干渉
『私は神だから君を生かすか殺すかは私の気持ち次第というわけさ。この世の全てを司るか…』
「ちょっちょ、ちょ、ちょちょちょっと待て!」
私は神?この世の全てを司る?俺を殺す?俺はもう死んでるって話で神様ってのは普通もっとこう、優しいというか…、願いを叶えてくれる的な立ち位置じゃねーの…!?
つーか、神様ってほんとに存在するのかよっ。俺はそんなの信じたことねーし、こいつの話をはい、そうですかと受け入れるつもりもねえ。
大体、俺が死んだってのが本当なら生かすも殺すも関係なくねえ?もう死んじゃってんだからさあ!
せっかく俺様が一個一個整理していこうとしてたのに次から次へと分からねー情報を投げてくれるな。
『君は〜。耳が痛くなる程、思考がうるさいね。まぁまぁ、落ち着きなよ』
「なっ…!?」
さっきから声に出してない事まで見透かされてるのは…、言葉通り心を見透かされてるからだってのか…!?いや!!そんな事できるわけ…。
『出来る』
今まで不敵に笑っていた女がピシャリと真顔で放った。
出来るってそんな…、仮にこいつが神様とかいう存在するかも分からない存在なんだとしても科学的根拠も無ければ逸話ですら聞いたことも無いような超能力をどう証明してくれるんだよ!!
『証明ならさっきから出来ているはずだよ。私は今も尚、ショータの心を読んでいる。と、言うよりも。話している時となんら変わりなく聞こえる』
────…っ!!
確かにそうだ…。俺は最初からこいつに心を読まれている。声に出さなくとも返答があった。
じゃあなんだ、、こいつは本当に神で俺の心を読んで俺を生かすか殺すかの力を持っているって言うのか………?
『だから、そうだと言っている。私の機嫌次第で君は生きて元の世界に戻れるし私が決めれば君は一秒と持たずに死す』
「なんでっ…!?なんでお前がそんなこと………!?」
『言っているだろう?私はこの世の全てを司る神だからだ』
『けっ。神はそんな力持っちゃいねー。心を読むだとか生死を選ぶだとか、神が全知全能なんて人間が勝手に作った空想上の物語に過ぎない』
は…?コイツら仲間じゃねーのかよ。自称神様の女の言うことを真っ向から否定してやがる…。
『仲間…?ふふっ、笑わせないでくれるかな?私がこんな悪魔と同種なわけが無いだろう』
悪、魔…?
黒髪赤メッシュのこの男、そんなに性格ひん曲がってんのか?余程の事がなきゃ女から悪魔なんて呼ばれ方はしないだろ…。
『単なる性格の話じゃないよ?ショータ』
「へ…?」
『ショータが人間であるように、私たちにも種類がある。私…エルダは神で、こっちのグリムスは悪魔。グリムスの性格が悪いのは種族に由来しているのかもしれないね』
なん、なんだよ。悪魔?神様?人間?
エルダが俺を好かんとするならこの、、グリムスとかいう悪魔に殺すよう指示する、とか?
そのために三人分のお茶会セットがあって、その話し合いを今からしようって事か?
やべえ……。逃げねーと、殺され…っ……!?
『ショータ。逃げたりしたら、どうなるか分かるかい?』
慌てて席を立とうと足に力を入れた瞬間、エルダの顔が目の前に迫ってきた、ような気がした。
「あ、……いやだ……殺さないでくれ……まだしたいこと…あって、その、ほら俺ってピチピチの高校生…だし………可愛い女の子とも巡り合えないままなんて…あんまりだろ…?」
引きつった顔で許を請う俺を蔑んだように見つめていた二人。少し間があいたかと思うとエルダはニッコリ笑った。