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始まりの平原

「勇者ぁ....、ちゅかれた...おぶって...」


 マオは棒切れを地面につきながら息を荒げて進んでいる。


「もう少しだから頑張れって!」


「この鬼!悪魔!大魔王!」


 勇者はほくそ笑みながら魔王の情けない姿を嘲笑する。


「どっちが魔王なんだか...」


 この程度で余裕を崩す勇者ではない。


「女体化大好き変態勇者ぁ!!」


 この言葉を聞いた勇者はマオの首根っこを掴んで空中にあげる。

 首を掴まれて息ができなくなったマオは苦しそうな表情を見せる。


「お前が...、そうしたんだろうが!」


 楽しそうなユウリとマオやり取りを見て、レスカは笑う。

 どう見ても楽しそうかやり取りではないのだが、レスカにはわかっていた。

 ユウリが本気で怒っているのではなく、ただの触れ合いでああしていることを。

 レスカが笑うと、辺りが柔らかい空気になるので嫌いではないと思うユウリだった。

 ユウリはそんなレスカを見ると、マオを離した。

 ゴホッゴホッと咳き込みながらマオはユウリを見る。


「首を掴むのは、いくら余が悪いからってやりすぎだろ!」


「へっ、マオの言葉使いが悪いのがいけないんだろうが、もう少し考えて発言しましょうね〜」


「ムゥ〜...」


 魔王は頰をぷくっと膨らませる。


「レスカ〜、勇者になんか言ってよ〜、このままじゃ、余は馬鹿にされた気分のまま歩かないといけなくなるよ〜」


 レスカに助けを求める姿にユウリは笑う。


「おいおい、それでも元魔王なんですかね〜?、宿敵の彼女に助けを求めるなんて相当やばい子ですね〜w」


 俺はレスカにはこう言ってある。

 マオは魔王ごっこが好きなので、普段から魔王のように扱ってやってくれと。

 町から出るときにそうレスカに伝えた。

 これで俺と魔王の会話に違和感を感じなくなってくれればいいのだが...。


「本当にユウリとマオちゃんは仲がいいですね♪」


「マオと!?」


「勇者と!?」


「ないわ〜」


 2人が同時にないわ〜と、息ぴったりの兄弟のように、同時に発言したのを見たレスカはプッと口を抑える。


「そういうところが本当に仲がいいと思います」


 ユウリとマオは顔を見合わせてお互いを煙たがるように見る。

 変な空気のパーティだが、不思議と不快感はない。


(思ったよりパーティ組んでの旅は悪くないのかもしれない)


 いつも1人だったユウリは2人が横にいるのが新鮮に感じる。

 ユウリは先を歩いて、2人に幸福そうな顔を見せないようにして歩き続けた。

 渋々歩く魔王と、それを笑顔で見ているレスカ。


(そういえば...、いつぶりだろう、俺がパーティ組んでいるなんて...)


 ふとそんなことを思いながらも、足を止めずに歩く。

 夕方になり、近場の村が見えてくるとスライムが進路の邪魔をするように現れた。

 青い体をプルプルと震わせてこっちを見てくる。

 魔王は怯えてレスカの後ろに隠れる。

 それを見たユウリは手招きして魔王を呼ぶ。


「マオ、ここはお前一人でなんとかしてみろ」


 ユウリの言葉に驚いた表情をするマオ。

 だが、拳を握りしめてスライムの方に向かっていき身構える。

 レスカがマオの代わりに戦おうとするとユウリに制止される。


「レスカ、ここはマオに任せてくれないか」


「でも、マオちゃんは以前にスライムに泣かされているんですよ」


 もっともな意見をもらうユウリ。


「だからだ、どのみちスライム1匹に勝てないやつをこれから先に進めるわけにはいかない、俺の経験上ではな...」


 レスカはマオのことを、子を心配する母親の気持ちで見つめている。

 マオはレスカの気持ちが、背中越しに伝わってくるのを感じた。


(レスカ...、余頑張るよ!)


 マオはスライムと今相対す!。

魔王はスライムに勝てるのか?

次回、VSスライム。

次回は、余の活躍を期待するのだぞ!

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