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第106話  ある。辺境伯の物語


 俺の名は、ヨーゼス・リングラ。ポプラテス国のリングラ辺境伯をしている。ここは、ギルガイア大国と海に挟まれた国であり、海側では豊富な資源が多く取れるのだが 残念な事に俺の支配している辺境伯は、森に面しており土地も枯れてしまって農産物が余り取れないのであった。

 

親から引き継いだ膨大な財産があった為に生活に事足りていた。


 コン コン「失礼いたします。ヨーゼス様、朝食の準備が整いました」


 この男は、執事のランドットである。ヨーゼスが幼少期から この屋敷で執事をしている。


「着替えが終わり次第、向かうとしよう」


「かしこまりました」


 食堂に付き、席に着くとランドットがカートで朝食を運んできた。


 葉野菜のサラダにベーコンエッグ、白パン2つに温かいスープが俺の前に並べられた。ゆっくりと味わいながら ランドットの話に耳を傾ける。


「本日のご予定は、領内の視察と伺っておりますが 夕方からラグナロック子爵様から面会がございます。それまでにお戻りくださいませ」


 視察と面会か ・・・ 視察はともかくラグナロックの奴は、手紙の件か、まったく忌々しい。


「ラグナロックへは契約証を準備しておけ。それと食事が済み次第、視察に向かう馬車の準備を用意しておけ」


「かしこまりました」


 このリングラ辺境伯領は他の街と少し変わっており、普通なら領主の屋敷の周りに民家が立ち並ぶのだが この辺境伯には、街が存在しておらず、代わりに7つの村があるのみであった。兵士や冒険者ギルドに商業ギルドも屋敷内に収容されており、各村には故1時間ほどの移動で到着するのであった。


 その為、冒険者ギルドに商業ギルドからは不満の声が上がるも兵士たちに睨まれているために何もできないのであった。そして屋敷というより、要塞になっており侵入が不可能とされているのであった。常に多くの兵士が見回っており監視しているのである。


 ギルガイア大国なら1か月、金貨3枚の生活が出来るのだが この国というか、このリングラ辺境伯領では金貨3枚が1年間で収穫が出来る程度であった。とても貧しい領土である。


 1時間ほど馬車に揺られてキナ村に来た。


「村長か」


「良く御出でくださいました。リングラ辺境伯様」


「今日は村を視察する」


 村の中を歩いていると小さな女の子に目が留まり 村長に目で合図を送ると


「あれは、8歳のミナですな」


「あれを明日までに屋敷に連れてこい。いいな!」


「アスカお姉ちゃん、どうしたの」


 な・何だ。あの胸の大きな女は あんな女がこの村にいたのか?


「村長、あの女は?」


「冒険者の方です。この村に滞在しておりまして」


「ミナのお母さんが探していたよ。シズまで探しに来たの」


「遅いから私まで 探しに来てしまったわ」


 何なのだ、どうして あんな女まで冒険者をしている。商品として高く売れるぞ。味見もして置くか。


「おい村長、あのガキはいいから あの2人を明日までに屋敷に連れてこい。いいな」


「何を寝ぼけた事を言っているのかしら どうせ!貴族なのでしょう。私達は “ 黒霧 ” よ、私達と事をかまえる。気」


「冒険者風情が控えろ、こちらに追わす方は貴族様なのだぞ」


「シズ、旦那さまに例の物を」


「分かったわ、アスカ」


 シズが耳の辺りに手を添えると何をやっているのか、意味が解らないみたいであった。少しして手紙が転移してくると宙に浮いているのであった。が 馬に乗っている騎士が


「な・何だ、それは?」


 シズが受け取り、この国の王家の家紋を見せると


「この家紋が何を意味しているか。知っているわよね。どうせ!私達を奴隷にでもしようとでも思ったのかしら」


「潰れてしまえばいいのよ。こんな国など」


「アスカお姉ちゃん、この方は貴族様だよ。逆らってはいけないとお母さんが言っていた」


「ただのカスよ。気にしなくていいよ。ミナ」


「どこの国にでもいるのよ。自分の領土の民を売り物にして小銭を稼いでいる。馬鹿が」


 シズの胸倉を掴んだ途端に腕が切り裂かれていた。2匹の魔獣がシズを守るのであった。ミルクとランだけど


 そのランが馬車を引いている。馬の首に被りつくと横の馬が泡を吹いて気を失うのであった。ムシャムシャと食べだすと震えた手で剣を抜いて


「冒険者の方々、ここは引いてもらえないか」


「仕方が無い、アスカ引くわよ。村長の顔を立てて」


 アスカが頷くと


「貴様等、俺様にこんな事をしてタダで済むと思っているのか」


「問題が無いわ。この書状に書いてあるわ。王族、貴族を殺しても構わないと民だけは守ってくれとね」


 ヨーゼフがシズから手紙を受け取り、中を拝見すると悔しい顔で手紙を破り捨てたのであった。


「宣戦布告と取って構わないわね。そこの騎士、王都に言って応援を呼んできなさい。明日の朝までなら待ってあげるわ」


「シズお姉ちゃん、大丈夫なの?そんな事を言ってしまっても」


「私は生きる者すべてを守る役目があるから問題が無いわ」


「王族に貴族など 殺しても増えるから問題が無いのよ。もし 彼が王都に付いたら大変な事態だと1万ぐらいの兵隊を連れてくるわ」


「ラムの予想だと 3万と言っているわ」


 な・何を言っているのだ。こいつ等に恐怖が無いとでも3万の大軍なんて そんなに簡単に集まる訳がないだろう。


「ラン! 口の周りに血が付いているわよ。洗い流して」


 等々、馬を1頭 食べきってしまっていた。4頭の内の1頭が食べられていた。ミルクとランが睨むだけで腰を抜かして震えるのであった。


『明日も食べれるの ママ』


『たまには、人型もいいわね』


「ミルクも段々とラムに似て来たわね」


「ちょっと待て コイツ等は、会話が出来るのか」


「何を当たり前な事を言っているの この子達は神獣よ」


「も・もしかして ・・・ 」


 馬車に乗り出して逃げるように屋敷に戻るのであった。ヨーゼフ・リングラ辺境伯が



 屋敷に戻ってくると既にラグナロック子爵が待っており、応接間に待たせてあった。そこに息を荒げて飛び込んでくると ラグナロック子爵からカップを取り上げて グビグビと飲んでしまった。


「どうしたのですか。ヨーゼス様」


 後から執事のランドットが走って 応接間に入ってくると


「どうかされましたか。旦那様」


「何なのだ。あの化け物達は あんな生き物が存在するのか。神話の物語みたいな奴等が」


 ラグナロック子爵は、王都の学園で勉学を学んだ。学友であったが 殆ど、コイツに振り回されていい点数が取れないでいた。平民の分際で逆玉に乗り、迷宮都市の管理まで行うのだ。


 そんな奴が今回、訪れた理由は その迷宮都市、1つの迷宮が 暴走が起きてしまい資金繰りの為に 俺に顔を出す事となるのであった。俺さまから金を借りに来ているのであった。


「済まない。お恥ずかしい部分をお見せした。ランドット、冒険者ギルドのギルドマスターを呼んでくれ聞きたいことがある」


「かしこまりました。出来ましたら理由をお教え願えませんか」


「“ 黒霧 ”に ついてだ」


「ヨーゼス様は、黒霧とお会いしたのですか。羨ましい」


「ラグナロック子爵は、彼等の事を御存じか?」


「噂くらいです。聖女シズ様は、地上に舞い降りた女神。マイ様は、武神の申し子。毒舌のラム様、彼女に教わると魔力が高まり多くの高度な魔法も1人で放てると言われているみたいです。


 2年前のヴァイオレット聖王国を壊滅まで持っていったのが聖女シズ様だと聞いたくらいですか。それも神々がお怒りになって聖女シズ様が世界樹を消滅させて天界人達を時空の中に幽閉したとか。


 そう言えば最近なら 精霊様がお仲間になられたとか、彼女たちの旦那様が本当に羨ましい限りです」


「俺が会ったのは、胸のデカい女でアスカといわれていたな! それと聖女シズだが」


「多分、アスカさまですね。大地の神に愛されたお方で 彼女が大地を触っただけで実り豊かな大地へと変わると言われております。本当にヨーゼス様が羨ましい限りです」


 俺は、そんな彼女達を怒らせてしまったと言ったらどんな反応をするのやら






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