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違和感

 私はレスカの態度に違和感を感じていた。

 確かに見た目は彼女のままなのだが、何か不自然な印象を受けている。

 そう、例えるならこれはカニと言われながらカニ玉を食べているような感覚だ。

 似ているが違う。


「マオちゃんいきますよ〜」


 不意にビーチボールを投げられた私は反応できずに砂浜に落としてしまう。


「よそ見してた...、ごめんね」


「どうしたんですか?、マオちゃんらしくありませんね、何か気になることでもありましたか?」


 言動仕草行動、それの全てがレスカなのだが、やはりそれが気持ち悪い。

 ユウリは気がついていないようだったが、私には分かる。


 “彼女はレスカではない”


「マオちゃん?」


 急に顔を近づけてきたのでびっくりして尻餅をついてしまった。


「大丈夫ですか!?、マオちゃんはまだ足が完治してないんですから無理はしないでくださいね」


「うん...、わかってる...」


 本物のレスカと遊ぶのは楽しいはずなのだが、余計な考えがそれを邪魔してくる。

 楽しんでいるように見えなかったのか、彼女は心配そうに私を見てくる。

 思い切って彼女に質問する。


「...、ねえ、君は誰なの?」


「私はレスカですけど...、マオちゃん?」


 言葉の意味がわからないとでも言うような表情をするのがいちいち気に触る。


 “レスカじゃない癖に”


 イライラする、彼女の皮を被る何者かに。

 いや、正体は分かっているが、切り出し辛いのだ。

 きっと彼女も無理をしている。

 恐らくユウリのことを思ってのことなのだろうが、これは彼に嘘をついていることになる。

 龍の巣でレスカに出会った時、全く彼女のような感じがしなかったのが、確信に迫る為の重要な材料だ。

 どうしても私にはこんな気分のまま旅を続けることはできないので近いうちに彼女に訪ねようと思う。

 それがきっと彼女の為になると思っているからだ。


「お〜い!!、そろそろ戻るぞ〜」


 ユウリから声をかけられた私達は宿に戻る。

 私の休養の為、皆に迷惑をかけているのは申し訳ない。

 帰路に着いた私は、彼女の方に目を回しながら、海のさざ波の音を聞いていた。


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