ジャンボパフェ
注文を頼んだアイカはワクワクしたような表情で到着を待っている。
普段は大人みたいな表情しか見せないアイカだったが、この時ばかりは子供のようであった。
ついにジャンボパフェがその姿をあらわす時がきた。
運ばれてきた時に俺は目を疑った。
どっさりと乗ったフルーツがアイスクリームに乗せられていてとても美味しそうなのだが、問題はその量だ。
どう考えても一人では食べきれない量なので、3000ゴールド支払わせる気が満々だ。
「やっぱり...、よしといた方が良かったんじゃ...」
今更後悔しても遅い、命運は彼女の胃袋にかけられた。
しかし、ジャンボパフェを見ても彼女の反応はそこまで変わっていない。
それが頼もしくも思える。
「いただきます...」
彼女は一瞬目を瞑り、一気に開いた。
スプーンを手に一気に口の中へと吸い込まれるパフェに周りの客の度肝を抜いていく。
幼女のような見た目の彼女が、巨大なパフェを一人で平らげてしまう様は、一見の価値ありだ。
食べきって見れば、たかだが10分くらいのものであった。
「ご馳走様...」
パフェを食べきった彼女は、いつものすました表情をしていたのだが、口にアイスをつけているのが子供っぽい。
店内にいた他の客から歓声が上がる。
周りを見てみると、いつのまにか人だかりができており、拍手をしてアイカを祝福していた。
「よく食べたよな、こんなの...」
俺は空になったパフェ皿を見て驚愕している。
「そう?、龍族は大飯くらいなのかもね」
「レスカはそんなに食う印象がないんだけどな...」
同じ龍族をだとしても、レスカとアイカには決定的な違いがあるんだなと、俺は再確認した。
(人間と同じか、同じ人でも個性が違うからな、龍族も似たようなもんか...)
だからこそ、俺は気になっていることがあった。
「アイカ、ちょっとだけレスカと話がしたいんだが、変わって貰えるか?」
「...、いいよ...」
彼女が答えると、レスカの体に変わる。
「どうしましたか?ユウリ」
「いや、ちょっと顔を見たくなってな...」
俺は見切りのスキルでレスカを見ると、そこには、アイカの情報が映し出されていた。
(...、こんなことだろうと思ってた、レスカと同じで隠し事は下手なんだな...)
俺は後でアイカを呼び出して話をしようと思う。
俺たちの今後について、大事な話をするのだ。
ただ、今はこの夕食を楽しもう。
それくらいの時間は夢を見てもいいじゃないかと、自分に言い聞かせて、レスカの身体を持つ、彼女の方を見ていた...。




