提案
「痛い〜...」
マオはうずくまりながら小指を抑える。
結構時間が経ったのに、まだ痛む。
涙目になりながらも目に映ったのは。
腹を抑えて動かないレスカと、頭を打った衝撃で気を失っているユウリだった。
「二人とも、変なの〜w」
マオは大声で笑ったが、小指に響いてうずくまる。
「やっぱ痛い〜」
しばらく動けそうになかったので、レスカに声をかけてみる。
「お〜い、レスカー、返事はできる〜?」
「マオちゃん...、ちょっとお腹を打ったので待っててください...」
相変わらず腹を抑えて呻き声を上げている。
「ユウリは...、ダメそうだな...」
ユウリが返事ができないことはマオにもわかるほど静けさに満ちていた。
その時、船室の扉が開いて緑髪の男が入ってきた。
「何してるんですか皆さん...」
〜甲板〜
「いや〜、助かったよナツキ」
「本当ですよ、なんで何もないところで気を失ってるんですかあなたは...」
ナツキの回復呪文で復活した俺は、ナツキの肩を叩く。
「本当に元気な人ですね、火の大陸に渡る前に、皆さんと情報交換でもしようかと考えてただけなんですけどね」
俺の復活ぶりに変な笑顔を見せるナツキはため息を吐いた。
俺は礼を言うと同時になぜこんなところに呼び出したのかを聞く。
「そういえば、なんで俺だけ呼び出してこんなところで話をする必要があるんだ?、別に部屋でも...」
「いえ、たいした用事ではないのですが...」
思わせぶりな口調で話を続ける。
「実は僕たちはこれから火の大陸でレベル上げをする予定なんですよ、よければ皆さんもご一緒できないかと思いまして」
ナツキの提案に俺は少し考える。
たしかに人数がいれば効率は上がるし、ナツキ達は手練れで能力値も高い。
一緒にレベル上げできるのであればかなり心強いだろう。
だが、俺たちにはそれを手伝うだけの力がまだ備わっていない、タコの魔物からマオを救い出したのもアイテムのおかげだし、注意を引きつけれたのも魅了のスキルが偶然発動したに過ぎない。
俺は首を横に振る。
「すまない、ナツキが思っているほど、俺たちは強くない、それどころか足手まといになる未来が見えている、せっかくの申し出だが、断らせてもらう」
ナツキは残念そうな表情で俯いた。
「そうですか...、残念です、皆さんとレベル上げした方が効率が良いと思ったのですが、断られてはしかたありませんね」
「すまない、俺たちのレベルが上がって、ナツキ達に迷惑がかからない程度になったらまた声をかけるよ」
俺は去っていくナツキを見ながら、一緒に行こうと言えるだけの力がないことに悔しさを感じていた。
(...、そういえばマオのやつ新しいスキル覚えていたよな、ひょっとして...)
俺は自分のスキル欄を開く。
レベルが少し上がっていたのでスキルポイントを振れるようになっていた。
俺は自分のスキル欄の説明を読み始めた。