そういえば
俺とアイカは龍の巣の外へと歩いてく。
(あれっ?そういえば何か忘れているような...)
俺は重要ななにかを忘れていたことに、龍の巣内へ入った時に気がついた。
マオがグッタリと倒れているのが見えたからだ。
「マオっ!!、そういえばここに置いてきたんだった!」
俺がマオに近づくと、だらしない格好で寝むっていた。
俺はなんか安心したように笑う。
すると、眠っているマオにアイカが近づいて確認している。
「この子がマオ...」
アイカがマオに触れる。
プニプニと頰をつねって感触を楽しんでいるようだ。
「柔らかい...」
少し彼女の表情がほころんだところでマオが目を覚ます。
「痛い!、もう!ユウリほっぺをつねるな!!」
俺の方を指差してくるマオを見て、俺は呆れたように指をアイカに向ける。
「俺じゃねぇ、アイカがやったんだ」
「アイカって誰だ?」
マオは不思議そうにアイカを見ている、そりゃ知らない奴を始めて見たら誰でもこんな顔をする。
アイカはひらりとその場で一回転し、白と赤混じりパーカーの裾を少し上げて挨拶する。
「初めまして、私はアイカ、今日からあなた達と同じパーティになった、これからよろしく...」
淡々と説明口調に話すアイカにマオは良い印象は感じていないようだ。
少し距離を置いたまま動かない。
いや足が痛くて動けないだけかもしれないが...。
マオは急に真剣な表情で俺に問い詰めてきた。
「そういえば、ユウリよ、レスカはどこだ!?」
辺りをキョロキョロと見回すマオ。
俺は笑いながら、アイカに指示を出す。
アイカの体が光輝き、みるみるうちにレスカの肉体へと再構築される。
「マオちゃん、私はここにいますよ」
レスカに優しく抱きつかれたマオは、なぜか不快そうな顔をしている。
「なんか違う...」
意味不明な言動をする彼女に俺は質問する。
「何が違うんだ?」
「確かにレスカなんだけど、なんだろう...、本人じゃないっていうか...、言葉じゃ表しずらいな...」
彼女の顔は以前として険しいままだ。
だが、レスカは明るい表情で話し続ける。
「マオちゃんはきっと、私と長い間離れたから、少し混乱しているだけです、私はここにいますよ...」
「...、レスカ?」
それでも甘えることがないマオに、俺は(ふざけんな!)と心の中で叫ぶ。
マオがレスカに抱擁されている中、一人残された俺は羨ましそうにその光景を見る。
(くそが!、俺と変われ!!)
などという汚れた言葉は、心の中で発散しておこう。
とりあえず、これでまた3人...、じゃなかった、4人で旅ができる。
恋人がここに生きているという証明だけでこれほど嬉しいことはない。
俺は何だかんだで、このパーティが気に入っているのかもしれないと、そっと思いを馳せていた。




