。聞いていた事と違い過ぎる」
「私も2度と入りたくありません。入った途端に目の前にモスがいて心臓が止まるかと思いました」
「ちょっと待て もしかして迷宮に入ったことが無かったのか、いままで?」
「迷宮に入らなくったって 森や草原で十分に魔石やお肉が手に入るから必要がないでしょう」
「それでも たかが10個や20個程度だろう。金にならないだろう」
「そうですね。学園が終わってから3時間余りで100弱は、冒険者ギルドに売っておりますが最近では、肉の存在が少なくなってきました。やはり、狩り過ぎましたかねぇ~」
「そうなのよ。最近じゃ~お肉が手に入らないから買う事が多くなって出費が大きいのよ」
「何だ、お前達は知らないのか。ボアみたいな顔立ちで2足歩行で歩く魔物の存在をそいつ等なら十分にお前達の腹の足しになるだろう。そいつ等を狩ると確実に肉しか出て来ないからな!
そして 何と言っても脂が美味しいのだ、塩焼きが最高だ」
途端にリルターナとラムの口からヨダレが垂れるのであった。
「それは、もしかして“ オーク ”という。魔物の事ですか。文献で見た事があります」
「オークやゴブリンは、集団で行動を共にするから大量に手に入るぞ、更に狩り取ったヤツの物だ。冒険者仲間同士であっても狩り取った奴が食べる権利を持っているから 存分に狩り取れ」
「それは、楽しくなりそう」
「美味しい匂いがしますね」
「それと盗賊などが出てくるが狩り取っても構わないからな」
「それは、問題がないと思う。彼等は、私達の顔を見ると逃げ出すから」
「ほんと、失礼な方々ですよね。まだ いたいけな子供を捕まえて逃げ出すなんて」
「因みに君達は、盗賊達に何かしたのか?」
「えっ! 数回、シャドーウルフやバトルウルフに食べられている姿を眺めていただけよ」
「当然、1人1人に対して手か、足を切断してあげて食べられる姿を見守って上げただけです。逃げる奴にも容赦なく同じ事をしますが 次の日には、その場所にスライムが大量に捕獲できますので大助かりしております」
「それなのに そんな彼等も最近じゃ~顔を出してくれないのよねぇ~」
“ はぁ~~やっている事は、大人顔負けじゃ~ないか、本当に子供なのか? ”




