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いつもの調子

「よーし、今日はいつものように元気に行くぜ!!」


 俺は張り切って外に出たので、アイカに呆れられていた。


「もう完全に回復したのね...、ちょっとくらい暗い雰囲気が出てると思っていたのに...」


「まあ、いいじゃん、余は明るい雰囲気の方がいいし、元気に行くのは悪いことではないぞ」


 マオに宥められたのが癪に触ったようで、アイカがそっぽを向いた。

 その様子に腹が立ったようで、腹いせに彼女のツノを撫でた。

 すると気持ち良さそうな表情をして、口を開き。


「ふぁ♡...」


 という甘い変な声が出たので、笑うマオ。


「あはは、変な声〜」


「う...うるさい...」


 顔を真っ赤にしながらマオを睨んでいるが、恥ずかしいことを隠せてはいない。

 どうやら龍族のツノは、愛情を持った者に撫でられると、性感帯のような役割を持つようだ。

 つまり、気を許した者に撫でられると気持ちよく感じる、ということだ。

 まあ、それは石竜の場合の話なので、アイカにこれが当てはまるかはわからないが、先ほどの反応を見た感じでは、同じような者なのだろうということは明白だった。


「アホなことやってないで行くぞ...、今日中にチケットを買って大陸移動するつもりなんだからな」


 ある程度火の大陸で稼いでいたので、大陸移動するだけの資金が貯まっていたのだ。

 そろそろ水の大陸に向かい、装備品を見直そうと思う。

 流石にいつまでも素手と初級のスキルだけでは心もとなく感じ始めていたので、強力な武器や防具、装飾品などを買い揃えたいのだ。

 その言葉を聞いたアイカは、手を挙げてこういう提案をしてきた。


「いちいと船のチケットを買わなくても、私が龍化して大陸移動すればいいんじゃない?」


「なるほど!、アイカは頭いいな!」


 マオの頭が残念なだけだと思うが、それはしない方がいいのだ。


「アイカの言い分はもっともだが、水の大陸は文明が発達した大陸だ、許可なしに立ち入ろうとすれば敵対警報出されて迎撃されるんだ」


「やけに詳しいわね?、一度行ったことでもあるの?」


 彼女の不思議がる表情に、俺は答える。


「ああ、俺は一度世界を救った勇者だぜ、行ったことのない場所なんて数えるほどしかないと思うな」


「まあ、それもそうね...、流石はお姉ちゃんが愛した人物、それなりの器量をお持ちで安心する...」


 彼女なりの褒め言葉なのだろう、俺はありがたく受け取る。


「水の大陸か〜、きっと海が綺麗な場所なんだろうな〜」


 マオは目を輝かせているが、俺は「あんまり期待するなよ」と釘を刺す。


「水の大陸の武具は一級品ばかりだが、正直自然は最悪だ、あの大陸の連中は、自分たちの作り出すものが至高だと思っていやがるからな、至高の武具を作り出すためなら、自然破壊を平気で繰り返すんだよな...」


「そうなのか...、じゃあ期待するのはやめとく...」


 俺の言葉にがっくりと肩を落とす彼女を見て、俺はやるせない気持ちになる。


(水の大陸に面白い場所とかあったかな...、面白い道具なら大量にあったと思うから、あっちに着いたら探してみるか)


 俺たちは火の大陸の港に向かい、水の大陸に渡るチケットを買った。


「次の大陸ではどんな冒険が待っているのかな?、余は今から待ちきれないぞ!」


 すごく嬉しそうなマオを見て、俺の心は和む。


(冒険が楽しみか、今思うと、俺はそんな気分で旅をしたことがないな...)


 そう思うと、今までの俺の旅は虚しく感じる。

 水の大陸に渡る船が港に着くと、俺たちは船に乗り込んだ。



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