友達をおちょくる話
こいつ何にも分かってないじゃん?ちょっとぐらい忠告を聞いてくれないか?
「うーん……お!開いた!」
「はぁ!?」
「うーん、やっぱりダミーかぁ」
「ちょっ、え?はぁ!?お前何やってんの?」
「好奇心に負けちゃった。あ、でも大丈夫。ちゃんと物体の心に干渉して、呪いじゃない事確認してたからさ」
「……それならそれを先に行ってくれよ。本当にコトリバコ開けたかと思っただろ?」
「流石にそこまで馬鹿じゃないよ。本物だったらちゃんと手段を考えてから開けてるからさ」
「放って送って選択肢はないのか?」
「そんなことしたら気になって夜も眠れないよ」
「まぁ、そうか。愚問だったな」
こいつは知りたいことがあったらそれを知るまで止まれない性格だった。入学一日目に担任が鬘かどうか確認したくて髪の毛を引っ張るし、その十日後には全部の部活の活動内容を知りたいって言って仮入部。
仮入部をして何をしたかと言うと、内容を確認したら退部するという冷やかしとなんら変わらない行動をしていた。
そのせいで上級生には嫌われている。
同級生の男子からはこの自由奔放で天真爛漫な性格から簡単に落とせると勘違いされ、それを見た女子からは色目を使うなと嫌われて、告白をすべて断っていたら高飛車と男子からも嫌われた。
前半は自分のせいだが、要するにこいつも勝手な幻想によって幻滅された人間。
あ、因みに担任は鬘だった。
「はーあ!結局風説だったよ。確かにこの神社コトリバコに関係しそうなものがたっくさんあるし、この箱もそれっぽかったし、勘違いするのも仕方がないか……」
残念というように肩を落とし、不満げに話す。
「それならよかった。んじゃ、帰るか。そこらじゅうが風でミシミシ言ってて怖いしな」
「うーん……そうだね。なーんか引っかかる気がするんだけど」
「特に何も起きずに不完全燃焼だったからだろ。早く家帰って寝よう」
「まぁ、そうか。作ろうとして失敗したとかそういうやつだったのかな。まぁこれ以上気になることは無いし帰ろーっと。我儘に付き合ってくれてありがとね!」
「全くだ」
小気味良く話を進め、帰りを促す。
その途中であることを思い出した。
「あ、そうだ六架。一つお願いがあるんだけど」
「なにー?」
「LINE教えてくれない?遅刻の件も連絡があれば防げたしさ」
試しにLINEの交換を持ちかけてみる。
いや、妹からもおちょくられたしね?
それに、最もらしい理由があればいいとか思ってはいないよ?
「え、やだ」
眉間にしわを寄せて余った袖で口元を隠して言う。この反応を見るに完全に嫌がられている。
え、本気で嫌がってるじゃん?そんなに僕の事嫌いなの?
あー……。
妹の言う通り、いつの間にか僕は都合のいい男として大成していたのかもしれない。と、いう事は僕は六架にとっては友達でもなんでもなかったという事か。
「分かった、今後できるだけ友達面しないように気を付けるよ……」
「はぇ?」
「でも、困ったことがあれば僕に相談してもらって構わないからさ」
「いやいやいやいやちょっと待って?!えーっとぉ?……あ、そういう事か!違うんだよ?」
六架が慌てて目を袖で覆い、僕の心を隅々まで読む。
六架が目元を隠すときは、パッシブスキルを本気で使う合図。これを使ったときには自分の忘れている記憶すらも読み取ることができるという。
これが六架の特殊な力。心だけでなく記憶まで読むことができるというのは、1700人という学生を抱える学園といえどほかに見たことがない。
ただ、そんなことをしてしまえば他人の人生を歩んでいるのと何ら変わりがなく、普通の数倍の時間を生きていくという事。
頭のねじが外れ、精神に異常をきたし、廃人になっていくというのが落ちだろう。
なので、本当にそんなことが可能なのかと疑っている。
まぁこんな雑談は置いておいて。
とにかく、僕の心を読んで何かがわかったらしい。
「私さ、いつでも連絡とれちゃうと何でもかんでも相談しちゃうし、それで都合よく使われてるなって思わせるかもしれないしっていう事を危惧してたんだよ。だから、さっきの問いに対して絶対にやだって答えたんだ。実はそれで昔失敗したことがあってさ。ゆーくんの考えてるベクトルは違うんだけどさ」
「……そうか。その気遣いは嬉しいよ」
「だから違うんだって!嘘じゃないってぇ!」
余った袖を顔の前で振り回し、あたふたする。これは本気で動揺してるし、まぁ僕の方も本気で落ち込んでいたわけではないし。
「ははっ。うそうそ、信じたよ。お前は建前こそ作れど、人を傷つけるような嘘をつかないもんな」
「またからかったの?」
「あぁ」
「……むぅ!もういいよ、先帰るからね!」
今回は本当に怒ったようで、先に帰ってしまった。まぁ怒るようにいろいろと仕向けていたからなんら問題はない。予定通り一人になれたし、これで動きやすくなった。
実はこの建物の下からずっと異物の雰囲気を感じている。恐らく六架が感じていた引っかかりは、このことなのだろう。
この情報をわざと教えなかったのは恐らく正解だろう。教えていれば好奇心が加速して、朝まで帰ることができなかったかもしれない。
「……さて、探すか」
この異物感。このなれ果てた神社の力で制御できるとは思えない。
僕がどうすることも出来ないだろうが、それでも見過ごすわけにもいかない。丁度この学校での最高権力者。生徒会長と仲良くなれたし、少しだけ様子を見てそれを報告しよう。
誠心誠意お話描きます。
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なのでよろしくお願いします。
たのむ~