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クロリア

「レスカちゃん良かったのう、また虐めたいのう」


 魔王城の庭園で思い出を振り返り、1人で悶えている私。

 そこに見慣れない桜色の髪をしたメイドがやってくる。


「クロリア様、はじめまして、私はアオと申します」


 綺麗なお辞儀を見せたアオをじっくりと観察する。

 その目線が気になったのか、アオはスカートを抑えている。


「何でしょうか?」


 彼女に不審がられてしまったので距離を置く。


「すまんのう、そうしても可愛い娘を見ると笑顔にしたくなる性分なんじゃが...、お主、わらわの傘下にくだらぬか?」


 彼女は首を横に振る。


「すみません、私はザーク様のメイドです、自分の意思で動くわけにはいきません」


「つれないのう、自分の意思で判断させぬとは、ザークとか言う新しい魔王の器量が知れるわい」


 わざと無神経な言葉を選んで彼女の神経を逆なでしてみる。

 すると、思った通り静かに激昂し、少し怒りの表情をのぞかせている。


「クロリア様、我が主人を蔑ろにするような発言はお控えください、それに私はザーク様のことを信頼しています」


 彼女の目には曇りのない青い瞳が光り輝いている。

 それを見た私はふふんと笑いながら彼女の真剣な眼差しを寵愛した。


「その表情にはグッとくるものがあるのう、このような配下を持ったザークとやらがどんな者か少し気になったぞ」


「ザーク様でしたら、今は寝室にて睡眠中です、もう少しでお目覚めの時間なのでその時にお会いになりますか?」


 彼女は丁寧な口調で私に提案を出す。

 ふむ、と人差し指を唇の前において考える私。


「今から会いに行こうか...」


「え?...」


 彼女が驚いたような表情をしたので面白い。

 私は知っていた、魔王が寝ている場所は前と変わっていないだろう。

 私は城壁を駆け上がり、大幅にショートカットし、魔王の寝室に到着する。


「さぁて、鬼が出るか蛇がでるか...」


 私は前の魔王のように、巨体な男のような姿を想像している。

 私はゆっくりと扉に手をかけて静かに開いた。


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