これが...
俺が漠然とした表情であれを見ていた。
(まさか...、俺でも見たことがない...、ここまで巨大なドラゴンなんて!)
真紅の鎧のような鱗を纏ったドラゴンが、俺達を睨みつけるように見てくる。
目を合わせただけで怖いくらいの迫力が俺達を襲う。
ドラゴンは翼竜のようで、大きな翼を羽ばたかせて上空に静止してこちらを見ている。
真紅の体には似合わない、青色の眼が光り輝いていた。
俺はハッと気がつくと二人を見る。
「逃げるぞ!!」
俺の叫び声とともに二人は行動を移す。
俺は走りながら、後ろのドラゴンのステータスを確認する。
俺がステータスを確認すると思わず笑いが出た、明らかに、ここの大陸に存在するような魔物ではないことに。
捕まれば一巻の終わりだ。
「とにかく全力で走れ!!、捕まれば終わりだぞ!」
俺は声の限り叫ぶ、二人にも伝わっているので俺の横を走っている。
力の続く限り、二人の指揮を高めるため声を張り上げる。
ついに真紅の巨龍が動き出す。
真紅の翼はためかせ、俺達を滑空して襲ってくる。
俺とマオはなぜか狙われず、明らかにレスカだけを狙っているような動きをして、その巨大な腕でレスカを掴み飛び立つ。
「レスカ!!」
「ユウリ!!マオちゃん!!」
レスカの悲鳴が聞こえたが、その時にはレスカは空中に連れ去られた後だった。
「くそっ!」
俺はアイテム欄からとあるアイテムを取り出してドラゴンに投げつけた。
なんとかやつの巨体に貼り付けれた。
俺達は遠ざかっていく奴の姿を見ているしかできなかった。
「ユウリ!、早く追いかけないとレスカが!」
マオが珍しく本気で取り乱している、今回ばかりはふざけている場合ではないとこいつにもわかったのだろう。
「レスカがさらわれたんだぞ!、しかもあいつ空を飛べる種族のようだ、このままでは見失うぞ!」
俺に感情をぶつけてくる、この時のマオの精神は少し不安定だったのだろう。
だが、俺には秘策があった。
「大丈夫だ、少なくともドラゴンは見失っていない、さっき魅了スキルで作った“フェロモン玉“をぶつけたからな、これで俺の匂いはつけた、これを追えばあいつの巣につけるはずだ」
それを聞いたマオは落ち着きを取り戻して早く行くことを推奨してくる。
「...じゃあ早く行こう、レスカが危ない」
「勿論だ、流石にすぐに食べられることはないと思うが、早く行くことがいいに越したことはないからな、それにドラゴンの巣がどんなところにあるのかを、一度確認しておきたいしな」
俺とマオは急いで龍の巣へと向かう。
(レスカ...、待ってろよ...!)
両者共にレスカのことを本気で心配し、奪還の為に力を貸し合う宣言をした。




